58.校外学習二日目【特異例】
『中児校までは用心したかったんだ。
セクルト卒業までは、念のため、知られたくなかったんだがな』
念のため、というのは、セクルトでも「伴魂と不釣り合い」とされる状況があると知っているからだろう。
『そこの坊主にも知られたし。
正直、隠すの、面倒になってたんだよ』
「……それに付き合わされた私も面倒だったんだけど……」
白い伴魂の言葉に、フィーナがぽそりと申し添えるが、それは無視された。
ジェフが「俺は夢を見ているのか……?」と呻くようにつぶやいて、傍らにいたサリアに、頬をつねるよう頼んでいる。
サリアは迷いつつも、ジェフの意を汲んで、強めに頬をつねった。
「い……っ!
い、痛いと言うことは、現実か?
現実なのか?」
「そう、でしょうね」
サリアも戸惑い気味に肯定する。
「つねってみるか?」と頬に手を伸ばそうとするジェフを、サリアは本気で遠慮した。
騎士志望のジェフの握力を考えると、一般人のそれではおさまらないと思えたのだ。
同席する面々が当惑する中、白い伴魂は先んじていくつかのことを口にした。
『言っとくが、伴魂の中でも、俺は特異例だ。
人語を介す伴魂はそうはいないし、もしかしたら自分の伴魂も話せるんじゃないかとは思わない方がいい。
できないと断言できる。
こうして俺は話しているが、吹聴は避けてくれ。
隠すつもりはないが、声高らかに広めるつもりもないんだ。
その時々で話していくから、報告もなしだ。
――国王にもな』
最後の一言は、カイルとディルクに向けられた言葉だった。
二人に視線を向ける白い伴魂に、カイルとディルクは互いに顔を見合わせ、頷いて報告しない旨を伝えた。
後で考えると、なぜこの時、同意してしまったのかと、カイルもディルクも不思議に思う。
状況的には国王に知らせるべき内容だったのだ。
同意してしまったのは、当惑していたことと、白い伴魂の話術ペース上にあったからだとしか思えない。
二人の言質をとって、白い伴魂は一つ息をつくと、自分が話すこととなった理由の一つを口にした。
話の内容に該当するカイルとディルクをつと見て、白い伴魂は口を開いた。
『つか、やばいぞ? この国の魔法レベル』
「「…………。
………………は?」」
唐突な言葉に、カイルもディルクも、目を点にするしかなかった。




