第2話 いきなり転移
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着払い料金はなんと3万円!よく手持ちがあったな、と自分を褒めてやりたい。
が、料金の高さに否応なしでブルーになる。
「てかっ、おい待てよ!コレ経費で落ちるんだろうな!」
「もし、落ちないなら、経理に直談判して何が何でも落とさせるからな!」
しかし、会社は何を考えている?
それがサッパリ分からない。
なぜ自分に?どうして自宅に?何の目的で?
考えれば考えるほど、分からないことだらけだ。
そして理不尽にも財布から3万円が飛んでいった。
会社の方針に異を唱えたくはない。
だが、恨み言の1つや2つ言う権利はジロキチにもあるだろう。
ジロキチはプンプンと怒りながら、飛んでいった金額を思い、不貞寝することに決めた。
開封するのは睡眠を取った後だ。今は眠る。とにかく寝る。
誰にも邪魔はさせない。
もし、次にチャイムが鳴っても完全無視だ。
何人もジロキチの眠りを妨げることは出来ない。
まして、厳しい接待を終えた翌朝だ。
安眠妨害は犯罪に等しい。
(通報されないだけ有り難く思え!ってレベルの勧誘は日常茶飯事だからな…………。)
もし、次にアパートを大した理由もなく訪問する輩が居たなら、躊躇なく通報しようと心に決め、ベッドに倒れこんだ。
既に頭が朦朧としていた。
(とりあえず……………、二度寝してから……………、開封しても……………、問題ねぇだろ………………。)
眠気で思考が途切れる。
初心者用の冒険者セット?なにそれ状態である。
ZZZZZZZZ……………。
◇ ◇ ◇
何時間寝たのだろうか。
喉の渇きでジロキチは目覚めた。
昨日の接待で大量の酒を飲まされたからだ。
水が飲みたくて飲みたくて仕方がない。
気だるい感じで起き上がり、薄ら目を開いて彼は気づいた。
ここが自宅の安アパートの一室ではないことに。
「ココどこだよ?」
見渡すと石造りの大理石のホールの様な場所で、住み慣れた我が家の痕跡は何も無い。
寝惚けたか?と思い、布団を見るが布団の痕跡もない。
傍らには先ほど受け取った荷物のダンボールだけが、ポツンと所在無げに置かれていた。
夢にしては、やけにリアルだ。
上半身を起こし膝を立て両足で地面を踏みしめた。
すると足裏から冷たい大理石の感触がハッキリと感じられ、この感触が夢ではない訴えていた。
だが、それでも現実とは思えない。
「睡眠中に移動した?そんなハズはないと思うが……………。」
うんうん唸りながら考えてみるが答えは出そうにない。
頭はそれほど良くないが、頭の良し悪しで答えが出る問題でもないだろう。
悩み抜いた末に、取り敢えず周囲を調べようと思いたった。
出口を見つけない事にはどうしようも無いからだ。
(周りに何か有るか確認しながら、移動しつつ出口を見つけるか。)
(と、その前に、このダンボール。これを開封してみないとな。)