表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転勤先は魔法の国  作者: NTかわち
11/188

第11話 覚悟のススメ

誤字・脱字・ご感想お待ちしています

 パチパチと焚き火の音だけがする。



 外は明かりなどない真っ黒な暗闇で何も見えない。ジロキチはヨロヨロと壁にもたれ掛かる様に背を当て、何もせず、だだ燃え盛る炎を眺めながめていた。



「………………………」



 言葉もない。


 文字通り言葉が出てこない。彼は調子に乗っていた、少し前の自分を蹴り飛ばしてやりたい気分であった。



(帰還は、ほぼ絶望的だ…………。)



 ジロキチに3つの問題を解決する力はない。


 知識もない、力もない、そして覚悟もない。なぜ、手掛かりを掴んだと思った瞬間に、奈落の底へ叩き込むような真似をするのか?運命の残酷さを恨まずにはいられなかった。




(神様や仏様にお祈りしたいが、どうやら異世界は管轄外のようだぜ。)



 彼の家は先祖代々、氏子うじこ檀家だんかとして、神仏を拝みたてまつってきた。しかし、この酷い仕打ちはいくら何でも無いだろと、小言の1つや2つは言いたい気分だった。



(少しぐらい御加護とか御利益とかあっても、バチは当たらないと思いませんか?ねぇ神様仏様。)



(ダメだ。逆境すぎる事態に、心が弱って思考が他力本願になっている。日本で働いていた時から、社畜に甘えは無いと、ウンザリするほど理解してきただろう。)



 頼れるのは自分だけ。彼はそう思ってノルマの地獄を潜り抜け、厳しい競争社会で生きてきた。この程度で落ち込んではいられない。



 例え日本に帰れないとしても、異世界で生活の基盤を作り上げ、これからの人生を生きねばならない。助けてくれる親兄弟や友達は、誰1人こちらには存在しないし、社会保障なんて甘えたものも多分無いだろう。



 

 生きる為には就職してカネを稼ぐ必要がある。それは異世界でも日本でも変わりはない。ジロキチは生きねばと改めて思った。



(こんなところで女々しく立ち止まれるか?社畜なら社畜らしく生き抜いて死ね!それが社畜として、苦労を積み重ねてきた俺の生き様だ。なら、こちらでもそれを貫き通すだけだ。)




 異世界人とやらに、ジャパニーズ社畜の崇高な“戦いの作法”を見せつけ、泥の中に咲く一輪の蓮花のように美しく咲いてみせる。これは生死の問題ではない。生き方の問題である。ジロキチは生きる覚悟を決め、睨むように吸血の姫と向かい合う。






  *







「どうやら決心が着いたようじゃな」



 彼女はボンヤリと焚き火のそばに座っていた。




 ジロキチはスッと立ち上がり、彼女に近づいた。




 そして、極限にまで洗練された、非の打ち所のない動作で“土下座”した。









「シャル・カリ・シャッリ様!どうか、わたくしを雇って下さい!!!」









 こうして彼の長い異世界1日目はついに終わった。


ブックマークしてくれた方、ありがとう。

ブクマした事は有っても、されるのは初めてです。

ありがとうございました!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ