そして私は描けなくなった~Happy end~
気楽によんでくださーい!
時は流れ高校生。
木製の小さな小屋に彼女はいた。そこには寝具はなく、あるのは絵を描くためだけに存在する画材やテーブル、パソコンにスキャナ達だ。これがアトリエと言うのだろう。
道具達同様アトリエに許された彼女はそこにあって当然の者で、静かにパソコンをカタカタと鳴らしていた。
玄関からの大人っぽい声が静寂を破った。
「おいおいまだ6時やのに、描いてんのかー。」
「んーーーー・・・・・・えっ朝ぁ?」
「長いわ! 徹夜か?」
「うん。 今日は描きたいの 睡眠は学校だね。 」
「もうーどんだけや 」
ようやく朝を迎え差し込む光は強くなる。それに連れて彼女の薄い肌色とプニッとした赤めの唇はコントラストを強め、『おろしたて』の長髪の茶は色深さを増していく。
「だって描き始めると一人じゃ止まれないもん 指を動かすのも好きだし、描いた振動が手に伝わるのも好き。疲れてきたなーって思った次には、絵を見てかわいいーーーって思ってまた再開しちゃって、そんでそんで━━━━」
「ゆい。」
「えっあっ ごめん まこと。」
宮部 結衣は我に返る。えへへと言う。
そして黒崎 真は彼女に吸い込まれた。可愛いと思わされる。いや、かわいいんだけど。
「で、どんなの描いたんだ? ・・・ふむふむ、Twi〇terじゃねぇか もしかして描いてなかったんじゃ・・・」
「ちがうよー! ちゃんと描いてたもん!」
「描くときは『ポニーテール』だろ。その髪は~」真は『おろしたて』の長髪に話しかける。困ってる彼女のたまらなさといったら鼓動が早まるどころじゃすまない。Sっ気が溢れてくる。
「まことってばぁもう」 ・・・ほんと、私の彼氏はいじわるです。と小声でつぶやいた。
「え?」 真が聞き返す。「なにって?え?え?」結衣はうつむき言う。
「・・・・・・・・・描く」
「ん?」
「描くってば」
「はいはい。じゃーおいおい行ってるで」
「・・・」
「・・・」
「・・・・・・」
「・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・」
「じゃあなひめ。バイバイ。」
「・・・・・・・・・・・ぅあ━━━━━━━━っぅもう!! 行くしっ 待ってて 5分!!」 (おしまい)
読んでくださってありがとうございました!