表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
99/384

2-22

 東都のすぐ近くまで来たが、上空高くから目を凝らして東都を視てみると、自衛隊のような人々が占拠するかのように東都を囲んでいた

 この位置からなら恐らく発見されることはないだろうが、近づき、さらに降り立つとなるとかなり難しいだろう

 そこでまたルーナの力が役に立った


「光を屈折させて私たちを見えなくさせます」


 ルーナはそう説明した

 いわゆる光学迷彩だ

 自分の周囲の光を屈折させることで姿を見えにくくする

 実はそんな力よりもさらに上の完全に姿と気配を断てる力を持っているが、今のルーナはそれを知らなかった

 

 光学迷彩によって東都の中心部へと降り立った

 ここには調査のため人が多くいるようで、研究員のような人がせわしなく動いていた


「あの研究員に着いて行ってみるぜな」


 パリケルは意気揚々と研究員の後を追う

 ルーナとリゼラスもそれに続いた


「ああいういかにもな感じのについて行けばきっと何かしらわかるはずぜな」


 研究員は東都のよくわからない施設へと入っていった

 「異世界研究所」と書かれた施設で、どうやら空間を開いて異世界へと渡る方法を探す機関のようだった


「これは… いきなり当たりかもしれんな」


 リゼラスはどこか誇らしそうな顔でそう言った


「どういうことですか?」


「かなり前の話なのだが、私がまだ操られる前に帝国でもこういった研究をしていたことがある。 私たちの研究はもちろん失敗することもあったのだが、失敗したとき、必ずと言っていいほど研究員が消えていた。 恐らく次元の狭間に落ちたり別世界へと飛ばされたりしていたのだろうな。 稀に戻ってくることもあったが、気がくるっていたり、何かと融合していたり、化け物になっていたりと散々な結果だった。 勇者がどこからか技術を持ってくるまでその研究はとん挫していたのだが…」


 勇者によって研究は再開し、その結果リゼラス達は異世界へ渡る技術を得たそうだ

 しかしながらそれには大量の人間の魂を必要とする


「ここの技術は見たところ人の魂をいけにえにする必要はないようだが… 失敗しているのだろうな。 最近まで封鎖されていたみたいだ」


 扉にはキープアウトの文字

 研究員はその扉へと入っていった


 ルーナ達もそのあとへと続く

 中は薄暗いが、進むのに苦労するというほどではない

 研究員がどこかの部屋へと入っていくのが見えた

 ルーナは扉の近くまで行く


「どうしよう、入ったらばれちゃうかも」


「ふっふっふ、そんな時はこのパリケルちゃんの出番ぜな!」


 パリケルが大声をだしたので二人は慌てて口を押えた

 そこからパリケルは小さな声で話し始めた


「これを見るぜな」


 懐から何かの装置を取り出す


「これは?」


「盗聴器ぜな。 これで中の会話が聞こえるはずぜな」


 その装置を扉にとり付けると、イヤホンのようなものを二人に渡した


「さぁ、聞いてみるぜな」


 中の音が少しずつ聞こえてきた


「…の様子はどうだ?」


「はい、なかなか制御が難しいですが、最近はおとなしくしていますよ」


「そうか、あれは我々にとって貴重な存在だ。 あれのおかげで異世界へと渡れるようになったのだからな」


「まぁそれまでにかなりの犠牲を払いましたがね」


「ふん、これからの発展を考えれば些細なことだ。 いずれ異世界へと渡りその世界を掌握して支配する。 この世界の技術があればたやすいことだろう」


「おっしゃる通りでございます首相」


 驚きの言葉が聞こえた

 異世界に渡る方法は確立していたのだ

 多大な犠牲とは恐らく消えた住人たちのことだろう

 聞くに、消えた住人はもう…

 それと、首相という言葉

 どうやらこの国のトップが一連の事件にかかわっていることが分かった


「許せない。 国のトップがこんなことをするとは…」


 リゼラスは怒っている

 リゼラスが使えていた皇帝はそれはそれは国民を大切にする皇帝だった

 既に殺されているが、リゼラスは皇帝を尊敬していた


「それにしても、あれとは何ぜな? あれのおかげで異世界へと渡れるようになったと言っていたぜな」


「それは私も気になった。 調べる必要がありそうだな」


 三人はそのまま施設内を見て回ることにした


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ