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キュレス1

 新たに転移した世界は自分のいた世界よりはるかに発展していた

 非常に高い建物が軒を連ね、太陽を遮っている

 しかし、肝心のこれらを建てた人がいない

 どこにも気配がないのだ

 

「グリド、オルリア、騎士達と手分けして人を探しなさい」


 キュレスはともに来た元七英騎士の同僚である二人に指示した

 二人ともそれに従う

 オルリアは非常に素早いレイピアの使い手の猫の獣人女性で、自信を強化する魔法でさらに速度を上げ、神速のオルリアと二つ名がつくほどだった

 しかし今はエイシャに操られ、ただ指示に従うだけの人形になってしまっていた


 キュレスはその場に座り、騎士たちが戻るのを待った

 

 それから数時間後、すべての騎士たちが戻り、キュレスに現状を報告した

 

「この街には誰もいないようだ。 まるで今しがたまでいたような痕跡はあるがそれだけだ。 住人がいない」


「こっちもですに、だ~れもいないですに」


 オルリアもグリドと同様の報告をする

 まさしく猫のように尻尾をくねくねと動かしながらキュレスにスリスリと頬をよせる

 もともと人懐っこい性格の彼女は操られていてもそこだけは変わらないようだ


 騎士たちの報告はどれも彼も同じ事ばかり

 人っ子一人見つからないというものだけで、時折動物自体の姿もないという報告があるくらいだった

 

「誰もいない? 一体なぜ…。 考えててもしょうがないわ。 それにこの世界のことなんてどうでもいいし、とっとと裏切り者とルーナを探し出すわよ」


「あぁ」


「はいですに!」


 とりあえずキュレスたちは別の街を探すことにした

 ここは小さな町で、もしかしたら何かあって大きな街に避難しただけなのかもしれないと思ったからだ

 

 そのまま道なりに進むが、周りの景色は相変わらず大きな建物に囲まれて、まるでこちらを威圧するかのようだ

 それも、人の気配も生き物の気配すらもないこの場所はどこか不気味だった


「さてと、ルーナの位置は… あれ? 表示されない。 なんで? この世界にいるのは間違いないのに!」


 何かに隠されたかのようにルーナの位置がつかめない

 反応はあることからこの世界にはいるとわかったが、正確な位置を掴めなければ広い世界を探して回らなくてはならなくなる

 下手をすれば出会うより先に別世界へと転移されてしまう可能性もありうる

 

「急いで探すわよ。 そんなに遠くじゃないみたいだし、人のいないこの世界なら目立つでしょ」


 ルーナの姿はどの世界だろうが割と目立つ

 この世界においてもそれは違わない

 だが、彼女らは知らない

 ルーナは既にそれに対抗する力をもって目立たなくなっていることを


 ようやくさらに大きな街へとたどり着いた

 どうやらそこには人がいるようだ

 ところどころに武器を持った人間たちが蠢いている

 その誰もがどこか警戒しており、いきなり現れたキュレスたちを見て訝し気な顔を浮かべている


「なによ、なんかピリピリしてるわね」


 街に入ろうとしたところで武装した人々に止められた


「待て、お前たち、何者だ? なんだその恰好は。 どこから来た? 俺たちはこの街の自衛団だ。 お前たちの身分を改めさせてもらう」


 刀を向ける男たち


「何言ってんのかわかんないのよ。 何そのちんけな武器、戦おうっての? 殺すわよ」


 言葉が通じなかったため、相手の言っていることが理解できなかった

 キュレスは杖を構えた

 が、そこで気づいた


「何? 魔力を感じない! これじゃぁ魔法を使えないじゃない!」


「何をしている! 武器を捨てろ!」


 拳銃のようなものを抜いた男

 それを見てグリドとオルリアが動いた

 眼にもとまらぬ動きで目の前にいた自衛団を切り捨てる

 一瞬にして命を奪った二人に自衛団の男たちはたじろいだ


「敵だ! 増援を呼べ! こいつらが一連の事件の犯人かもしれんぞ!」


 リーダーらしき男がそう指示する

 通信装置なのか、自衛団の一人がそれで増援を要請しているのが分かった


「いくら増えようとも、この程度ならば問題ない」


 銃を抜いた男がグリドに向かって撃つが、グリドはそれを見極めてたやすく避けた

 

「な!?」


 撃った男に間合いを詰めると、そのまま首をはねた

 転がる首に驚く自衛団、それに構わずグリドとオルリアは次から次へと切り捨てていった

 

 そこに増援が駆け付け、騎士と自衛団が入り乱れて戦闘が始まった

 周りでは何事かと野次馬が集まり、死体を見たことで悲鳴も上がり始めた


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