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2-19

 三人は新たな世界へと降り立った


「ここは? なんかくらくらするんだけど」


「う、めまいが…」


 パリケルとリゼラスは転移したことで酔っていた

 二人とも今まで直接転移したことなどなかったためだ


「大丈夫ですか?」


「あ、あぁ、もう大丈夫」


「俺様、吐きそ、うっぷ」


 パリケルは慌てて近くの草陰に走って行って吐いた

 既にフラフラである

 とりあえずリゼラスがパリケルを背負って降り立った森の中を進んだ

 すぐに街道らしき道が見つかる

 そこでルーナは気づいた

 街道はアスファルトのようなもので舗装されており、今まで来た世界より技術の進んだ世界だとわかった

 アスファルトにガードレール、街道というより山道、車が走っていれば最後の転生を果たした世界だと見間違えたかもしれない

 しかし、山道には魔物のような化け物が闊歩していた

 

「ここ、私がいたとこに似てるけど、何か違う」


 魔物は次から次へと襲ってくるが、さほど強くはなかった

 三人とも十分に対応できる


「魔物は弱いみたいだな。 それにしても、これだけ進んでいるのに人一人見つからないなんて」


「うむ、普通これだけ広い街道なら人一人、馬車の一つでも通っているはずだ」


 山道を下り終えると小さな町のようなものが見えてきた

 ようやく人に会えると思ったが、町を見て回ってみても誰もいない

 気配すらしなかった

 

「誰も、いない?」


「そのようですね」


 三人で手分けして家々をノックしたが誰も答える者がいない

 

「この世界の家の構造、見たことがないな」


「俺様の知っている家とは違うみたいだぜな」


「私、知ってる。 私が転生した世界、あそこもこんなところだった」


「どんな世界ぜな?」


「えっとね…」


 ルーナは語った

 車という乗り物、空を飛ぶ飛行機やテレビ、そびえたつ高いビルのこと、技術はリゼラスやパリケルのいた世界より進んでいた

 

「ほうほう、それは興味深いぜな」


 技術の進んだ世界と聞いてパリケルの研究者魂がうずいたのか、興味津々でルーナの話を聞いていた

 もしかしたら自分の技術に役立てれるかもしれないと思った


 ひとまず誰もいないこの町をあとにして別の場所へ向かうことにした

 街には車もトラックも置いてあった

 バス停もあり、バスが走っていることもわかったが、それを運転している人間の姿が一切見えない

 一体住人はどこへ消えてしまったのだろうか


 道はどこかに続いている

 山とは反対方向の道を進んでみることにした

 二車線の道路、やはり車は走っておらず、ところどころに車が乗り捨てられているのが見えた

 まるで何かに襲われた為慌てて逃げたようだ

 だがそこには違和感もある

 何かに襲われたならところどころにその痕跡があるはずだが、人がいない以外に特におかしな様子がないのだ


 しばらく進むと大きな街が見えてきた

 田舎道のようなのどかな風景から少し歩いただけなのに大都会のような風景へと変わった


「うぉおおおおお!! なんと! なんと素晴らしい! これほどの技術とは!」


 パリケルが興奮して叫んでいるが、振り向く者は誰もおらず、やはりここにも人っ子一人いなかった

 いや、それどころか生き物の気配がしない

 魔物すらここにはいなかった

 

「一体この世界に何が起こったの?」


 街の中を探索し続けるが誰も見つからない

 飲食店に入ってみたが、まるで今まで食事をしていたかのように少しだけ食べておかれた食事が置かれていたり、まだ湯気の立っているホットコーヒーまで置いてあった


「ほんの数分前まで人がいたかのような痕跡、本当に今しがた消えたのかもしれない」


 ここから逃げた、あるいは何かがあって移動したならどこかにその痕跡もあるはずだが、本当にその場から忽然と消えたかのようだ

 三人は未だ誰もみつからないこの世界で人間を探すことにした


 

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