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怒り狂う者3

 アストはアズリアや呼び寄せた神たちを城へと招いていた

 皇帝の座っていた大きな椅子へと腰掛けるアスト、その横にはアズリア

 アズリアはアストを愛おしそうに触っている

 アスト側に付いている神々はアズリアを含めても少ない

 それでも彼らは大神を討ち滅ぼすため爪を研ぎ続けている


「アスト、いえエイシャ、せっかく私たちも復活したんですから、あなたもそろそろ元の姿に戻りましょ?」


「姉様、しかしながら私にはもう転生の力が残っておりません」


「ならば私が補いましょう」


 そう言ったのはアストたちと共に謀反を起こした神の一人、生命の神ラルフレオだ

 転生の神と近しい存在である彼の力ならば補えるかもしれない

 ラルフレオはアストへと自らの力を受け渡した


「これならば、いけそうです」


 アストは転生の力を発動させた

 それによりアストの体が崩壊を始める


「エイシャ!」


 ドロドロと溶けていくアスト、原形をとどめないほどに肉塊へと変わってしまった

 

「あぁ、そんな、失敗したというの?」


 アズリアが駆け寄って肉塊をかき集めようとするが、その肉塊の中で何かが動いた

 肉塊はグジュグジュとうごめき、バリッと引き裂け、裂け目から白い腕が伸びた

 その腕はさらに裂け目を広げていくと、中から小さな女の子が出てきた


「すこし、力が足りなかったみたいね」


 その姿は幼いが、紛れもないエイシャだった


「おお、おお、エイシャ、ようやく本当のお前をこの手に抱きしめることができるわ」


 感涙を流しながらアズリアはしっかりとエイシャを抱きしめた

 神々はそれを祝福する

 

「ようやく本来の私を取り戻した。 あとはあの子たちから力を取り戻せれば…。 計画を次の段階に移行します。 姉様、あの子たちは戻ってきてるのね?」


「えぇ、しかし人間など使ってどうするつもりなのです?」


「姉様、人間はですね、時に思いもよらぬ力を発揮するのですよ。 私は、その力を持っていた方を知っています。 私は、あの方を奪ったあいつらを許さない」


 エイシャの顔はおよそ少女の姿に似つかわしくないほどに怒りに満ち溢れて歪んでいた

 その姿にアズリアも少し震えるが、愛すべき末妹神である彼女を理解してあげられるのも自分だけだと思った

 もう二度とあんなつらい思いをさせたくない

 

「そう、わかったわエイシャ、あなたの思い通りになるよう私も動くわ」


「ありがとう姉様」


 今唯一心を許せるのはこの場にいる神たちのみ、彼らは全員自らの意志で神という立場を捨ててまでエイシャについてきてくれた

 だからこそ信頼できた


「お呼びでしょうか?」


 そこに来たのはキュレスだ

 彼女は震えている

 アスト、エイシャに命令されたことを達成できなかった


「キュレス、お前にはもう一つ力を授けます」


 そう言ってきたのはキュレスが見たこともない裸の少女だった


「ち、力ですか?」


 少女はゆっくりと近づいてきてキュレスに手を当てる

 そしてキュレスは気配で気づいた

 目の前にいるのがアストなのだと

 なぜこのような姿になっているのかは分からなかったが、消されないだけましだとも思った


「これでいいわ。 お前にはルーナを捕縛できる力を与えた。 神ですら捕縛できる力よ」


「これで私にルーナを捕まえて来いということですね」


「そうよ。 それと、グリド以外も連れて行きなさい。 あいつらにも力を与えておいたから役に立つはずよ」


「かしこまりました」


 恐る恐る頭を下げてキュレスは再びルーナを追って転移した


 人間の力を信じていると言いながら彼女はこの世界の人間を道具のようにしか思っていない

 彼女は愛するものを奪われた時すでに狂ってしまっていた

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