表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
89/384

2-16

 ダキシオン王国王都のコスタベルカは既にたくさんの冒険者や名のある騎士、格闘家、剣豪がひしめき合っていた

 王都の近くには簡易の街が築かれ、そこにも多数の戦える者たちが集まっている

 現在ほぼ世界中の戦力がここに集結していた

 その戦力の筆頭に立つのは真の勇者としての力を受けた桃だ

 その力は以前の比ではなく、女神達に迫る勢いだ

 それでも鍛錬は怠らず、槍聖ジェインや赤い閃光のセリアン、天狼星のイン、大地の撃鉄のゴーンたちと共に本番さながらの激しい戦闘を行っていた

 

「強くなったな桃殿!」


 ジェインは嬉しそうに声をかける


「全くですもはや私たちを圧倒してますからね」


 セリアンも満足そうだ

 Sランクである彼らは強者ゆえにまともな訓練相手がいないのだが、お互いならともかく、桃のような神に近い力を持った者との戦闘はなく、桃との鍛錬は自分たちの実力をさらに押し上げていると感じた


 そんなさなか、皆に吉報が走った

 パリケルが希望をつれてかえってきたのだ

 そう、この世界の神よりはるかに強く、この世界を消滅させようとやって来る神々に対抗できそうな存在、ルーナを

 

 ルーナ達は驚いた

 なぜこんなにも人が集まっているのか、そしてなぜみな一様に決心した顔なのか

 自分たちがいない間に何かが起こったのは間違いない


「戻ってくれたのですね?」


 真っ先に話しかけてきたのは敵対していたはずの女神達だった

 元邪神である姉神アウラスタリアには以前のような邪悪さはなかった

 その変わりようにも驚いたが、二人の女神は本当にルーナを歓迎しているようだ

 

「あの、私は…」


「いいのです、私たちの不徳の致すところ。 この世界の住人達のことを本当の意味で考えれてはいませんでした」


 女神達にそう言われると少し心が軽くなった気がした

 

「あぁ!! あんた! よくもやってくれたわね!」


 騒がしくルーナに突撃してきたのはすでに魔人ではなく神の使いとなったアナサだった

 体は薄く光り、神々しさまで感じる

 

「アナサ、控えなさい」


「でもアウラスタリア様、あいつ私を」


「大丈夫ですから」


 アナサはアウラに抱きしめられて黙った

 アウラとアナサが交わした家族をあげるという約束

 それはアウラの眷属となることだった

 要は子供である

 アナサは愛情を注がれることに満足していたため、アウラスタリアの言うことならばどんなことでも聞いた

 

「分かりましたよ~」


 抱きしめられてどこか嬉しそうだ


 それから現在オルファスの置かれている状況を女神たちが話した

 もう間もなく来たる消滅の神によるオルファス自体の殲滅

 それに対抗するため世界中から戦力を集めたらしいのだ

 上位の神が何をもって消滅させると決めたのかは分かっていないらしいが、ルーナはともに戦うことを決めた

 何よりこの世界には自分に記憶を戻してくれた人たちがいる

 旅を通して仲良くなった人たちがいる

 彼らを無下に消滅させることなどできない

 自分ならば止められるかもしれないならできることをやる

 理不尽に何かが消されるなんてことはもう見たくなかった


 決戦の時はもう間もなく

 鐘の音が7回空に響いたのちに神々の軍勢が降臨する

 今はただ、戦いに備えて鍛錬を積み、連携を見直すのみだった


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ