集合と散在1
より深い深い世界
そこに神はおらず、吹き溜まりと世界のかけらが散らばり、不要物と成れの果て、終わったものがひしめき合っていた
「ゴドブディブレバイセスタ、メロ、ミケド」
何者かが音を発する
その者には声帯がないため音を発して声としていた
どの世界にもなじまない言葉と姿、住人だが人ではない
「いwrmmヴぉ44j9tjw;?」
それに何かを答える流動体のような姿の者
この世界特有の言語だがお互いに発している言葉は違うという無秩序
だが互いに付き合いは長く、お互いに理解できていた
ふたつは手を伸ばすと、互いを確かめ合うかのように触りあった
「ナフド、これで、キョユウ、デきた」
「うy、行け:はz私たtk3d得¥:ー=」
それらは会話を始める
段々と上の世界でも認識できるような言葉へと変化していく
「フィフィ、行こう。 上へ」
「メロ、行きましょう、上へ」
それらは憧れていた
ずっと、ずっと
しかしそれらが行くことも、憧れることも許されることはない
全ての不要な物、残りかすが寄り集まってできたこの世界
その吹き溜まりから生まれたそれらは神々から認識すらされていなかった
完全に隔離され、遮断され、誰にも知られることはない
かつて全てを作った者によってこの世界は最下層へと封じられた
今でもここには世界から切り離されたものが流れ着く
その流れ着いたものの中にとうとう見つけた
それらが望んでいたものが
「私たちの名前だ。 嬉しい」
「そうね、そうねメロ、フィフィ…私の、名前」
彼らは名前を得て形を成せた
そして、互いに名前を呼び合うことでさらに定着させていく
人型を成すその姿は黒髪が長く、歯は鋭くとがり、鋭い爪に長い耳、真っ赤な瞳に本来人間ならば白目の部分が真っ黒であり、見た目は少女だがその肌の色は夜の闇のように黒い
彼女の得た名前はメロ 混沌の集合
もう一方はショートに真っ白な髪色、真っ白な肌、片腕だけが異様に太く、ねじれ、先は尖っていた
眼の色も白く、その見た目はメロと同じように少女だった
彼女の得た名前はフィフィ 不要の散在
二人はこの真っ暗な不要世界を見渡しながら手をつなぐ
「私たちは存在する」
「だから、認めてよ」
二人は上を見上げ、飛んだ
最下層から一気に下層へと
自分たちの存在を証明するために
モノや物事にはかならず反対が存在します