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2-15

「くそっ! くそっ! くそっ! あんたがもたもたしてるからよ!」


 キュレスは怒り、グリドを杖で激しく殴った


「ぐあっ」


 転がるグリド、彼は全く逆らうことなくその杖による攻撃をあまんじて受けた

 額が裂け、血がにじむがそれでも抵抗しない

 キュレスには絶対に逆らわないよう洗脳されているからである


「あーあ、殴り疲れちゃった。 あいつらももうこの世界にいないみたいだし、あたしたちも行くわよ」


 胸元から取り出した追跡装置と転移装置を起動させる

 追跡装置によってルーナの位置を簡単に割り出せた


「なに? こいつらオルファスに戻ってるじゃない。 まぁどうでもいいけど」


 転移が始まった

 その直後にキュレスは何かを投げる

 それは地面に転がると猛烈な光を発し始めた


「さよなら、この世界の皆さん」


 光は周囲を包み、やがて消えた

 この世界ごと


 彼女がこの世界に放ったのは世界を消滅させる爆弾だった

 もちろんアストが渡したもので、下位世界くらいならいくつ消しても構わないと言われていたので気まぐれに消したのだった



 オルファスへと無事転移が完了し、周囲を見渡すが特に危険もなさそうだ

 のどかな風景が広がっているだけで、平和になったとよくわかる


「どうだぜな、ルーナ、君のおかげでこんなに平和になったんだぜな。 さぁ、みんな待ってるぜな」


 パリケルはルーナとリゼラスを4号の後ろに乗せて走らせた

 意外と大きいので三人くらいは余裕で乗れる


「私のおかげって、私何もしてない。 それどころか迷惑をかけて、女神さまは私を殺そうと…。」


「あの後女神を説得できたんだぜな」


「え?」


「転移するとき姉の方の女神を蘇らせただろう? 確かに俺様達は女神にかき回されて世界は混沌としてたけど、あの女神達にはそれなりの考えがあった。 この世界の争いを無くしたいという考えがな。 邪神になったのもそのせいだぜな。 だから、元の女神に戻れた姉女神は喜んでいたぞ。 それにな、俺様達人間も争いなんてしているのがばからしくなった。 同じ世界の人間なんだから、仲良くしようってな」


 そう、パリケルは嬉しそうに話した

 この世界の女神達には恨まれていると思ていた

 しかし、女神達は感謝しているらしい

 やり方はどうあれこの世界は今平和になっている

 それはルーナがいたからこそ成せたのだから


 

 少し時は戻る

 桃がゲートをくぐるとそこには久しぶりに見る顔がそろっていた

 獣の姫テティ、ともに冒険したアリシャ、トロンとマリー、リュネ、聖女クノリリアに宮廷魔導士のレノス、槍聖のジェインや天狼星、大地の撃鉄といった冒険者たちまで集まっていた


「「お久しぶりですね。 桃」」


 そう声をそろえて言ったのは姉妹女神だ

 顔が全く同じなのでどちらがどちらかわかりにくいが、かつて桃を召喚したのが姉女神アウラスタリア、邪神となっていたが元の女神に戻った

 そして妹女神がオーロレラだ

 二人は仲良く手をつないでいた。 これこそ本来の二人の姿である


 さらに周りを見渡すと、そこに一番合いたかった人の顔を見つけた

 そこにいたのはアルだ

 彼は桃が来たのを嬉しそうに見ていた

 桃のそばまで人をかき分けやって来る


「桃、久しぶりだね」


「う、うん」


 久しぶりに見る愛する人の顔、恥ずかしくて目をそらしてしまった


「大丈夫? 顔が少し赤いみたいだけど」


「ううん、平気、会えてうれしいわ」


 桃はしっかりとアルに抱き着いた

 アルは少し戸惑うが、彼もまた桃を抱きしめる

 周りからはヒューヒューと冷やかしの声が上がるが、そんなことはどうでもいいほど幸せだった


 そしてふと気づいた

 いれば必ず冷やかしに来るはずの人物がいないことに

 そう、パリケルがこの場にいなかったのだ


 女神達に聞いてみると、彼女は今ルーナを召ぶために別の世界へ転移しているんだそうだ

 今この世界の命運はルーナを連れ戻せるかどうかにかかっている

 そう聞いて桃は驚いた

 今この世界は上位の神々の手によって消滅の危機にあった

 だから勇者の素質のある桃が再び召喚されたのだ

 素質、そう、彼女はまだ勇者に成れてはいなかった

 正式な女神の祝福を受けていなかったから

 でも今度は違う

 女神二人から本当の祝福を受けて真の勇者となることができた


 これから来る戦い

 この世界は消滅から抗う

 心は一つだった


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