神々の思惑3
キュカの監視によって捕捉され続けているルーナ
神々はその動向を見つめる
「魔王を倒したようですね。 それにしても下位次元の人間は何とも醜悪な者が多い。 自分勝手に魔王になり他者を虐げるなどあまりに身勝手です」
キュカは少し怒っているようだ
そのまま監視を続けていると、とある人物が目に入った
「ん? あの少女は、オルファスの?」
「どうした? 何かあったのか?」
転生の男神ヴァヌスがのぞき込む
「えぇ、この少女がなぜか世界を渡っているのです」
そこに映っていたのはパリケルの姿
「これは、魂の在り方を曲げた愚か者か、この者は我ら神の領域を犯した大罪人、オルファスと共にけすはずだったはずだが?」
オルファスが消される理由、それはパリケルの魂の研究が大きくかかわっていた
別にあの世界の女神達が何かしていようと、魔人たちをよみがえらせようとそれはどうでもよかった
あの世界で完結している話なので彼ら最上位のかみがみにとっては本当にどうでもいいこと
しかし、パリケルの魂の研究は偶然が重なったことにより深淵を覗いてしまった
その結果、人の身でありながら自らを転生させてしまうという神の御業を起こしてしまった
そして神々に目をつけられた
特にヴァヌスが相当怒っており、自らの手で滅ぼすとまで言ったほどだ
二度と転生も何もできないよう魂ごと消滅させる
それがパリケルに課せられた罰
「とにかく、この者はまたオルファスに戻るようです。 どうせほろぼすのですからそこで消滅させましょう」
「そうだな。 俺が行く、誰も手を出さないでくれ」
周囲にいる神々に了承を得ると転移を司る女神エインカによってオルファスへの転移を始めた
軍勢の男神ロガに借りた神兵と共に
その時キュカの声が響いた
「待ってください!」
「どうした?」
「パリケルに力の神候補がついて行っています!」
「なんだと!?」
ルーナがパリケルともう一人、リゼラスと三人で転移しているのが見えた
「ならばオルファスに来るということか」
天の男神ラシュアはヴァヌスに念を押す
「いいですかヴァヌス、候補は攻撃してはなりません。 あの子を害悪な世界から必ず守り通すのです。 オルファスを消滅させて保護しなさい」
「あぁ、わかっている。 あの子は俺たちの大切な末妹となるのだからな」
わかっているとうなずき転移していった
「さて、あの子を覚醒させるに至るか、それとも…」
オルファスに戻って行くルーナを優しく見守る神々
その目は本当に妹を見るかのようだった
短めだけどオルファスが消滅する理由を書いときたかったんです