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パリケルの異世界放浪

 バイクのような乗り物に乗った少女が砂煙を巻き上げながら街道を進んでいく

 かけたサングラスが良く似合い、たなびく長い髪の毛が時折顔に絡みつくのを掻き上げて直す

 その動作も非常に様になっている

 街道に出る魔物たちをものともせず、バイクから出る兵器で冷静に対処していった

 ガトリングをぶっぱなし、巨大な魔物にはミサイルを撃ち込み、固い敵にはレーザーを射出した

 この世界にはない技術は圧倒的で、向かうところ敵なしといった状態だ


「ふむ、上々上々ぜな!」


 ご機嫌な様子でバイクにまたがって走り続けていくとようやく大きな街が見えてきた

 ようやく到着、ここまであの簡素な村から二日ほどかかってしまった

 道中に宿はなかったため当然野宿だったが、魔物に襲われることなく無事に過ごせた

 それもこれも新機能のエネルギーフィールドのおかげだろう

 周囲から魔素を吸収して魔物が触れるとダメージを受ける結界を半永久的に展開できるため夜でも安心して眠れた

 

 街に到着すると、一斉に視線が集まった

 誰も見たことのないような乗り物に乗った少女、それも美少女とくれば注目の的にもなる

 彼女はそんな視線も気にせずバイクを元のパリケルちゃん4号へと戻すと背中に背負って街の中へと入った

 パリケルちゃん4号は非常に軽くて丈夫な素材で出来ているので背負うのも苦ではない


「かなり大きな街みたいだぜな。 どれ、ルーナの聞き込みでもしてみるか」


 早速ルーナの居場所を知るための聞き込みを開始した

 かなり特徴の多い少女なので見ている人は多いとふんだのだが、あまりにもあっさりと情報が手に入ってしまったのであっけにとられる


 なんでもこの世界の勇者なのだそうだ

 どこからともなく神雷のように目にもとまらぬ速さで現れ、魔王の配下から人々を救って回っているらしい


「ふむ、あの子らしいぜな」


 納得したようにうなずくと居場所を聞いてみた

 しかし誰も彼女の居場所を知らないようで困っていると、商人の一人が少し前に見たと言った


「ほんと!? どこにいたぜな!?」


 飛びつくように商人に聞くと、ルーナはこの街から北西にある獣人の国との国境付近で魔王の配下と戦っていたそうだ

 それも二日ほど前なのだという

 

まだそれほど遠くに行っていないかもしれないぜな。 行ってみる価値はありそうだぜな


 パリケルはその日はこの街で宿を取ることにして翌日の早朝旅立った

 しかし音速すら超える速さで空を飛ぶルーナのことである、未だにそこにいるとは限らない

 それでも何か痕跡は見つかるかもしれないのでその国境まで4号をとばした


「ここが国境…。 確かに何かが戦って形跡があるぜな」


 そこには地面が抉れた跡と、何かの破片、それと、ルーナの物と思しき羽が落ちていた


「これはいいものを見つけたぜな!」


 パリケルは羽根を拾うとそれを4号の検査機の中に放りこんだ

 4号の機能の一つ、追尾機能を作動させるためだ

 これは、中に入れたものと同じ成分を探し出すことができる機能で、人探しやモノ探しにはうってつけの機能だった


「さぁ4号ちゃん! ルーナを探しておくれ」


 パリケルは4号の頭を撫でてスイッチを起動させた

 カタカタと動き出す4号、バイクに変形するとパリケルが乗り込むのを待って発進した

 自動追尾なのであとはお任せである

 ハンドルの間にあるパネルには地図が映し出されていた

 空に放ったドローンによって周辺の地図は既に把握している

 4号の万能さにパリケルは満足した

 その地図には赤い点が光っている

 どうやらここからそう遠くない場所に羽の持ち主であるルーナがいるようだ

 

「待っているのだぞルーナ、私は必ず君の秘密を暴いて見せる! それに、水臭いじゃないか、別れも告げず行ってしまうなんて…。 一度俺様達の世界に戻ってもらう。 そして、パーティーだぜな!」


 ルーナとともにパーティーで騒ぐ夢を見ながらパリケルは4号を走らせた


心が動かされることから逃げるな

この言葉を座右の銘にしたい

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