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2-12

 敵は恐らくこの世界でも屈指の強さを持つのだろう

 現に目の前でSランクと思われる冒険者が重傷を負い息も絶え絶えに倒れている

 早く治療しなければこのまま死んでしまう

 しかしルーナは慌てない

 敵は既に消滅しかかっていた


「なんだ、この力、は…。 一撃だと?」


 ダメ押しでもう一度水平に手のひらを打ち付けて敵を滅ぼす

 もはや敵は原形をとどめていない

 ルーナは冒険者たちに駆け寄ると傷を手当てしていった

 気絶している冒険者たちを介抱し、彼らが目覚める前にその場を後にした

 

 Sランクをあっさりと全滅させれるほどの実力を持った敵だろうとルーナにとっては有象無象と変わらなかった

 敵の強さは既にこの世界を蹂躙できるほど整っているにもかかわらず、全くその侵略は進まない

 魔王はどうしようもないイライラを全て自分の潜伏している村人にぶつけていた

 村人の死体を村人自身に片づけさせてからまた別の村人を残虐にもてあそんで殺す

 既に村人の数は半数を切っており、老人は全て死に絶え若者を残すのみとなっていた

 

「くそっ! くそっ! くそっ!」


 村人を生きたまま切り刻みながらその怒りを吐き出し続ける仁

 

「ねぇ、君たちも手伝ってくれないかな? あのガキを殺すのを」


「ならあんたがおとりになりなさいよあたしらがあいつを殺してあげるから」


「いいねそれ、そうしよう」


 てっきり断ると思っていたキュレスはあっけにとられた

 彼は自分をおとりにルーナを倒すことを了承したのだ

 

「じゃぁさっそく僕があのガキをおびき寄せるからあとは任せるよ。 僕が死んだら呪いを振りまいておくからあてられないよう気を付けてね」


 仁は自分の命すら何とも思っていなかった

 ただただ全部をかき回してぐちゃぐちゃにしたいだけ

 それだけが彼の望みだった


「いいわよ、じゃぁリゼラスに特攻を任せましょう。 こいつ何の役にも立たないんだもん」


 リゼラスは目を見開いた。 洗脳される前、まだアストが自分たちを支配する前はあれだけ慕ってくれていたキュレスの口から飛び出した自分を捨て駒として扱うような発言

 しかしこれはチャンスでもある

 そのままルーナに真実を告げてアストを止めてもらおうと思った

 

自分はどうなっても構わない。 でも、キュレスや、皆だけは守らなければ。 あの邪悪な勇者の手から


 リゼラスは操られているように見せかかてその命令を受けた

 最も危険な任務、しかしルーナに真実を伝えれるチャンス

 仁と共にリゼラスはルーナの元へ向かうことになった



 ルーナは近づいてくる気配を感じ取った

 今までで一番大きな気配

 それが高速で近づいてきている

 ルーナは迎え撃つ体勢を取り、拳を前に突き出した

 空から黒い影が落ちて目の前に立った


「本体で会うのは初めてだね。 勇者ちゃん?」


 姿を現したのは魔王自身だった


「計画がさ、全部さ、ダメになっちゃってね。 君を殺しに来た」


 微笑んでいるが怒りしか伝わってこない


「悪いけど、あなたはこの世界にとってあまりにも有害。 消させてもらう」


 ルーナは拳を構えて仁と対峙した

 その仁の後ろから一人の女性が姿を現した


「あなたは!」


 リゼラスだ

 彼女はこちらをキッと見据えている。 殺すことはできない 

 自身が暴走してしまっていた時の被害者だから

 リゼラスには自分を殺す権利がある


 だが、リゼラスは様子がおかしかった

 何やらこちらに合図を送っている

 よくは分からないがそこからは敵意が全く伝わってこなかった

 それに、今までの彼女の雰囲気とまるで違った穏やかな空気を纏っている

 彼女に理解したと合図を送って魔王仁との戦闘を開始した

 


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