オルファス
魔女の国シャロア、首都ティノア
ここには今Sランク以上の冒険者、いろいろな国の主要人物、二人の姉妹女神が集まっていた
全員女神が呼びつけたメンバーであり、この世界を守るために集められた
オルファスは今消滅の危機にさらされていたのだ
話を戻すこと数週間前、女神の元に上位世界の神から一つのメッセージが届いた
内容は、無益な世界の消滅
つまり、この世界はいらないと判断されたのだ
なぜなのかは分からない、今まで上位の神々から何かを言われたことなど産まれてこの方なかった
自分たちも一応大神に造られてはいるが、ずっと放置されてきたのだ
世界を創るときも、見守っていた時も誰も何も干渉してくることはなかったのになぜ今になって
疑問が巡るが答えは出ない
ようやくだった。 やっと世界は一つになり、これからより良い運営ができるはずだったのだ
それなのに、上位の神々はこの世界をいらないと判断した
許せない、女神たちは抗うことにした
どうせ消滅するのならば最後まで抗って見せよう
もしかしたら見直してくれるかもしれない。 そういう万が一にも可能性のないことを考えれるくらいには絶望していた
「というわけで集まっていただいた次第です。 これより数年後、この世界を滅ぼすために神兵と戦の神々がやってきます。 恐らくですが勝てません。 要するに数年後この世界は滅びます。 消えます」
どこかすがすがしく言い放つ女神の言動に誰も言い返すことができない
「でも、抗いましょう最後まで。 この世界の総戦力をもって迎え撃ちます。 そのためにまずですね」
女神はあきらめる気などなかった
神兵を迎え撃つために全戦力をもって戦う
女神は何かの陣を展開してその場に発動させた
その陣から現れたのはルーナに殺された魔人たちだった
アナサを筆頭にピニエ、トリトラ、ロルカム、ルガルティン、全員がそこに立っていた
それぞれが冒険者のSランククラスの実力を持つ彼らは戦力としても申し分ない
「な、なによ!? どういうこと? あたし死んでなかった!?」
アナサはきょろきょろとあたりを見渡して驚いている
しかも、目の前には自分たちに力を与えた女神と有名な冒険者たち
なぜ蘇らされたのか全く理解できなかった
「あぁアナサ、また会えたねぃ」
大柄の女性、ピニエがアナサを愛おしそうに抱きしめる
「これは一体どういうことだ? なぜ俺たちは蘇らされた。 もう必要ないだろ。 もう、休ませてくれ」
彼らはもともと不幸な境遇の元に力を求めて魔人となった
既に疲れ果てていたのだ
「あなたたちには悪いことをしました。 申し訳ありません」
頭を下げる女神の姿を見てたじろぐ魔人たち
「なに? 何なのよ」
「聞いてください。 これから数年後、この世界は滅ぼされます。 私たちは一丸となってこの危機を乗り越えなければなりません」
「ハァ? 何わけわかんないこと言ってんのよ! 知らないわよそんなこと!」
アナサは怒り心頭と言った様子で女神を罵倒し続ける
「まぁまぁアナサ、お話くらいはぁ、ききましょぅねぃ」
ピニエが治めてくれた
魔人たちは女神の話に耳を傾ける
「なるほど、それでわざわざ俺たちを蘇らせたわけか」
「えぇ、しかし勝てる保証は一切ありません。 確実に滅びるでしょう。 しかし、まだ可能性がないわけではありません。 あなた方はあの少女を覚えていますか?」
「あの少女? あたしらを殺したあの化け物のこと?」
「そうです。 あの子は恐らくですが私たち女神よりも、いえ、もっともっと高位の存在です」
「は? 何わけわかんないこと言ってんのよ」
女神の説明を受けて段々と理解した。 かつて自分たちの相手にしたあの少女のことを
あれは相手にしていい存在ではなかった
それこそ数年後に来る神兵などよりもはるかに強い
彼女の協力を得られれば滅びの未来を回避できるかもしれないのだ
「今現在彼女を追ってパリケルが次元を転移しています。 あの子ならばあるいは、あの少女、ルーナを連れて戻ってきてくれるかもしれません」
それだけがこの世界の唯一生き残れる道かもしれない
魔人たちも協力することを誓い、ここにオルファス同盟が結成された
真の意味で一つの世界が団結したのだ
「結局消滅させるのか? シンガ」
「あぁ、あの女神の力が振るわれた世界などあるだけ無益、ラシュアも好きにしていいと言っていたからな」
「キュカ、様子はどうだ?」
「えぇ、下位女神二人がルールを破って住人たちと協力し合っているようですね。 全く、これだから回世界は」
「そのまま監視を続けてくれ。 気になることがあれば教えてほしい」
「わかったわ…。 あ、そういえば、この世界から一人少女が次元転移しています。 まぁ、何ができるというわけではないでしょうが一応監視をつけておきますか?」
「ほおっておけ、次元転移など次元の安定しない下位世界では珍しくもないだろう」
「分かりました」
彼らはパリケルに興味を持ちすらしなかった
それが間違いであると気づかぬままことは進んでいった
ただ、一人、シンガはパリケルの力に気づき、ひそかに考えを改めているようだった