神々の思惑2
ルーナとサニーがなぜ力の神であったエイシャの力をその体に受け止めることができたのか分からない
神の依り代は通常激しい修行と持って生まれた力が必要となる
だが二人は普通の家、平凡な出生、修行をしたわけでも祝福されていたわけでもない
ではなぜ彼女らは力を制御できるまでになったのか
それは一人の神による力と偶然が重なった結果だった
他の神々は知らない。 創造の大神であるゼロですらだ
「どうですか?彼女たちの様子は」
「えぇ、わたくしの監視の力で捕捉できています」
監視の女神であるキュカが答えた
彼女の力はどこだろうと誰だろうとその目で捕捉する
さらに捕捉したものは任意の相手に見せることもできる
「これは、下位の女神達か…。 まったく、好き勝手してくれているな。 我らが介入しないからと言って、無価値、消すべきか?」
「放っておきなさい。 下位世界の数は多すぎます。 いちいち対所していたのではキリがありませんよ」
「それもそうだな」
消滅を司る男神シンガを天を司る神ラシュアが諫める
下位女神達が何をしているかまでは確認しなかった
「どうやら二人は転移したようですね…。 同じ下位次元ですか。 力の制御率はどうです?」
「安定しています。 段々と使いこなしているようですね。 力の神として覚醒するのも時間の問題かと」
「本当にわたくしたちの元へと迎える気なのですか?」
キュカの問いにラシュアは少し考えるかのように間を開けて答えた
「あの二人は来るべきエイシャ達との戦いに必要です。 あれについて行った神々は決して少なくない。 それに、封印していた愛の女神アズリアが何者かに解放されました。 恐らくエイシャの手によるものでしょう」
召喚術によって無理やりアズリアを解放したエイシャ、現アストは既にかつて引きつれていた幾人かの神々を呼び戻している
着実に力を取り戻してきているようだ
厄介なのは愛の女神アズリアだ
その愛の力で次から次へと仲間を増やす能力はかつての戦争でもかなり難儀した
なんせ立ち向かった神々が次から次へと懐柔されていくのだ
味方が減り、敵が増えていくため力の影響がない彼女の直属の兄姉たちだけで対処するしかなかった
その結果ようやく封じることが出来た
そんな女神が解き放たれて再び猛威を振るうとなると一筋縄ではいかない
早く力の女神としてルーナとサニーを覚醒させる必要があった
あの二人が覚醒すればそれこそアズリアの力など意に介さない
神々はそのためにルーナ達の成長を見守ることにした