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 魔人の一角は倒れた

 アナサと言う魔人の少女の死体は崩れ去り、砂のようになって消えた

 それに伴い魔物の死体もすべてが消え去った


「ルーナ、ちゃん、大丈夫?」


 桃がこの戦闘勝利の立役者ルーナに話しかける

 彼女は今アルに更なる封印を施されていた

 別に封印が破れているわけではない

 弱すぎるのだ、この世界の封印術では

 

 アルは焦っていた

 本来ここまで封印を施されれば動くどころか思考もできず

 そのまま死に至るだろう

 低次元の神ですら封印できてしまう

 しかしルーナの場合はほんの少しだけ体が重くなった気がする?程度にしか感じていない

 アル一人では個の封印は荷が重すぎる

 それでも彼はかけ続けた

 それだけルーナの危険性を分かっているから


 ルーナは桃を見上げてニコリと笑う

 みんな自分のことを思ってくれているのが分かったから安心しているのだ

 

 アルの封印が終わった

 対して影響がないことは分かっている

 ないよりまし、とも言い切れない

 それでも自分の平静を保つためにやるしかなかった

 ルーナを見るが、彼女は何か変わったの?みたいな顔をしている

 どうやら本当に無駄なだけだったようだ


 


 映像を見ていた魔人たちは絶望感に打ち震えていた

 魔人の中でも相当な実力を持っていたはずのアナサがあっさりと、たった一撃で殺された

 それも、勇者の力などではなくその従者らしき少女によってだ

 気が沈んでいる魔人たちに声がかけられた


「やはり貴様ら程度ではだめか。あの破壊神のい動きすら見えていないとはな」


「何言ってるの、よ。アナサがあんなにあっさりやられるのに、私たちが勝てるわけないじゃないぃ」


 自分のお気に入りだったアナサが死んだことでピニエはかなり心を乱していた

 

「お前たちの主、獣魔王とやらは出ないのか?」


「獣魔王様はまだ完全とは言えない。力が足りないんだよ」


「ふん、使えん」


「なんだと!貴様ら、俺たちの前で獣魔王様をけなすとはいい度胸ッ!ゴッ、ぐぁ、ぶ」


 怒りでリゼラスに剣を向け斬りかかった魔人の一人、クオンを彼女は片腕だけで簡単に制した

 頭を掴まれまるで動くことができない

 リゼラス達もまたこの世界より高次元の存在

 この世界の住人なら容易に制圧できる力を持っている


「早く獣魔王様とやらを動けるようにしておけ。それと、獣魔王に魔力を注ぐ者以外は全員勇者を殺しにかかれ。これは提案ではない、命令だ」


 クオンは理解した

 こいつらは今見た破壊神と同様の存在なのだと

 逆らうのは愚か者のすることだと

 魔人たちは全員が支配されてしまった

 獣魔王が完全回復するまでは言うことを聞くしかないと思った

 しかし彼らは知らない

 獣魔王など本当はいないことを

 獣魔王と呼ばれる少女は、かつての勇者の恋人にして英雄だったことを

 魔人たちはピニエ一人を残して全員が勇者を殺すために向かった

 破壊神に出会えば確実に死ぬ

 そのことは分かっていたが逆らうことができなかった

 逆らえば全員殺されるだけではなく獣魔王も消されるから…


「使えんな。あいつらは時間稼ぎすらできんだろう。やはり俺たちが出るか」


「グリド殿、ひとまず様子を見ましょう。あれらも追いつめられている。思わぬ力を発揮するかもしれません」


「…そうだな。見てみるのも面白いかもしれん」


 二人は邪悪に笑っている

 操られている彼らはすでに正しい判断などできなくなっていた


 そんな彼らを覗き見ていた獣魔王、いや、獣の姫は体の震えが収まらなかった

 自分を貶めた邪神よりも邪悪な二人


 「助けて、助けてラウロ」


 今は亡き先代勇者の名を呼びながら助けを乞うた


この世界での話も佳境ですね


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