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テルルーノで一泊し、目的地である首都ティノアを目指す
道中は安全が確保されており、魔物などを寄せ付けないマジックアイテムが数百メートルごとに設置されている
そのため誰もが気楽に街道を行き来できた
街道にはかなり多くの魔法使いや魔導士、冒険者たちが溢れており、その誰もがティノアへと向かっているようだ
数時間後無事に何事もなくティノアへとたどり着いた
かなり大きな町で、魔女の数も多くテルルーノ以上に賑わっている
まずはギルドへと顔を出す
魔導士、魔法使い、魔術師が多いこの国は冒険者ギルドにも彼ら専用の部署があるようだ
ギルド長も元冒険者で魔導士だった女性らしい
受付で魔人などの情報を聞く
獣魔王は相変わらず動いていないようだが、魔人は各地で目撃されており、暴れてはいないものの警戒されていた
今のところ暴れたのはアナサだけで、他の魔人はその姿を幾人かが確認されただけである
受付嬢に情報を聞いてみた
「お話は聞いています。勇者様御一行ですね、ギルドマスターがお会いしたいと申しております」
「分かりました」
桃たちは案内されるがままにギルドマスターの部屋へ通された
そこには小さな女の子が大きな椅子に腰かけ足をプラプラさせていた
「お、きたね」
少女は椅子から飛び降りた
小さい、年のころはどう見ても一桁だろう
「下がっていいよ」
受付嬢に偉そうに告げる
受付嬢は恭しく頭を下げて部屋を後にした
この少女がギルドマスターで間違いないようだ
「私がマスターのララン・トリュシカだ」
少女は腕組みをしながらそうつげた
ここのギルドマスターであり、もともと冒険者だった
冒険をしていたのは約50年前、彼女は凶悪な魔獣を討伐したとき呪いを受けた
それは魔法を行使するたびに若返ってしまうという呪い
解呪しようにもあまりに強力だったため叶わず、彼女は冒険者を引退せざるをえなかった
「さて、魔人の情報だったな」
「ダキシオン王国王都コスタベルカ、そこを襲った魔人の目撃証言があった」
「場所はティノアから数キロ先にある荒野、そこの岩石地帯にどうやら大量の魔物を従えたいきしているようなのだ」
「しかし侵攻しようとする気配はない、何かを待っているのかもしれん」
「だが動かれると面倒だ、こちらから打って出ることにする」
「すでに呼びかけて冒険者と魔導士たちが集まり始めている」
そこで桃たちは街道からここに向かうたくさんの魔導士や冒険者に納得がいった
あまりに数が多かったので引っかかっていたのである
「君たちには私の指揮下に入ってもらい魔人の討伐をお願いしたい」
桃はそれを快く引き受けた
獣魔王とその配下は勇者の倒すべき敵である
魔人は自分が倒さなくてはならない、そう考えた
今回はルーナも出撃させる
魔物や魔獣相手に遠慮はいらないのでこちら側の最大戦力として前線に出てもらうつもりだった
桃がルーナを守りつつ(守ってもらうほどやわではないが)ルーナが危険性の高い魔物を撃破していく手順だ
続々と集まってくる冒険者たち
その数およそ2万、相手方は1万ほどとの報告が上がっているので数の上ではこちらが上だが、その中には雷やウワバミといった危険度が災害級の魔獣の姿も確認でき、一概に有利だとはいいがたい
こちらの戦力はBランク以上の冒険者1万人とこの国の戦闘に特化した魔法使いや魔導士1万人だ
魔法を使える者を後衛に冒険者たちが攻める
魔法というアドバンテージを最大限に生かしたいが、雷獣は少し厄介だ
魔法抵抗が高いうえに、雷獣が放つ雷は広範囲を焼き尽くす
桃の盾の力である程度は防げるだろうがすべて防げるというわけではない
そのため雷獣を最初に討つことになった
「では、集合は二時間後、街の外の広場に集まってくれ」
ラランと別れて戦闘の準備を始めた
ルーナは今回攻撃の要となるためミトンを付けずに素手で行くことになった
ルーナと戦闘になった魔物や魔獣は不運だろう
一撃で死ぬことになるのだから