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アリシャが加わったことでアルの負担は軽くなった
アル以外少女という異例なパーティではあるがそこは問題ではないだろう
今まではアルが攻撃と回復を兼任していたのだが、癒しに特化したアリシャの魔法のおかげでアルは攻撃に専念できる
アノーラを出ると、次に目指すはシャロアの首都ティノアまでの中継街のテルルーノ、ここはマジックアイテムを多量に売っており、それによって生活が成り立っている
冒険者の出入り、商人の出入りも多く、神具をもつ桃はともかくアル、ルーナ、アリシャはここで装備を整えることにした(アリシャは母親のスティックを使うので防具のみ)
パリケルは自作するのでいいとのこと
入ってすぐに活気あふれる街並みに圧倒された
何より冒険者の数が今までと段違いだ
皆マジックアイテム目当てにこの街を訪れているようだ
それもそのはずで、ここで作られる武器や防具はドワーフが作るものと同じくらいの性能がある
といっても防具や武器そのものを作っているわけではない
もともとできている通常の武器や防具に魔法を付与して性能を上げているのだ
さらに、ここでは魔法薬も多く生産されており、その効果は通常より上で、安価で手に入るので皆がこぞって買いに来るのだ
「では僕はルーナと武器を見に行ってきます」
「じゃぁ私はアリシャちゃんと防具を見てくるね」
「俺様は二号ちゃんの部品を見てくるぜな」
こうして三組に分かれ、それぞれの目的のために街中を探索し始めた
ここはパリケルも初めて来るそうなので探り探りである
武器屋に入ったアル
ここでは自分で纏わなくても魔力をこめるだけで炎を纏わせる剣や毒や麻痺を与える剣などがある
アルはその中から変質剣と書かれた剣を手に取る
説明書きを見るに、自分の魔力に沿って変質する剣のようだ
これは、面白そうな剣だな
よし、これにするか
アルはその剣を選んだようである
値段はそこそこするが、アルは結構ため込んでいたのでそのくらいのお金は持っている
問題はルーナだが、彼女の場合は他の者と事情が違う
なんせ体が武器そのものなのだ
魔物相手ならば問題はないが、人間相手だとどうしても手加減が難しい
ほんのちょっと小突いたつもりであっても死に直結する
だから相手を殺す目的で武器を買うのではなく、むしろこれは相手の命を守るためでもあるのだ
結局ルーナが買ったのはフワフワミトンという手に付ける防具で、ガードしたときにフワフワの綿が飛び出す
これを防御ではなく攻撃に使うのだ
これなら相手を殺す心配が軽減するだろう
魔物相手には素手で、盗賊などの人間相手にはこのミトンをつけて戦うことにした
そのころ桃とアリシャは防具を見ていた
桃の鎧は現在レノスにもらった最高クラスの防具で、防御力の底上げもしてくれる上、ある程度の魔法なら防いでくれるので買う必要はない
だからアリシャの防具を見ることに専念した
彼女は冒険者になったばかりなので防具というより普通の服でしかない
防御力があまりにも心元ないのだ
母親の形見のスティックは実は性能のいいものだったりする
回復魔法の威力を底上げする上に、特殊な魔法を行使することが可能となる
それは植物操作魔法と言って、どんな土地でも植物さえあればそれを操り武器として使うことができるのだ
その能力についてはいずれ使うことになるだろう
結局アリシャの防具は白者のローブ(子供用)と白者の帽子を購入した
こちらは詠唱時間を短縮してくれる効果と、ある程度の回復魔法なら無詠唱で行使できるようになるというもの
それに加え結界術も施されており、自動で結界を張ってくれるようだ
値段は結構高い、しかしパリケルにお小遣いをもらっているので何とか買えた
そのおかげで財布はほぼ空になったわけだが、アリシャは首が取れそうなほどお辞儀で感謝しているし、大喜びだったのでまぁいいだろうと桃は思う
そしてパリケルはというと
部品の少なさに嘆いていた
ここでの二号ちゃんの強化は難しいようだ
ドワーフの国まで行けば相当強化できそうなのでそこまで我慢しようと心に誓った