表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/384

1-22

 あの大規模な戦闘からすでに一か月が経とうとしていた

 戦闘に参加していないルーナは戦闘中はギルド内で待機していたらしい

 いざというときの切り札として投入予定だったのだがそれは杞憂に終わった

 勇者たちだけで十分対処できたからだ

 それはSランクに近いAランクの冒険者たちの参加も大きい

 この戦闘で多数の死傷者が出たが、街の住人には被害は出ていないためすぐに復興は成された

 

 勇者桃たちは街から旅立つ準備を始めている

 いつ魔人が襲ってくるかはわからないが、この街の警備にSランクの冒険者たちがつくことになっているのでひとまずは安心だろう

 それに、パリケルが技術提供として最新鋭の機械型装備を王都の騎士や兵士に配備してある(もちろん報酬は受け取った)

 ちょっとやそっとでは王都を蹂躙することなどできないだろう

 周辺の街にも最低一人はSランクが配備されたので一つの街が襲われてもそのSランクが対処している間にパリケルの用意した転移用マジックアイテムですぐに援軍が駆け付ける手はずとなっている


 いまだ魔人の動向はつかめていないがひとまずはこれで安心といったところである


「さて、じゃぁ行こっか」


 準備の終わった仲間たちに桃は声をかける

 泊まっていた宿をチェックアウトし、荷物を背負うとその足でギルドに顔を出した

 ギルドで少し話し、挨拶を済ませると街を出る

 向かうは北の隣国シャロア、魔法使いが住人の大半を占める魔導の国だ

 強力な魔法使いが多く、ダキシオン王国とは同盟国でもあった

 

 街を出て森の街道沿いにまっすぐ北へと向かう

 この街道は魔物も少ない安全な街道であるとともにシャロアへの直通路でもある

 そのためか、人の行き交いが多く、夜以外は賑やかな街道だ

 野営をするためのスポットも多く点在し、夜はそこにテントを張るつもりである


 シャロアに行ったことのあるパリケルに先頭を歩いてもらう

 アルはこの国から出たことはなく、桃とルーナは言わずもがなだ

 多くの人とすれ違いながらゆったりと街道を歩き続ける

 途中で魔法使いだけの珍しい冒険者パーティとすれ違ったりしながらのんびりと景色を楽しみつつ進む

 現在季節は春なのか、ぽかぽかと気持ちのいい陽気に咲き乱れる美しい花々の色どりと香りが桃たちを楽しませた


 道中特に何事もなく、三日後には無事国境の関所へとたどり着いた

 ここでは簡易な検査のみで通してもらえるようだ

 魔物が化けていないかや危険な物を持ち込んでいないかなどを調べるだけである

 調べるのも簡単で、魔法をかざし敵意や危険物を確認するだけである

 武器などを運ぶ業者もいるので危険物を持っていた場合は書類に書き込んでもらう

 この書類はマジックアイテムであり、うそなどをかきこんでもすぐにばれるため抜かりはない

 

 国境ではずらりと列に人が並んでいた

 冒険者や商人、観光目的の一般人などさまざまである

 桃たちもその列に並ぶ

 順調に列は進み、30分ほどで桃たちの番となった

 一旦武器は預け、個々に検査を受ける

 

 桃、アル、パリケルは問題なく通れたのだが、ルーナが引っかかってしまった

 彼女の力の異常性がどうやら反応してしまったらしい

 結界で力の大部分は抑えられているはずなのだがそれでも漏れ出る力はあまりに大きい

 大音量で警報が鳴ったのだ

 

 慌てる国境兵たち

 ルーナにいろいろ聞くのだが、泣きそうな顔の少女を見て兵たちもなにかの間違いだったと納得した

 一応冒険者の身元証明となるカードがあったためそれが手助けとなった


 少しトラブルはあったものの、無事国境を越えることができた

 目指すシャロアの首都ティノアまであと少し

 今日のところは国境を越えてすぐの街アノーラで宿をとって翌日出立することにした


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ