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魔人アナサ

 幼く、に若干釣り目の可愛らしい顔立ちにギザギザに生えた鋭い牙

 その牙をグッと噛みしめて悔しがるように速足で歩く少女

 出てくるcランク以下の魔物を拳だけで屠る行動がなければプリプリと怒っているだけの可愛い少女に見える

 

「だめ!ダメ!こいつも!こいつも使えない!」

「ったく!ダメダメじゃない!」


 少女の名前はアナサ

 獣魔王の配下、八魔将の一角だ

 姿こそゴシックロリータを着た可憐な少女だが、人を喰らう危険な魔人だった

 大好物はミートパイである


「まさかアルゴスまでやられるなんて…」

「人間を侮りすぎたわ」


 反省しているのか、ため息をつきながら大き目の石に腰を下ろす


 ここは魔物や魔獣が数多く生息する危険区域、獣魔王が封印されていた土地

 現在八魔将は侵略の足掛かりとして別の土地に居を構えているが、本来はこの過酷な環境で生きてきた

 そのためか、彼ら魔人はAランクを超えている者が多い

 アナサも幼いながらその一人であった

 彼女には自分より格下の魔物や魔獣を従えるという特殊な能力があったのも生き残れた要因の一つであろう


「さて、反省終わり!」

「ガンガン行くわよ」


 再び歩み始めるアナサ

 自分のお眼鏡にかなう魔物を探すのに必死だ

 Aランク相当の魔物アルゴスは意外なほどあっさり人間たちに倒されてしまった

 それが悔しくてたまらない

 ここならばアルゴスと同等かそれ以上の魔物が数多くいる

 

 まもなく危険度がさらに増す区域

 Bランク以上の魔物がひしめき合う中央部だ


「フン、襲ってくればいいのに、どいつもこいつもビビッてダメダメね」


 周辺にいたBランクの魔物は知恵があるためアナサに襲い掛かることはない

 そんなことをすればどうなるかわかっているからだ


 そんな中、アナサに狙いを定める魔獣がいる

 大きさは中型犬程度だが、かつて単体で一つの国を滅ぼしたこともあるA+に相当する魔獣、雷獣だった

 雷と共に現れ、周囲に落雷を振りまく災害級の魔獣

 自らの体を雷に変質させることもできるため物理攻撃も効果が薄い


「ニャハハァ、いいのがいるじゃない」


 アナサは雷獣に対峙する

 バチバチと体に雷を纏った雷獣は、アナサが動き出すより早く、雷のように迫って来た


「ニャハハ、意外と速いじゃない!」


 その突進を片腕一本で受け止めている

 バチバチと流れる電流をもろともしていないようだ


「お前、一緒に来なさいよ」


 アナサは能力で雷獣の脳内を書き換えていく


 すっかり書き換えたあと、雷獣はおとなしくなり、すがるようにアナサに懐いた

 それをアナサは撫でる

 

「さて、次はどの子にしよっかなぁ~。ニャハハハハハハ」


 満足したように笑うアナサ

 無邪気な笑いに見える

 彼女はただ思っていた

 自分を置き去りにした人間の母のことを

 死に物狂いで生き抜いた日々を

 魔人となったその日を


「ニャハ、おかーさん、私強くなったから、早く迎えに来てよ…」


 空を見上げて何かを思う

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