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1-1

 最初の内こそびくびくとおびえ、初めて会う人に驚いたり震えたり

可愛そうになるほどおどおどしていたルーナだが

日を追うごとに心を開き、ミシュハにはべったりと懐いていた

 どこに行くにもついて回り、魔術や戦いについての勉強も一所懸命で

読み書きこそ最初全くできなかったものの

ドルレリッサというエルフの女性が読み書きを教え、少しずつ覚えていった

 (ちなみにドルレリッサは学術師で、ミシュハとともにルーナの面倒を見ている)

ルーナは物覚えが良く一度教えればなんでもこなした


「あの子の様子はどうですか?」


 ミシュハはクリアに呼ばれそう聞かれた


「非常に賢く、何でもそつなくこなしています」

「字はまだあまりかけませんが、この世界の文字もかなり読めるようになっています」

「魔術や戦闘に関しては正直目を見張るものがありますね」

「たった二日で強大な力をコントロールし、一週間で槍術をマスターしてしまいました」


 槍術を教えた理由はザスティンが先生となっていたという単純な理由

彼は様々な武器の扱いに長けているが、槍が一番しっくりくると常に槍を担いでいる


 魔術の先生はニニアという角の生えた女性だった

ユニタイトという一角のある種族で魔術の扱いに長けている


 ニニアはあまりしゃべらないが、必要最低限な教えだけでルーナは魔術のコツをつかみ使いこなした


 ルーナは初めて使う魔術にときめいた

自分の手から火が、水が、雷が、様々なエレメントの魔法が飛び出たから


 初めのうちは威力こそあまりに強すぎて近くにある草原を丸々焼き払ってしまったが

コツをつかんでからは手のひらで炎の人形を躍らせるほどに繊細なコントロールができた


 そして治癒術

この力の使い方はミシュハが教えた

 普通魔術に長ける者は治癒術が苦手だったり使えなかったりといったことが多いのだが

ルーナはどんなことでもでき、どんなものにも適性があった

 耐性も結構なもので、炎に関しては無効、その他は半減、魔法に関しては完全耐性がある

 ただ、光属性に関しては弱く、自らも使うことができなかった


「報告は以上です」


「なるほど、それではあの子は健全に生活を送れているのですね?」


「はい、この分ならば時機に街を歩かせても大丈夫でしょう」


「えぇ、しかし念のためあなたもついて歩きなさい」


「そのつもりです」

「緘口令は敷いてますのであの子はただ子供として受け入れられるかと思われます」


 異様な姿をしたルーナが人目についても気にされない理由

それは、様々な種族が入り乱れるこの世界でハーフやデミゴッド、クアトロクオーター(四種族が混じった種)など珍しくないため

 ルーナもちょっと珍しいクオーターくらいにしか見えないだろう


 それから数日

いよいよルーナが街に繰り出す日が来た

 数百年の安全がこの地を観光名所に変えており

城を見に連日のように観光客が行きかっていた


 初めて見る街の様子、多くの人々

見たこともないものすべてにびくつきながらも様々なものに興味を示した

 なかでも宝飾、アクセサリーを目をキラキラさせながら見ていた


「欲しいの?」


 ミシュハに聞かれビクッと驚いた顔をした


「い、いえ、見てただけ、です」


 ミシュハは露店の主人に赤い水晶の付いたペンデュラムを指さし、購入した

それをルーナの首にかける

 驚いて目を大きく見開く


「あ、あの、これは?」


「プレゼントよ、ちょっと遅いけどお誕生日のね」


「お誕生、日?」


「えぇ、あなたの誕生日」

「自分の誕生日がわからないって言ってたでしょ?」

「だから、あなたと出会ったあの日をあなたの誕生日にしようと思うの」


 ルーナは目を輝かせた

今まで誕生日など祝ってもらったことなどない

プレゼントももらったことがない

ミシュハの厚意に素直にお礼を言った


 その日以来ルーナは一度もこのペンデュラムを外すことがなかった


 初めての街ブラは非常に有意義で、屋台で串焼きを買ってもらったり

可愛いぬいぐるみも買ってもらった

人生初めての幸福な日

この幸せが永遠に続けばいいと思った…


ぬいぐるみ持った女の子ってかわいいですよね

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