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石野の異世界放浪記16-3

 近代的な世界へとやって来た石野は新たに仲間となったプリシラとその世界を見て回っていた

 わずかながらルーナの気配がしたからである


「うーやっぱり無理っすよ、こんな広い世界でたった一人を探し出すなんてぇ」


 弱音を吐き始める岸田を無視して全員が少しでもルーナの気配を手繰ろうとする

 そこに神と思われる大きな気配を感じた

 どうやらその気配は見知った者の気配のようで、好都合とばかりにその気配のする方へと走った

 相手側もこちらに向かってきているようなのですぐにでも合流できるだろう


「この気配って確か、ルーナちゃんと一緒にいた子の気配っすよね? なんか前に会った時よりはるかに強い力を感じるすけど」


「ふむ、確かにこの感じ、上位の神々と同じ、いやそれ以上かもしれないな」


 岸田含め仲間たちは全員その力の流れを感じるようで、それはこちらに向かってくるその者が神であることを示していた


「見えたぞ、やはりないなみちゃんだったか」


 石野は光の女神であり、ルーナの友人でもあるいなみを見つけてその元気そうな姿に安心した

 彼女は飛ぶスピードを落としてゆっくりと石野に近づく


「お久しぶりです石野さん。 それと、君がプリシラちゃんだね?」


 傍観していたプリシラはまさか自分の名前が呼ばれるとは思ってもみなかったのか、驚いていなみの顔を見る

 面識はないはずだと再確認し、首を傾げた


「あの、確かに私がプリシラですが、貴方は一体?」


「僕は、そうだね、一応光の女神かな? で、ルーナちゃんの友達で、君のお母さんの知り合いでもある」


「おかあさ、メシア様の!?」


 さらに驚いているプリシラにここに来るまでのいきさつや事情を説明する

 それに納得し、また眷属を作ったことを怒っていなかったメシアに対してホッと胸をなでおろした

 (まあお母様に限ってそのくらいで怒ったりはしないよね)とも思ったが、口には出さず胸にしまっておく


「で、もしかしたら知っているかもしれないけど、僕らが合流した理由は」


「ルーナのことだろう? 分かっている。 あの子は俺の娘、必ず止めて見せるさ」


「やっぱり、知っていたんですね。 でもどうやってとめるんですか? 多分今のルーナちゃんは僕らが束になっても勝てません。 全員一瞬で消されるのが落ちでしょう」


「確かに、俺たちでは立ち向かうだけ無駄かもしれん。 だが、ルーナの心に訴えかけるくらいはできるんじゃないか? あの子は強い。 きっと戻って来てくれるはずだ」


 確かにとルーナを知る者たちはうなずく

 時間を稼げるだけの戦力は既に集まりつつあった

 あとはいかにしてルーナを探し出すかが問題だった


「だったら、レコちゃんたちの力と、僕やプリシラちゃんの力を合わせて強力な探知能力を生み出してみるって言うのはどうかな?」


 いなみのその答えに一同は唖然とする

 確かに今までやってみなかった試みで、十二分に可能性はあった

 善は急げとばかりにやってみる


「じゃあ石野さん、レコちゃんたち全員を呼び出してください」


「ああ」


 石野が全ての神獣玉を取り出して力を込める

 そこから十神獣が次々と飛び出してきた


「やっぱり全員集まると壮観ね。 あーそれにしてもレコちゃんのしっぽフワフワで気持ちいいわ~」


 一人だけ緊張感なくレコの尻尾に抱き着くテンコをレコは押し戻した


「じゃあみんな! わちきに続いて! いくよ、十神獣大奥義! “世界の眼”!」


 十神獣が全員で心を通わせ放つ大奥義

 全員が信頼し合っていなければできない技だ

 さらにその力にプリシラとミーラがそれぞれ力を注ぐ

 そのうえでいなみ、アナサ、テンコの力も加わり、強力な探知能力となった

 それはテンコとアナサの力のおかげでアカシックレコードすらもしのぐものとなっていた


「やった! やりましたよ石野さん!」


「どうっちか石野! あちきの眼の力が核を担ってるっちよ!」

 

 神獣たちが口々に話しながら石野に褒めてもらおうと石野を取り囲む


「よくやった。 えらいぞ」


 十神獣は頭を撫でてもらったことで大満足し、ホクホク笑顔で玉へと戻った

 この探知能力の制御はいなみが担うこととなり、その目を見開いて探知を開始する


「なんて強い力、これならルーナちゃん、を…。 見えた! で、でもそんなまさか…」


 いなみはこの事実を伝えるべきか一瞬迷ったが、目を閉じ、石野の方を向くと今見たことを嘘なく伝えた


「ルーナちゃんは、死んだ…。 死んだんだ」

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