想像で創造する女神6
ミーラと数多くの世界を回り、眷属として優秀に育っていく彼女を誇らしく思うと同時に、このようなことに巻き込んでしまったことを後悔もしている
でも、あのままだとこの子は確実に死んでいた
きっとメシア母様が見ていたらひとりの人間に看過しすぎてはいけないと注意したはず
でも、それでもミーラを救えてよかったとは思ってる
「お姉ちゃん、どうしたんですか?」
神力の使い方をしっかり覚えたミーラは、現在その力で私の貸し与えていた創造の力から自分だけの権能を身につけてる
神として覚醒する日も近いかも
彼女の力は“連想”といって、私の眷属らしく無から有を作り出す能力ね
物体を始めに見て、そこから連想されるものを作り出せる
たとえば最初にお水を見て、そこから連想されるもの、氷とか蒸気や水流カッターなどなど、水を見ただけで複数の攻撃方法を生み出すこともできる
もしかしたら私より強力に育っちゃったかもしれないわね
「お姉ちゃん?」
首をかしげてこっちをのぞき込んでくる姿は本当に妹みたいで可愛い
「ううん、何でもないわ。 それじゃぁさっきの復讐をしてみましょうか」
「はい!」
手をびしっと上げて返事をしてる
それから私の言われたことを反芻しながら力の定着のために練習を重ねる
これは私がメシア母様から教わった方法で、イメージをしっかりと持って力を行使すれば思い通りの力を使えるようになる
だから私と似た力を持ったミーラにも同じ方法が通用してくれた
おかげで飛躍的にミーラは成長してる
「お姉ちゃん、見て! こんなにすごいものが出たよ!」
ミーラが出したのは龍。 最初に見たものは紐だからかなりの連想度ね
以前までのミーラは物事を、それこそ字の読み書きすらできなかったから、はじめは言葉やモノの名前などと言ったとにかく勉強に専念させた
ミーラは非常に物覚えのいい子で、教えれば教えるだけ吸収していったわ
こんなにできる子が眷属になってくれるなんて鼻も高いわ
「よしっと、今日の練習はここまでね。 それじゃぁご飯にしましょっか」
一応私達はルーナちゃんを探しているんだけど、その合間合間にミーラの修行みたいなことをしてる
ルーナちゃんは相変わらず見つからないけど、ミーラとの旅は楽しいわ
この子が私の癒しになってくれてる
私は空間収納から昨日に残しておいた野菜たっぷりのシチューを取り出してミーラと一緒に食べた
「ハフハフ、お姉ちゃんの料理、美味しいから好き!」
「ふふ、ありがと」
ミーラががっつくように食べてる姿は見ていて癒しね
シチューを食べ終わってから食器を洗って片し、ゲートを開いた
「それじゃ、次の世界に行きましょうか」
「うん!」
世界を超えるゲート、最近なんだか調子がおかしいみたい
私達神はこういったゲートを作り出すことができるようになっているんだけど、ここ最近は一度言った世界に戻ったり、移動できずにただ通り抜けたりすることが多くなってるわ
私には原因が分からないんだけど、もしかしたら世界で何かが起こってるのかもしれない
今のところは比較的平和な世界しか巡ってないんだけど、どうにも胸騒ぎが収まらなくて怖いわ
恐る恐るゲートをくぐって、私達は別世界へと移動した
「うう、くらくらする」
いまだにゲートをくぐる感覚に慣れないミーラを回復させてから周囲を見渡した
ここは今までとは何か違った気配がするわね
魔力が無い世界みたいで、人や知性ある生き物の気配があまりない
数人? おかしいわね。 知性ある生き物が数人しかいないなんてどう考えてもまともじゃない
でもそれ以外の動物の気配はたくさんしてるし、一体どういう世界なのかしら
「お姉ちゃん、あそこに猫ちゃんがいるよ! 触ってもいいかな?」
「いいと思うわ。 ほら、あの子もこっちに来てるし、触らしてくれるかもね」
そう言うとミーラは嬉しそうにその子猫を抱え上げてお腹を撫で始めた
ゴロゴロと喉を鳴らす猫は気持ちよさそうに目を細めている
そんな様子を楽しく見ていると、急にこの世界の様相が変わった
知性ある生き物が数人しかいなかったはずなのに、今は十数人に増えている
この一瞬で何が起きたのかは分からないけど、10人ほどは明らかに私と同じ、上位の神様の気配だった
すぐに私はミーラを抱えてその気配のする方へ飛んでその10人を追いかけたんだけど、すでに遅かったみたい
10人はこの世界からゲートで消えてしまった
何かわかるかもしれないと思ったのに…
でもまだ最初にいた数人の気配がする
それならと私はその数人の元へ行ってみることにした
ミーラは目をぱちくりとしてるけど、説明してたらその数人もどこかに行っちゃうかも
急がないと
「待って!」
私は今にも転移しようとしていた彼らを何とか引き留めることに成功した
かなり長い間書き忘れてました