表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
360/384

大世界の勇者5

 急に力が覚醒した私はその力を確認してみる

 万能感があるのはいいけど、それに酔いしれていたら守れるものも守れない

 何ができて何ができないのかを知る必要がある


「というわけでいなみと戦ってもらうぜな。 女神であるサニーとならその力を存分に振るえるはずだぜな」


 今私は全力を出せるように誰もいない世界に来ている。 その昔ここは神々の修行場だったらしくて、いまでもその激しい修行痕が残っていて、ところどころがクレーター状にえぐれてる

 私はサニーちゃんと向き合って立っていた

 模倣の女神であるサニーちゃんは人として育てられ、様々な試練や出来事を乗り越えて模倣の女神として覚醒した

 そんなサニーちゃんは手に光を集めて戦闘準備をしていた

 あの光は本当にその辺りにある光を集めたものらしい。 光の女神の力を使っているのだとか

 その力の前では光は自由自在に彼女の意思のままに動く


「じゃぁ行くから、全力で迎え撃ってきなさい。 もちろん私も、始めから、全力で、ね!」


 目の前にいるサニーちゃんが急にぼやけて消えて、私の後ろから、「ね!」という声が聞こえた

 やっぱり光の速さで移動してくるのね。 でもそれは想定内。 そしてそこから後ろに来るであろうこともね

 私の持つ神具は私の世界の双子女神様があつらえてくれたもの。 双子女神様は下位の女神だけど、二人はもて全ての力をこれに注いでくれた

 形は大楯と剣。 その神具にさらに私があの女性から得た力も加わって新たな姿になっていた

 大楯は全てを包み込むような守りを、剣は何物をも薙ぎ払う力を

 後ろから攻撃しようとするいなみさんの拳を大楯を後ろに打ち付けるようにして繰り出して防ぐ

 ものすごい輝きと重さを持った拳だったけど、私の大楯はその衝撃を全て吸収してくれた

 

「ぐ、これを防ぐってことは、神様の全力を防げるってことか、やっぱり体に当てないとあんたは倒せそうにないわね」


 また視界から消えて今度は真上に現れた

 いくら光の速さで動こうとも、私はばっちりサニーちゃんの気配を捕捉しているから、どこに現れるか手に取るようにわかっている

 上を向いて剣を突き出した


「うわっと! 速いじゃない!」


 シュルリとサニーちゃんの体が流動してその剣を避けて拳に溜めた光を私の目に向けて光らせた

 閃光が私を覆い、眩しくて目が開けられない。 一瞬視界を奪われていなみさんの拳がまともにお腹に入った


「うぐぅ! ぐ、くぅ」


 痛いし息ができなくなるけど、それが気付になってすぐに次の行動に移ることができた

 それは追撃からの回避

 すでに次の攻撃を繰り出していたサニーちゃんを躱して剣で斬りつける


「うそ、見えてないはずなのに何で!?」


 これには驚いてくれたみたい。 当然私はまだ視力が完全には回復していない。 それでもこの攻撃を交わせたのは気配を辿ったからだけじゃない

 視えているから

 第三の目。 これは私の得た力の一つで、どれほど視界が悪くても、目が見えなくなろうとも、感覚で全てが見通せるようになっている

 サニーちゃんの動きをとらえることができているのもこの力のおかげ

 

「まだまだ、光陽炎!」


 サニーちゃんの体がぶれて複数のサニーちゃんが動き出した

 忍者の分身の術のようだけど、サニーちゃんの場合光の速さで動いて残像が分身に見えている、というわけじゃないみたい

 この分身全てが本体という特殊な分身


「一斉攻撃させてもらうわよ。 私も全力で行かないとやられそうだしね」


 全てのサニーちゃんが一斉に喋ってるのはちょっと異様だけど、この一人一人全てを相手にしないといけないのはきつい

 しかも全員が光りの速さで動いている。 いくら第三の目があろうとも全ての捕捉は難しかった

 体に拳がガンガン当たってるけど、どういうわけか痛みがあまりなくなっている

 サニーちゃんの攻撃は決して弱まっているわけじゃない。 分身体一体一体が全て本物なんだから弱体化しているわけでもない

 サニーちゃんの攻撃が単純に私に効いていないんだ

 

「どういうこと!? 私これでも一番強い攻撃を当ててるんだけど!?」


 サニーちゃんが段々と疲れ始めている

 そこを狙って剣を振った

 私の剣術じゃまだまだ形にはなっていないかもしれないけど、それでも素人よりは洗練されている自負はある

 体を軸にして回転斬りをサニーちゃんの分身体に当てるとそのいくつかが消えた

 一体一体が本体だけど、全てが消えれば元通り一人のサニーちゃんになる

 だから私も光を超えるくらいの速さで動いた

 これにサニーちゃんも驚いてくれたみたいで、次々に分身体を倒して行けた


「最後!」


 いよいよ最後の一人になったいなみさんの胸元に剣を突き刺した


「くぅ!」


 剣は深々とその胸に刺さって、サニーちゃんの分身体がすべて消えた

 するとあたりに漂う光の球や空から注ぐ光が集まって、再びいなみさんの体を構築した


「うう、悔しいけど、私の負けってことか…。 こんなことでお姉ちゃんを救えるのかしら?」


 サニーちゃんの全力、分身体をすべて倒せたことで負けを認めてくれたみたいね

 それにしても神様に勝てるなんて、私の体どうなっちゃってるんだろう?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ