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魔人

「クソ!クソクソ!ダメダメすぎよ!もっと強力な魔獣はいないの!?」


「荒れてるねぃアナサ。だから言ったろ?本気で行かないと足元をすくわれるってねぃ」


 どこかの廃城と思われる場所

 ボロボロな部屋の一つ、巨大な円卓の置かれた部屋に3人の人影が見える

 一人は王都を襲った魔人アナサだった


「まぁ、いい教訓になったろぃ?」


 アナサをなだめるように大柄な女性が頭を撫でる

 ギザギザの角に左右で色の違う目、細身ですらっとした体系にしなやかな尻尾が生えている

 顔立ちは優しく包み込むような慈愛があふれ出ている

 およそ魔人に似つかわしくない女性だ


「子ども扱いすんじゃないよピニエ、あたしだってわかってるっての!」

「今回は失敗したけど次は勇者を殺す!」


 ギリギリと歯ぎしりをしながら悔しがっている

 

「グフフフ、お前でも反省するんだな」


 男が笑っている

 ギラギラと黄色い目を輝かせ、鋭くそびえた四本角を指で撫でている

 腕が若干長いのか、角を撫でていない方の腕は折りたたんで足を組んでいる

 指には長い爪が生え、血に染まったように赤い

 

「反省、反省くらいするわよロルカム」

「あんなガキ生きたままゆっくり皮剥いで手足をもいで内臓引きずり出してやる!」


「はいはい、次頑張ろうねぃ」


 ニコニコしているピニエ

 よっぽどアナサが可愛いのか抱え上げて撫でている


「それにしても、あの客人はどうしたのよ?」

「あいつら手を貸すとか調子のいいこと言っときながら何もしてないじゃない」


「お客人は勇者に接触するとか言っててねぃ」

「あちら側にいる訳の分からないモノを殺すために必要とか言ってたはずだよぃ」


「若の分からないモノ?」


「そうだよぃ、破壊神とか言ってたねぃ」


「破壊神ん?」


 優しげに笑うピニエは客人が言った特徴とその力をアナサに肩って聞かせる


「馬鹿げてる!それに、そんなのいなかったわよ」


「ん~そうだねぃ、いたらアナサちゃん、殺されてるものねぃ」


 どうやらピニエは客人の言うことを信じているようだ

 

 異世界から来た客人はエルフの女騎士と人間の男

 初めは敵だと思ったが、どうやら同じ世界から来た世界を滅ぼす敵、破壊神を追っているだけらしいことが分かった

 その破壊神はなぜか勇者側にいるというので協力関係を築いた次第だ


 聞いていた話ならばその破壊神が戦場に出ていた場合、敵味方関係なく全てが消されていただろう

 アナサは運が良かった


「ニャハハ。ま、あたしら魔人が本気出せば大丈夫っしょ?」


「そんなんじゃ殺されるぞ」

「いくら戦闘力に特化しているお前でもな」


 ロルカムはボソボソとつぶやいた

 アナサはキッとにらみつける


「あたし、また魔獣集めてくる」


「ほいさ、気を付けて行ってきなさいねぃ」

「あ、なんなら手伝おうかねぃ?」


「いらないわよ」


 アナサは部屋から出ていく


「はぁ、ありゃ何もわかってないよ。いいのかいピニエ、あんたのお気に入りの娘だろう?」


「ンフフ、あの娘ならうまくやるさねぃ」

「信じてるのさ、私はねぃ」


「そうか、ところで、獣魔王様の様子は?」


「目覚めたばかりでまだ本調子じゃないねぃ」

「せいぜい国一つ落とせるくらいさねぃ」

「まぁ私たちが今魔力を集めてるからすぐ回復するよぃ」


「ふむ、では俺はまた情報でも集めてくるとしよう」

「客人のことは他のやつらに任せればいい」


「そうだねぃ、そうしよう」


 アナサに次いで二人の魔人も部屋を出ていく

 それぞれの役割を果たすために


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