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5-17

 エラの存在が消えたのを感覚で理解した

 私を守護していたキキリリ達の本来の姿、それがエラ

 私の姉…

 久しぶりに会えたというのに、彼女はレドに消されてしまった


「エラ姉さん、お慕いしていました。 必ずあなたの(かたき)を、取ります」


「ん? どうしたのですか? 原初様」


 横で原初ことエメの警護をしているのは古の支配者と呼ばれるコシコデン達

 その中のジンダイだった

 

「ジンダイ、私の姉が、消されました。 私の兄である男に…。 私もあの男の元へ行きます」


「それはなりませんぞ原初様、 あなた様の御身は我らコシコデンと闇達が守っております故、この場より離れられてはその守護もままならなくなります」


 止めるのはカタカムナ

 彼女たちではどのみちレドに敵うはずもないが、それでも全員で一丸となってエメを守ると決めていた

 この世界全てを作り出した創造主、全ての母であるエメ

 それはジンダイや闇達の母であることと同義だった


「いいえ、私は行きますよ。 レドは、この世界の全てを消すつもりなのです。 放っておけはしません」


「しかし!」


「わしらもついて行けばよいじゃろう。 わしとジンダイ、それからルワイルの三人でな」


 この三人はコシコデン、闇の中でも特に力が強い。 それなら安心して任せれると他のコシコデンや闇達も同意した

 エメもここまで言われえては仕方ないとそれを容認する


「では行きましょう。 一刻も早くレドの元へ向かわなくてはなりません。 既に世界の4割が彼の手によって破壊されているのですから」


 エメがレドの元へ向かう少し前、ルーナの体を使い世界の破壊を続けるレドは、数えきれないほどの神々に囲まれていた

 誰も彼もが力ある神であり、この場でレドを無力化するために集まっていた

 少し見まわしただけでも逃げることはできないのは明らかだったが、そんな数の差など彼には何の意味もなかった


「はあ、君たちももう少し頭がいいと思っていたよ。 そんな判断もできないから神という下らない器に縛られ続けるんだ。 その点この子は素晴らしかったよ。 ほんの一瞬だったけど、僕らの域にまで達したんだ。 妹を守るためにね」


「だまれ、貴様の話など聞く耳持たぬ。 ミナキを消したお前はこの俺が消滅させてくれる!」


 立ちふさがったのは消滅の神シンガ。 彼は自分を慕っていた妹女神、剛腕の女神ミナキを消されて怒りに打ち震えていた

 周囲が歪むほどの怒りに周りの神々も震えている


「ミナキの敵を取らせてもらおう。 こちらは全員でかからせてもらう。 卑怯だが、やらなければこちらがやられるのでな」


 怒りながらもシンガは冷静に相手の分析を済ませていた

 自分では勝てないであろう圧倒的な力を目にし、すぐに相手を消耗させる作戦から、この場にいる全員をぶつける作戦に切り替えたのだ


「うん、まあそのくらいなら、そうだね、3秒くらいかな?」


「俺はこれでも上位の中でも有数の力ある神だ。 あまり舐めないでもらいたい。 3秒以上はもってみせよう」


「何言ってるの? 全員を消すのにかかる時間だよ?」


「何を馬鹿なこ…」


 シンガの上半身が消えた。 そこから血と臓物が噴き出し、さらにその後ろにいた神々全てが体の一部を消しとばされ、その一瞬で死ねなかった神はもがき苦しんでいた

 今のはレドがただ右手を左から右に流すように動かしただけである

 直後に右から左へ手を流すと、死にきれなかった神々もその全てが息絶えた



「2秒だったね」


 レドは神々であったものの残骸を横目に、この世界を消し去った


「神々もこれで十数体を残すのみかな? まさかこんなところでほぼすべての神々を投入するとはね。 嬉しい誤算ってところかな?」


 いずれ神々は全て消し、それに次いで古の支配者も、闇も、その全てを手にかけるつもりでいた

 そのためここで神々と当たったことは彼にとっては喜ぶべきことだった

 レドは何もなくなった空間に向かって目を向ける

 それは今消し殺した神々に対しての弔いの念を向けるためだった

 彼らはこれから自分の作る世界への犠牲となりここで果てた

 なれば次なるより良い世界への糧になってもらったことを感謝し、敬意を払うべきだとレドは考えていたのだ


「僕はこのままさらに先へ進むんだ。 僕の作る世界はたった一つの大きな世界でなくてはならない。 神も知識ある生命体も動物も植物も、闇も光も、その世界では全てが互いを思い合い、助け合う。 争いなんかない真っ白な世界にするんだ。 そこで僕は自ら世界の糧となろう。 僕は世界そのものになり、永遠に彼らを優しく見守るんだ。 父様、母様、分かってください。 僕は成し遂げなければならない。 あの時あの人に言われた言葉が頭からずっと離れなかった」


 それは彼がまだ種を撒く者である両親と、妹とともにいたころのことだった

 種蒔く者がふと目を話し、レドとレメしかいない場所に突如として、種を撒く者に気づかれることなく何かが侵入した

 それを何と呼ぶのか誰も知らず、また種を撒く者もそれの存在を知らない

 それはレドの前に急に表れ、彼に耳打ちだけをして去って行った

 そのときからである。 レドの内心が変わっていったのは

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