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 およそ一時間で魔人率いる魔物の大群の姿が見えてきた

 報告によるとその数約1万、対してこちらは3万の軍勢

 通常ならば圧倒的にこちらが優位なのだが、相手はAランク以上と思われる魔人に、BランクCランクの魔物がぞろぞろいるのだ

 こちらにもAランクの冒険者は多少なからずいるのだが、Sランク冒険者はいない

 要請したのだが間に合わなかったのだ(各地で魔物の対応に追われているため)


 やがて、魔人たちと桃率いる王都の軍がぶつかった

 桃の盾の効果によってその後ろからついて行く兵たちは身体能力の向上、自然治癒能力を付与される

 魔人は後方で魔物たちの指揮をしている

 魔人と言うにふさわしく、頭には巨大な角、眼は赤く光りその身を黒い甲冑で包んでいる

 腰には真っ黒な剣を差し、顔は仮面で隠していた

 ガタイは細身で背は低い。指揮している声を聴く限り子供のような高い声だ


「ゴアエイプがそっちに行ったぞ!守りを固めろ!」


 Cランクの身の丈4メートルはある巨大な猿型の魔獣が桃に向かって突進してきた

 その突進を盾で防ぐが、ゴアエイプの力によって後ろへ弾き飛ばされた

 その隙をついて何匹かの魔物が桃に襲い掛かった

 

「鋼剣技!大噛!」


 クラップの剣技が桃を守る

 身体能力が向上しているためたった一撃で襲い来る魔物を払いのけた


「これは…これほどまでに強化されるとは」

「桃殿の力は素晴らしいですな」


 魔物を斬りつけながら自らの力に感激する

 体勢を立て直した桃もそれに続く

 アルは魔導により炎を纏った剣で突き進んでいく

 後方待機のパリケルは二号を使って遠くから攻撃している

 どうやらスナイプの機能までついているようだ

 狙いは寸分たがわず魔物の脳天を貫いていく

 弾は脳内で炸裂するため魔物は即死した


 右舷の方ではCランクのブラッドブルという肉食の牛の群れが冒険者たちに襲い掛かっていた

 次から次へと冒険者を引き裂き喰らっていく

 あたりには血だまりと生臭い血の匂いが充満していた

 その中で仲間たちの血に染まりながらも前進する5人組がいた

 鬼人の女性が率いる“赤い閃光”というAランクの女性パーティだ

 一撃一撃が吸い込まれるように急所を捕らえ確実に息の根を止めていった

 そんな彼女たちの侵攻をAランクの魔獣クリムゾンレオが阻んだ

 この魔獣、体毛の色こそ白いのだが、あまりにも凶悪ですぐ血に染まるためこの名がついた

 

 素早い動きと鋭い爪が“赤い閃光”たちを襲う


「フル、右側から攻めて!アシュカは目を狙って!あとの二人は後方支援!おねがいね!」


「了解セリアン!」


「わかった…」


 リーダーのセリアンを中心にそれぞれが言われた通り陣形を取る

 アシュカの放った弓は的確に目に向かったのだがクリムゾンレオは直感から即座に対応し、弓を避けた


「な!私の…弓が…」


 命中精度に絶対の自信があったアシュカは軽い衝撃を受ける

 次いで右側から双剣を繰り出したフルことフルルート

 その刃がクリムゾンレオの脇腹に差し込まれる

 しかし硬い体表に阻まれ小さな傷ができた程度だった

 フルルートに鋭い爪が迫る

 

「あぐぁっ!」


 直撃

 爪により腹部を切り裂かれる

 幸い内臓まで達してはいなかったものの骨は砕け、動けば多量に出血しそうだ

 その場で動けなくなったフルルートにさらに追撃が迫っている

 

「フル!」


 セリアンが聖剣カルベリュートでその追撃を受け止めた


「アイネ!フルの治療お願い!」


「はい!」


 アイネと呼ばれた治癒師の女性がフルルートを抱え上げて後方に下がる

 出血が激しく顔は青ざめてきていた

 

「癒しの波導!」


 アイネが治療術で治療を開始した


「ペニー!二人を守ってて!」


「あいさ!」


 ペニーと呼ばれた魔導士が防御結界を周囲に展開する


「いくよアシュカ!」


 アシュカは弓からショートソードに持ち替えセリアンと並んでクリムゾンレオに攻撃する

 剣の腕も確かなアシュカはマジックアイテムである斬裂の短剣で斬りつける

 斬り付けた傷はほんの少しなのだがその効果により傷口が大きく広がった

 セリアンは聖剣カルベリュートを腰に構えて横に薙ぎ払う

 そこから斬撃が飛びクリムゾンレオの右前足を斬り飛ばした


「グルルルルアアアア!!」


 痛みからか悲鳴を上げるクリムゾンレオ

 ひるんだのを見逃さず、首に向かって二人の攻撃がクロスするように放たれた

 それによりクリムゾンレオの首が地面に転がる


「ハァ、ハァ、なんとか、倒せたね」

「アイネ、フルの様子はどう?」


「はい、あらかた治療は終わりました」

「まもなく普通に動いても大丈夫ですよ」


「あぁ、よかった」

「フル、ごめん、私の采配ミスだ」


「リーダーの、せいじゃないよ、私の、実力が足りなかった、から」


 フルルートは息荒くそうつげた

 ひとまず大事を取ってフルルートを後方に下げ侵攻を再開した


 魔人軍も王国軍も入り乱れ、戦いは激しさを増していく


ルーナを戦いに出すと一瞬で終わるので今回は出てきません

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