表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
339/384

光と従者1

 ルーナが攫われる数日前、リゼラスは仲間たちから離れ、いなみと共に中位、下位の神々の元を巡っていた

 彼らの協力を取り付けるためである


「リゼラスさん、僕一人でも大丈夫ですよ?」


「いや、ここは女神の騎士たる私がしっかりと護衛をだな」


 始終ことあるごとにリゼラスは自分が女神の騎士であることを主張する

 リゼラスは子供のころから女神の騎士になると言うあこがれを抱いていた

 いなみは現在光の女神としての神格を得たことによって、完全な女神となっていた

 それにより彼女は眷属を指定することができるようになっている

 そしてその最初の眷属は、気心の知れた仲間であるリゼラスを選んだのだった


「いなみ、君が私を選んでくれたおかげで私はあこがれだった神聖騎士に成れたのだ。 これは騎士としても大変な誉れでな。 私は、帝国騎士だったころは毎日神に祈りを捧げていたものだ。 民を、国を守るため、神を心のよりどころとしていたんだ」


 リゼラスは遠い過去を思いだし、あの頃のような平和を取り戻すためにいなみの後に続いて世界に降り立った

 中位以下の神々には伝達の神から協力要請を伝えてあるのだが、あまりにも多いため伝えきれなかった神々がいるようだ

 いなみとリゼラスはそんな神々に協力してもらうために世界を渡っていた


「ここは女神が治めているみたいだね。 さてと、どこにいるかな?」


 いなみは自身の力で探知を始めたが、その必要はなかったようだ


「じょ、上位女神さまがなぜこのような辺境の世界へ!? 私何か過ちを…。 申し訳ありません! 消さないで下さい!」


 いなみの目の前に土下座するように空から降って来た女神

 名前はレーララと言い、この世界を程よく治めている中位の女神だ


「待って、別に君を消しに来たわけじゃないから顔をあげてよ」


 レーララはゆっくりと顔をあげる

 ぬかるんだ地面に顔をこすりつけていたため泥だらけだ


「クリアっと」


 いなみが力を使うと、顔に着いた泥や服の汚れが綺麗に消えた


「も、申し訳ありません! 上位女神さまのお手を煩わせてしまいました!」


 再び土下座で謝ろうとするレーララを必死で止めて立たせると、事情を説明した


「な、なるほどです。 私のような力のない貧弱女神程度が大変恐縮なのですが、是非とも手伝わさせてください!」


 無事この世界の女神への協力は取り付けた

 今全ての世界が一丸とならなければ乗り越えられない壁が立ちふさがっている

 中位以下の神々の力もその全てが必要だ

 力ある者全てが集結することで、異放者を、レドを打ち破るための力となる


「レーララさん、来たるべき戦いに備えてください。 力ある者の選別を」


「かしこまりました!」


 レーララは啓礼のポーズをとる

 それを見ていなみはすぐにゲートを開いて別の世界への転移を開始した


「世界が、そんなことになっているなんて…。 私も頑張らなくちゃ。 まずは選別、勇者や転移者、転生者、英雄、聖女。 みんなに協力してもらわなきゃ」


 レーララはいなみたちを見送ると、早速仕事にとりかかった


 次にいなみたちが降り立ったのは宝石人が暮らす世界だった


「ここは…」


「ああ、前に来た世界だな」


 女性しかいないこの世界には表と裏があり、それぞれを女性の王と女王が治めている

 現在はその娘たちである王子と王女が治めており、つい先日に二人の子供が生まれたばかりだった


「力の流れを感じて来てみたが、君たちだったか。 友よ、歓迎する」


 現れたのは金属で出来た馬に乗った王子、メルレストだ


「メルレストさん、お久しぶりです。 今回は神様に会いに来ました」


 以前来た時にはいなみは女神ではなく、神の幼体だった

 だが今は違う。 メルレストの目で見てもその神々しさが伝わっていた


「ああ、やはり君は、いや、あなたは女神であらせられたか。 しかし、この世界の神様か…。 私もお会いしたことはないのだが、唯一神だ。 非常に美しい宝石人の祖神だ」


 ひとまずメルレストの案内で城へ向かうことになった

 女神であるいなみに失礼の無いようメルレストは馬を降りる

 彼女が言うには、城の頂上にその祖神が祀られている祭壇があるらしく、そこでいなみが語り掛けてみることになった

 

 城に着くと、美しい宝石人たちが出迎えてくれた

 彼女たちもいなみの力を感じたようで、いなみをうっとりと見つめていた


「頂上はちょっと特殊な登り方をしなきゃならない。 僕にしっかりついて来てくれ」


 メルレストの後について城の側面を進み、何もない壁の前に立った

 彼女は壁を触り始めると、蓋のようなものを外してその中にある紐を引いた


「これはカラクリ扉でね。 ひもを引っ張って鍵を出現させ、仕掛けを解除すると階段が現れるんだ」


 なにやら出て来た鍵をゴソゴソといじり、仕掛けを解除していく

 最後の仕掛けを解除すると、自動扉のように壁が開いて階段が出現した


「さあ行こう」


 城の頂上まではかなり距離があるが、宝石人は疲れを感じない

 いなみも同様のようで、リゼラスは一人ゼェゼェと息を荒げて階段を昇り切った


「ここが我らが祖神、ジュエラ様が祀られている祭壇だよ」


 その祭壇はこの世のどんな物よりも輝いて見えるくらいに美しい、宝石で出来た祭壇だった

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ