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石野の異世界放浪記11-4

 五人は一年前の同じ日、別々の国からこの世界に転移させられたようだ

 そして召喚された場所からまるで惹かれあうようにこの街へと集結した次第である


「運命ってやつだよねアミーゴ!」


 陽気なディエゴは楽しそうに親指を立てる


 彼らの能力はまず、マイズが“縮尺”。 目に見える範囲の距離を瞬間的に詰めることができる。 自分から対象への距離だけではなく、対象から自分、対象から対象への縮尺も可能だ。 その重さに制限はない


 次にディエゴは“守り”。 一日一度だけ、どんな攻撃だろうと防ぐことができる。 その効力は任意の相手に複数付与することができる


 笑顔が可愛いカレンは“祈り”。 神に祈ることで仲間全員を癒せるようになり、その回復力は通常よりも30%向上する

 この時祈りを捧げているのは上位の女神で、癒しの権能を持った癒しの女神ユエだ


 元気娘であるレナは“魔眼”。 隠れたモノを見つけ出すことができる他に、見つめた相手を少しの間痺れさせることができる。 他にも魔眼の能力はあるが、使いこなせていないため発動できない


 魔導士のキーファは“合成”。 自分の使う魔法を合成して新しい魔法を作り出してしまうというこの世界では異色な力


「というのが僕らの力です。 それにしても石野さんたちも地球から来たなんて、しかも自分の意思で移動できるのがすごいですよ」


 マイズはテンションが上がりっぱなしで、興奮してまくし立てるように石野に色々聞いていた


「帰れるんですよね? でも僕らの意見は同じです。 この世界を救うまでは帰れない」


 彼らが言うには今この世界に今まで見たことのないような魔物の発生や現象が起きているらしい。 原因は究明中だが、その一端を担っているのがマイズたちだった


「多分なんだけど、この世界に何かが来た。 それが悪影響を及ぼしてると思われるわ。 ところどころにその何かの痕跡がある」


 キーファはここ一年で調べた結果からギルドと共に推論を展開させ、導き出した答えが、危険なモノがこの世界に入り込み、魔物や生態系を滅茶苦茶にしているというものだった


「取りあえず村々の状況を報告してきます。 恐らく救援が派遣されると思います。 それと石野さん、あなたの指揮した防護壁は完璧でした。 あれならそこそこ強い魔物でも突破は難しいでしょう」


 キーファはアルタ村の防御壁を見て関心していた


「あれは俺だけの力では無理だったよ。 仲間と村の人達が手伝ってくれたおかげだよ」


 この防御壁は他の村にも手配してギルドのハンターを派遣して作成する手はずになっていた。 作業をするハンターと魔物からその作業員を守るハンターの両方をだ


「一週間後には全ての村にハンターが到着すると思います。 大規模なものになるのでしばらく通常の業務は行えなくなりますが、魔物退治は他の支部からの救援が来てくれるそうです。 ただ、他支部も手一杯ですので…」


 ギルド職員が言うには、要するに救援もあまり期待ができないと言うことだった


「ふむ、速いところ原因を探った方がいいな」


 石野はギルドから様々な情報を得てそれを元に原因を探る手伝いをすることにした


「さて、トコ、もう大丈夫か? まだ回復してないなら無理はしなくていい」


 その一言でトコは飛び出した


「もう大丈夫っちよ石野! すっかり調子はいいっち! しかもしかも探知の眼が使いこなせるようにたっち!」


 トコは玉に戻って回復してからずっと眼を扱う修行をしていたらしい。 リュコとリコも手伝ったおかげでその習得は早かった


「石野! あちきの手を握っててほしいっち」


 まだ不安なのか、石野に手を握ってもらうと探知を始めた。 以前よりも広範囲を見通せるようになったトコはこの世界の各地にある痕跡を見て、それを繋げて何かの居場所を見つけ出した


「ふぅ、ふぅ、ちょっと疲れたっち。 石野、場所が分かったっちよ。 世界地図があれば正確に居場所が分かるっちよ」


 いつの間にか転移者の女子たちが集まってトコの頭を撫でている。 どうやらその可愛さにメロメロになったようだ


「世界地図ですか、そのような物はないですね。 この辺り周辺の地図だけでも金貨5枚はする高級品ですし」


 こういった魔物のいるような世界では珍しいことではない。 地図を作るには飛行機や車などの乗り物などがないこの世界では歩いて描いていく必要がある。 時間がかかるうえにかなりの危険が伴うため、地図には高額な値が付けられているのだ


「むー、しょうがないっち。 ちょっと紙をかすっち」


 トコは紙を広げると、そこにスラスラと地図を書き始めた。 それもかなり正確な地図をだ


「これ、この世界の地図!? トコちゃんすっごい!」


 レナがトコの頭をなでなでし、耳を触る


「はうっ! 何するっちか! 耳は触るなっち!」


 以前と比べてトコはだいぶ人間に慣れた。 触られても大丈夫なほどに


「ほいほいっと、こことここ、それからここ、ここ、あとはこっちとこっち、それからここにここ」


 トコは自分で書いた地図に印を付けていくと、ぐるぐるとした線が引かれ、その中心地に赤い罰点を付けた


「ここだっち! この痕跡を繋げていくとこの場所に行きつくっち」


「ここは…」


 マイズ達がそこを見て驚いたような顔をした


「ええ」


「宗教国、ホロランド教国です」


 そこはこの世界の唯一宗教であるホロ教を布教している国だった

 ここ最近のホロランド教国では変な噂が立っている。 人が消えただの、魔物の死体を持ち込んでいただの、どれも確認は取れていないが、怪しい噂ばかりだ


「行ってみるしかないな」


 忙しいマイズ達はこの街に残り、石野と岸田、神獣たちだけホロランド教国に乗り込むことになった

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