表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
316/384

5-10

 異放者を退けたパリケルは、治った自らの体を観察する


「俺様は完全に人間じゃなくなったってことだぜな。 ハハハ、もうオルファスの友人たちにも、部下たちにも会えないってことだぜな…。 少し、寂しいけど、これが俺様の生まれた意味なら仕方ないぜな」


 そんな寂しそうなパリケルを二人の守護者がじっと見つめる


「大丈夫ですよ主様。 僕らはずっとここにいます」


「そうですよ主様。 あなたを守るのが私達の役目ですもの」


 知り合ったばかりだが、三人は同じアカシックレコードから生まれた者で、いわば姉妹である。 パリケルはそんな同じ波長をもつ姉妹に安心感を覚えていた


「さて、俺様は俺様のやるべきことをやるぜな。 あの見えない未来をどうにかして観測しなければ。 メロ、フィフィ、手伝ってほしいぜな」


「「もちろんです主様」」


 二人はこの空間にパリケルが作業しやすい部屋を作り始めた。 そしてさらに広大なこの空間の開拓も始める


「いつかここも憩いの地になるはずだぜな。 でもその前に、混沌と異放者の問題を解決しないといけないぜな。 アカシックレコードの解析が進めばきっと、何かわかるはずだぜな」


 パリケルは二人に作ってもらった宙に浮かぶフカフカの椅子に座ると、自らの中に眠るアカシックレコードを起動した。 彼女はアカシックレコードの管理者にしてアカシックレコード自身だった


 それから時間にして約数週間をかけ、パリケルは飲まず食わず、睡眠をとることなく解析を続けた。 既に人ではない彼女にとってそれは特に苦でもなく、当たり前のようにこなせる自分が人間ではなくなったことを再認識させることとなった


「この部分、ここだけに靄がかかったかのように見えないぜな。 この未来にいったいなにがあるんだぜな」


 パリケルが解析を進めようとしている未来だけがほとんど解析が進まず見ることができない。 その未来とは、異放者に関してと、ルーナ達の行く末についてだ。 そこから先の未来は途切れ、この大世界の終わりを表しているようにも見える

 彼女は旅の中で何度も何度もその未来を見ようと試みたが、どれだけ解析しようとも無駄だった

 見えない未来。 そこに何があるのかは誰にも分からない

 

 そんな中、手伝っていたメロが靄の中に一筋の光を見つける。 今までに見られなかった変化だ


「主様! これを見てください」


 メロは急いでパリケルを呼び、その映像を見せた


「これは…。 光、この影は多分いなみちゃんだぜな。 それと、倒れているのはリゼラス…。 敵対しているのは…。 なんてことだぜな。 ルーナ…。 なぜ君がこんな…」


 その映像はパリケルにとって衝撃的なものだった。 断片的だがルーナが仲間たちを殺しているように見える。 その中には自分や、オルファスの勇者の姿も見えた


「何かの間違い、いや、アカシックレコードの見せる映像に間違いなんてあるはずないぜな…。 メロ、もう少し遡って見れないぜな?」


「やってみます」


 メロは自らの力を使い、映像を何とか遡ってみた。 この映像がきっかけとなり、今まで見えなかった未来が次々と解析されていく

 その結果いくつか分かった


「そうか、ルーナ、そういうことかぜな…。 でもこの未来は確定された未来…。 ルーナは、必ずあいつに体を」


「主様、私達もあなたを守れないと言うことですか?」


「そうなるぜな。 でもまだ希望はあるぜな。 さらに先の未来。 そこはまだ何も分からないぜな。 もし希望があるとすればその未来…。 そこまで行きつくことができればきっと、希望はある」


 パリケルはその見えない未来に希望を持つことしか出来なかった。 メロとフィフィはこの未来で自分たちが死ぬことを理解してしまった。 だからこそパリケルの指示をしっかり聞き、自分たちにできることを考えた


「私達に考えがあります。 だからどうか、私達が死んでも気にしないで下さい」


「僕たちは、主様を守り切って見せます」


 二人の決意を目にし、パリケルはうなずく。 そして自分も役目を果たすためアカシックレコードに向き直った


「アカシックレコードよ。 俺様達を導いてほしいぜな。 世界を、助けてくれ」


 アカシックレコードはそれに答えるようにパリケルの内部で共鳴した。 パリケルの中で何かがはじけるように力が流動する。 それはメロとフィフィも同じようで、三人は自らの力が高まるのを感じた


「これは…。 アカシックレコードが俺様達に答えてくれている?」


「主様、やりましょう。 あの優しい少女を救うのです」


 メロとフィフィはルーナの記録を瞬時に閲覧し、彼女の性格を理解してすっかり好きになっていた。 そしてそんな彼女を救いたいとも考えていた


「行くぜな。 ルーナを救いに」


「「はい」」


 三人はルーナに会うため再びこの世界から旅立った

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ