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???

 少女は蝕まれていく自分の体を見て叫ぶ。 しかしその声が仲間に届くことはなかった


「くそ、あの子は身を挺して私達を守ってくれたと言うのに、私達にはどうすることもできないのか」


「あきらめちゃだめだぜな! まだ何か手はあるはずだぜな!」


「でも、アカシックレコードにも破滅の未来しか描かれていないんでしょう? お姉ちゃんを消滅させて元通りの世界に戻すか、滅びるか、二つに一つしか…」


 少女の妹は涙ながらに蝕まれた姉の魂ごと破壊しようと動く。 力を溜め、姉の姿を目に焼き付けながら破壊の力を放った

 しかしそれは少女によってかき消された。 彼女の体は既に彼女のものではなくほぼ完全に乗っ取られていた


「なにか、何か手はないの!?」


 大きな盾と輝く鎧を持った少女が必死に解決法を探すが、成すすべなく、ともかく今現在こちらを襲おうと迫る少女を何とかするしかなかった


 少女はニヤリと笑った


「やっと、手に入れた。 恐ろしいほどの時間がかかったが、これで僕は全ての大世界を一つにするという夢がかなうんだ」


 少女の体を乗っ取った何かはこの場にいる者を睨む


「そのためにもまず、邪魔者は排除しないとね」


 少女の眼は白目まで赤黒く染まり、濁っている。 その内部ではいまだに取り込まれそうな少女の心が戦っていた

 しかし飲み込まれるのも時間の問題だろう


「まずはそこのやっかいな君かな」


 少女が指さすのは背に自分を模したと思われるロボットを背負った少女だった


「そうはさせないよ」


「主様は私達が守るもの」


 その少女の前に異形の姿をした二人が立ちふさがる。 彼女たちはお互いの手を握り合うと一つになった


「その程度で? 守るって言うのは相手より強い時に使う言葉だよ。 消えちゃったら守れないもんね」


 少女は指を異形に向けると横に線を描くように宙をなぞった


「あ」


 異形の首が転がり落ちてその動きを止めた。 この程度で死ぬはずのない二人がピクリとも動かない


「嘘だぜな…。 この二人がこんなにあっさり」


 そんなロボットを背負った少女を貫く腕。 敵はその腕を引き抜くと少女を踏みつけ、その足に力を籠めて少女をゆっくりと潰す


「あ、ぐぅあ!」


 胸を踏まれ、臓腑がへしゃげ、息ができなくなる


「君、これくらいじゃ死なないでしょ? アカシックレコードがあるからね。 そこでゆっくり他の仲間が死ぬのを見てなよ」


 敵は少女の手足を踏みぬいてつぶすと今度は大楯を持った少女に目を付けた


「次はそっち。 君はなかなか珍しい事例だけど、まぁいいや」


 大楯の少女は盾を構えて攻撃に備える


「待て! 僕が相手になってやる!}


 大楯の少女の前に少年が立った。 彼女を守るつもりのようだが、力の差は埋めようのないほど圧倒的に開いている


「あーあ、めんどくさいことこの上ないよ」


 敵がひらりと手を振ると少年はガクリと倒れた。 その目からは急速に光りが失われる

 さらにその攻撃の影響は大楯の少女にまで及び、盾は粉々に砕け、砕けた破片が少女の心臓にまで食い込んだ


「この状況で向かって来るの? 愛すべき妹ちゃん?」


「あんたが私のこと妹って呼ばないで。 そう言っていいのはその体の本当の持ち主、お姉ちゃんだけよ!」


 彼女は敵に向かって走り、自らの神の力をもって敵の手を掴んだ


「よし! 掴んだ! 破壊のち」


 自分の神力を流し込もうとすると、その力は逆流して少女に流れ込んみ、少女は弾け飛んだ


「で、神獣だっけ? 君たちは神の二の前になりたくないだろう? おとなしくしてれば新しくできた大世界で知能のない生物として置いておいてあげるけど?」


「愚問っすよ!」


「ああ、お前を倒し、娘の体を返してもらう」


 神獣と呼ばれた二人は仲間の神獣全員を呼び出した


「我ら全員でかかるぞ! 全力で行くのだ!」


 一番小さな龍の鱗を纏う少女が指示を出すと一斉に召喚された神獣たちが動き出す。 しかしそれも無駄に終わった

 たった一撃で、神獣たちは消滅したのだ


「神聖騎士、光の女神、どれもこれも珍しい。 殺すのは惜しいけど、これも運命だと思って受け入れてくれよ」


「残念だけど、そんなに簡単にやられてあげないよ」


 光の女神は全身を輝かせ、目をくらませるとまさに光の速さで敵の背後を取った

 そして羽交い絞めにすると神聖騎士に叫ぶ


「僕ごと貫くんだ! 早く!」


 神聖騎士は自分の役割をしっかりと理解し、ためらうことなくその剣で敵を貫いた

 確かな手ごたえを感じ、敵を見ると、そこにあったのは胸を貫かれた光の女神の姿だった

 神をも殺す彼女の剣は的確に光りの女神の命を刈り取っていた


「あーあ、どこ見てるんだよ。 自分の手で仲間を殺しちゃうなんて」


「黙れ! 貴様が!」


 吠えたところで敵はただあざ笑うだけ。 直後神聖騎士は胴を断たれ、真っ二つになって倒れた


「よし、光も、闇も、古も、始まりも、みんなみんな消えた。 邪魔者はもういない」


 敵は高笑いしながら世界の改変を始めた

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