ミナキとアナサ1
アナサと共にミナキは旅を始めた。 蘇ったであろう兄神のシンガに会うためあまたある世界を回り続けている
彼女は気配を手繰ることができないが、共に旅するアナサにはそれが出来た。 アナサには二つの権能がある。 それが死の女神としての死の力と模倣の女神としての模倣の力だ。 模倣の力は今まで見た神々の能力をある程度再現できる力、彼女はルーナのまだ覚醒していない能力の力を見ていたためそこから追跡の力を模倣したのだった
「こっちであってるのか?」
「はい、シンガ様は確か消滅の神様でしたよね? 一度会ったことあるので気配は覚えてるんです」
シンガはアナサの生まれた世界を一度消滅させようと降臨したことがある。 その際にアナサはシンガを間近で見ていた。 彼女はその時すでに模倣の力の一部を無意識で発動して消滅の力を体現できるようになっていた
「ちょっと待ってください、何か、得体のしれない気配が…」
アナサは狭間の世界の途中で立ち止まり、その得体のしれない気配が近づいてくるのを待った。 危険はないと判断し、その正体を見極める
「来ました!」
前方から急速に接近してくるのは涙を流しながら飛ぶ少女。 その目は金色に輝き、強い力を感じた
「人? いや、あの力はなんだ? 私も知らない力だぞ。 闇でも古の支配者でもない…」
その少女は二人の前に降りると涙をぬぐった
「何ですかのあなたたちは? キキリリは先を急いでいるの。 邪魔するの?」
そう言った途端に彼女の力が膨れ上がった
「待て待て、俺たちはお前の邪魔なんてしないっての! 俺たちは兄さんを探してるだけだって」
キキリリという少女はそれを聞いて目の光を抑え、力を治めた
「あなたたちも、誰かを探しているの? キキリリは守るべき主を様を探しているの」
話しを聞くと彼女は原初と呼ばれる全ての母を守る存在だったという。 キキリリには姉妹がおり、彼女達と合流した後に原初の元へ向かうのだそうだ
「キキリリ達七柱は七柱で一柱の生命体なの。 主様のことを守れなかった最低の従者なの。 今度こそあの方を守らなくてはならないの」
切羽詰まっているのか、感情を激しく表に出している
「あなたたちもお兄さんが見つかるといいの。 ではキキリリは先を急ぐの!」
そう言うとキキリリは去って行った。 あまりにも大きな力を持っていたため彼女がいた空間が歪んでいた
「何だったんだあれは…。 原初?どこかで聞いた気がするんだが、分からんな」
キキリリのことを気にしつつも彼女たちはシンガを探すためにまた歩みを進める。 キキリリという存在と出会ったことで彼女達は今世界中で何か異変が起き始めていると悟った
「ああいったイレギュラーが動き始めているとはな…。 思った以上に事態は深刻なのかもしれない」
二人は急ぎシンガと合流するため飛ぶ速度を上げた
「気配が濃くなってきています。 ミナキ様、どうです? 感じますか?」
「ああ、間違いない、兄貴の気配だ。 それにしても驚いた。 ここは」
二人がたどり着いたのは、神々が住まう世界だった
キキリリは涙を流しながら姉妹たちを探す。 もともと一つだった彼女たちはお互いにその位置を把握でき、心を共有していた。 まもなく全員が一か所に集まる。 数千年ぶりの集合
記憶を失っていた長い年月を思い返し、主である原初のことを思った
「主様、きっとキキリリ達が助け出すの。 それまで待っててほしいの!」
とある世界のとある場所、その広大な何もない場所でキキリリ含む七姉妹が勢ぞろいした
「久しぶりだじぇねえちゃま!」
「こうして姉妹集まるのも何千年ぶりじゃ」
「ねえしゃまたち元気だったっさ?」
「メメナナは世喰いを10匹もしずめたである」
「ニニミミは二つの世界を再生しました」
口々に今まであった出来事を話すが、それぞれが繋がっているため全員が全員何をしていたのかが分かるのでこの会話は必要ない。 コミュニケーション手段として彼女たちは会話を楽しんでいた
「ではもう決まっているの。 みんな思いは一つなの」
「ねえしゃま、異論はないじぇ」
「ないっさないっさ」
「みんな思いは一緒ってことである」
七姉妹は手をつなぎ、心を一つに、光る七姉妹は一つに戻った
「あぁ、主様、今参ります。 このエラが、貴方様を守り抜きます」
原初の位置を正しく把握した原初を守護する者エラは愛する主の元へと急いだ