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ジンダイは話を聞き、深くうなづいている
「やっぱりね。 あたしが思った通り。 だからあの時同盟を結ぼうと思ってたのよ」
妹たちが大好きなのか、ジンダイは常に妹のうちの誰か一人を触っていた。 どの妹たちもされるがままなのだが、久しぶりのスキンシップのためなのか、はたまた最初からそうなのか、どの妹も喜んで受け入れていた
「ねね、コシコデン達のスキンシップって激しいと思わない?」
「そうかな? 僕はああいうの憧れるけどなぁ」
「えっ! あんなに密着するのが!?」
闇たちといなみは既に仲良くなり、打ち解けているようだ
「僕には姉弟なんていなかったからね。 羨ましいんだ」
いなみはもともと光の女神の娘だ。 命からがら生み出された為、神の幼体として人間の両親の元育てられた。 子供のできなかった彼らは、幼体ゆえに醜かった彼女のことを本当の息子として可愛がり(性別が判別できなかったため)、母親はいなみを守るために死んだ
そんな両親のたった一人の息子だったいなみには当然兄弟はいない。 それ故にこの光景が余計に羨ましく見えたのだろう
「それで、あたしは闇の子たちを探せばいいのね?」
「はい、でも居場所なんて分かるんですか?」
「まぁみていなさいな。 これでもあたしは古の支配者のリーダーなのよ?」
ジンダイは闇やいなみの話を聞いてすぐに協力してくれると言ってくれた。 もともと争いの嫌いな彼女は今のこの悲惨な状況を終わらせれるならと力を振るう
「ダイハジョウモクモクキンカセイ」
呪文のようなものを唱えると、神代の体から蜘蛛の糸のようなものが伸び始め、そこから花のように目が開いて行った
「これは全ての世界、生きとし生けるもの全てを視る目。 闇の子がどこにいてもすぐに見つけてあげるわ」
糸は長く、広く、世界に伸び、何もかもを見通すように広がっていった
「みーつけた。 あれは確か、ゼット君とテナちゃんね。 場所は地球か。 神々が目をかけてるあの場所ね」
物の数秒でいきなり二人の闇を見つけ出した。 その二人とは、現在地球を守ってくれている闇の中でも混沌に染まらなかった平和主義者の二人である
「また見つけたわ。 あら、ルディオン君じゃない。 彼は探しに行くまでもないわね。 こっちに来てる」
そこから次々に闇を見つけ、あるいわ封印されている場所を特定していった
「す、すごいねジンダイさん」
「それはそうじゃ。 わしらの姉上である。 すごくないわけがなかろう」
カタカムナも自慢げにジンダイを見つめる。 そこからは尊敬と愛が感じられた
「うん、この子で最後みたいね」
広げていた糸をしまうと、再び呪文を唱える
「テンモンイスラ、マカハロマホロトウテンキセイ!」
唱え終わると今度はジンダイの前に巨大な黄金門が現れた
「さぁ、呼び寄せるわよ!」
彼女が門の扉を開くと、そこには数十人の闇が立っていた
「なっ! なんてでたらめな力を…」
あらゆる世界にいた全ての闇をこの場に集めたのだ。 その中には封印された者もいたのだが、無理やりに封印をこじ開けて攫うようにこの場に召喚したのである
「ふぅ、一仕事終えたわね。 さぁ闇のみんな! もう洗脳も解けているでしょう?」
何が何だか分からない様子の闇たちだが、マクロやアシキ、さらにはリーダーであるルワイルの姿を見て自分たちが解放されたのだとわかった
「さてと、まずは一から説明しないといけないわね。 ルワイル、お願いできるかしら?」
「もちろんよ、ジンダイ」
この二人は元々ウマが合っていたのか、ジンダイが封印されるよりも前はお互いによく話す仲だったようだ
ジンダイに言われたようにこれまでの経緯、混沌についてのことを説明しようとしたとき、空中に裂け目が現れた
「あら、来たみたいね」
「ちょうどよかったわ」
裂け目を開いて現れたのはルディオン。 その手にはパリケルの簡易転移装置が握られている
「姉さん!」
元の優しい青年に戻ったルディオンは、姉であるルワイルをしっかりと抱きしめた
「よかった、生きていてくれたんだね」
お互いにしばらく再開を喜び合う。 混沌に操られていたルディオンは、その場で闇達に謝罪した。 自分が取りつかれなければ、闇たちはここまで混沌にもてあそばれることもなかっただろう
そう思い、深々と頭を下げ続けたが、誰一人としてルディオンを攻める者はいなかった
「ほら、皆許してくれていますよ。 だからルディオン。 もし贖罪したいのであれば、これからこの世界のために動きなさい」
「はい! 姉さん!」
こうして闇たちはこの場にそろったのだが、二人ほど姿の見えない闇がいる
ゼットとテナだ
二人は地球という特殊な世界を守るため、その場から離れられない。 それを加味して後々伝えることにしたのだ
この場にいる闇達に全てを話し終え、ようやく混沌と戦えるだけの戦力が整ってきていた