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想像で創造する女神5

 ミーラは嬉しそうに私の後をついて来るけど、これまでかなりの危険があった。 巨大な魔物や危険思考の人間、様々な自然災害。 彼女が今まで経験したことのないようなことばかりで、その都度私が守らなきゃいけない

 でも、ミーラは自分で何とかしようと奮闘していた。 これまでの境遇が彼女に折れない心を持たせたのかも。 それとも、役に立てなければ捨てられると思っているのかな?


「ミーラ、大丈夫?」


 今も魔物の群れを蹴散らした私を恐る恐ると言った表情で見てる


「は、はい! 今度はもっとうまく倒します!」


 彼女には神力の使い方を教えていた。 私の眷属となった彼女には制限はかかるけど私と同じ力が使える。 つまり想像の力が

 私の場合は自分の想像できる範囲のことを実現できる力だけど、ミーラは少し違う。 想像したものが劣化して出てきちゃう

 剣を想像すればナイフが、盾を想像すれば鍋のふたが、っていう感じかな


「ねーミーラちゃん。 もっと大げさに想像してみたら? 例えば…」


 彼女がもっと強くなれるように私はその想像力を膨らませる特訓を始めた

 まずたくさん本を読ませて、イメージトレーニングをさせる。 これはどうしても必要な特訓で、私もこれでかなり鍛えられた

 まぁもともと本が好きでいつも読んでるって言うのもあるけどね

 でもこれはミーラにとってはかなり難しいことだった。 まず字が読めなかったのよね

 一応彼女は眷属となったことによる加護である程度の字が読めるようになるはず、だったんだけど、彼女はそもそも字というものを知らなかった

 それもそのはずで、ミーラのいた世界の識字率は5パーセント以下、一部の上流階級か商人くらいしか文字を習わないのよね


 最初に様々な文字を教えるところから始まった。 ここで教えたのは神々が使う神代文字というもので、全ての文字の基盤となったもの。 かつて神々の怒りによって文字が分けられるまで人間たちも普通に使っていた文字


「どう? 簡単でしょ?」


「はい! お姉ちゃんの説明、とってもわかりやすいです!」


 うんうん、可愛いなぁもう。 姉妹のいなかった私は妹が出来たみたいですごく嬉しい。 きっとこの子を立派に、いずれは…


「それじゃ今言ったことを考えながら想像してみて」


 ミーラは目をつむって想像する。 この子は本当に覚えが速いわ。 私なんかよりも優秀ね


「想像できた? 準備できたら剣を出してみましょう」


「はい!」


 ミーラの手が光る。 うんうん、神力はしっかりと練れてる。 とはいっても彼女は最初からうまく神力を扱えてたから心配してないけど


「ク、クリエイト、ソード!」


 ミーラの手からショートソードが現れた。 普通のサイズよりは少し小ぶりだけどうまくいったみたい。 この特訓、彼女が剣を出すうえで想像させたのはクレイモア、大剣ね

 この試みは成功したと言っていいかもね。 


「ど、どうですか?」


「うん! いい感じ。 これからもたくさん練習しましょう」


 ミーラの笑顔が眩しい。 私も満足


「さてと、次の目的地は…」


 私はゲートを開いて次なる世界へ向かう準備をした。 ミーラちゃんは未だにこのゲートが苦手みたいね。 まぁ一度体がバラバラになって目的地で再構築されるんだけど、その時の気持ち悪さと言ったらないのよねー


 二人でゲートをくぐると、かなり発展した世界についたとわかった。 今までミーラちゃんと回った世界よりもはるかに技術が進んでいる。 何らかの技術で宙に浮く人や、遠距離を一瞬で移動できる転送装置、空高くそびえるビルや塔、空中に浮かぶホログラム映像。 ここには人間族以外にもマキナ族(機械と融合した人間)、獣人、エルフ、鳥人に翼人、ゴブリン族やドワーフ、オーガに鬼人、本当に多種多様な人々が平和に暮らしてるみたい


「す、すごすぎて目が回ります」


 ミーラは始終キョロキョロしてる。 はぐれないように手をつないで歩いた


「取りあえず聞き込みかな? 一応ルーナちゃんの軌跡をたどってるんだけど、ここにはいないかも」


「そうなんですか?」


「うん、気配と言うか、ルーナちゃんの痕跡が見えない。 軌跡はあるんだけど、もしかしたらここは通り抜けただけなのかも」


 軌跡や痕跡を辿ってるだけだからその世界にいるかどうかまでは分からない。 こればっかりは探していくしかないのよね


「ここは危険はなさそうだけど、絶対離れないでね」


「はいお姉ちゃん!」


 ふふふ、本当の姉妹みたいで幸せ


「聞き込みの前にご飯にする? なんだかおいしそうな匂いがするし」


 ミーラもコクコクうなづいた。 ここについた時からする香ばしい匂いに誘われて店に入ってみると、焼き鳥屋だった。 ただその焼き鳥は見た目からとても焼き鳥に見えない。 レーションという保存食だった


「なんですか、これ…」


 確かにミーラちゃんには食べ物に見えないかもしれない。 見た目はどう見てもタブレットのお菓子だもん。 ミーラちゃんの世界にそんなのなかったもんね


「ま、まぁ食べてみましょ」


 レーションを食べてみると思いのほかかなり美味しかった

 四角くて白いあまり食べ物にも見えないようなものなのに、口の中いっぱいに広がる焼き鳥の香りと香ばしさ、タレの風味に鶏肉の食感。 この技術、本当にすごい


「ふわぁ~、美味しい…」


 ミーラちゃんが恍惚とした表情でぽかんと口を開けてる。 よっぽど美味しかったのね


 それから私達は数週間かけて様々な場所での聞き込みをしたんだけど、結局この世界にはルーナちゃんはなかった。 あまたある世界からルーナちゃんを見つけると言うのはかなり根気のいる作業だけど、今の私にはこれしかできない。 メシア母様のために頑張らなきゃ

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