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5-5

 ルディオンに連れられてパリケルは狭間のさらに狭間にある一つの空間に入り込んだ。 まるでパリケルを待ち受けていたかのようなその部屋は分厚い壁に守られ、その部屋をさらに広い広い空間が覆っていた


「な、何だぜなここは。 なぜ狭間の世界にこのような場所が? まるで誰かが意図的に作り上げたかのような…。 駄目だぜな。 アカシックレコードに記録がない。 ということはまさか原初と同じ時代のもの?」


 ルディオンはその空間自体に興味を持ち、調べ始めるパリケルを制止する


「パリケルさん、調べ物はいいんですか?」


「あ、そうだったぜな。 ところでここはどうやって見つけたんだぜな?」


「ああ、僕達がまだ一つの存在から別れたばかりのころ、僕と姉さんはいろいろなところを旅していてね。 その時偶然見つけたんだ」


「と言うことは少なくとも闇が生まれるよりも前にはあったということかぜな」


 考え込むパリケルにルディオンは自分の力で生み出した椅子に座らせた。 そこから机とモニターも作り出し、パリケルにプレゼントする


「迷惑かけたからね。 これくらいはさせてもらうよ」


 喜ぶパリケルにそう声をかけてルディオンは外で待つレライアたちと共に姉のルワイルの元へと去っていった


「さてと、俺様は俺様のやるべきことをやるぜな。 俺様はアカシックレコードの管理者。 待っているのだ混沌。 俺様がお前の秘密をまるっと丸裸にしてやるぜな」


 彼女は混沌についてを完全に調べ上げ、その目的、出生、弱点までをも完璧に網羅した。 しかし彼女自身がそれをルーナや原初、神々に伝えることはできなかった



 同じころ、ルーナはラシュアと別離した神々と共にラシュアの元、神々の住まう世界へと立っていた。 ルーナと共に来たのは電子の女神マキナ、愛の女神アズリア、それと戦闘力の高い武具の神シェイナと獣の神ジューロだ


「やはり来ましたか」


「ラシュア…。 いえ、兄様」


「そう呼んでくれるのですか? この愚かな兄を」


 ラシュアは混沌によってその心を操られ、エイシャの愛しい人間を消滅させた。 それにようやく気付いたラシュアは罪悪感にさいなまれていた


「兄様、私は、兄様を許せなかった。 話しを聞いてくれなかったし、アストを滅した。 でも、でもやっぱり私は兄様を愛しています。 憎んでみたけど、憎めない!」


 ラシュアは悲し気に微笑んでエイシャを抱きしめた。 本当はずっとこうして離別した神々を許したかった。 いや、許されたかった


「君のおかげだよルーナ。 君が動き出して、君が行動したから全てが変わったんだ。 我らが末妹よ。 神席に加わる気はないかい?」


 少し考えたのちにルーナは断った。 自分は人間であることを捨てるつもりはない。 それが死んでしまった産みの両親、育ての母の弔いにもなると考えたからだ


「そうか、ならば君にもう一つの体を与えよう。 ルーナ、君の体は既に滅びていて、妹の体に共存しているんだったね。 双子に戻ればもっと動きやすくなるんじゃないかな?」


 それは願ってもないことだった。 ルーナとサニーは二人で一つの体を共有し、入れ替わることでその力を行使している。 力が定着し、二人のものとなった今入れ替わることで力を使うよりも、体が二つあるほうがさらに力を扱いやすくなる


「お願いします! サニーにこの体を返してあげたいんです」


 ルーナの願い通り、ようやく二人は別々の体へと戻った。 これにより双子は本当の再開を果たすことができたのだった


 神々が和解した今、少しづつ混沌を倒すための力が集まり始めていた



 レライアといなみはクロノゼルフの元へ追いついた。 その傍らにはコシコデンが立ち、いなみを見て微笑んでいる


「お前は光の大神の娘じゃな?」


 突如そう言われていなみは驚く


「たしかに、僕はそうですけど、なぜあなたがそれを?」


 そう聞かれてカタカムナは語りだした


「おぬしの母はの、もともとは全ての力ある存在を結んで友好関係を築こうとしておったのじゃ。 じゃがのぉ、ある日突如として彼女は何者かに力を奪われた。 わしはその場面を見ておったのじゃ…。 助けられなかったのが今でも悔やまれる。 あの時わしが間に合っておれば、ここまでの事態にはなっておらんかったはずじゃ。 その後神々との戦争が勃発し、わしもこのことを伝えることができずに封じられた」


 いなみは絶句したが、母である光の大神の力を奪った者が十中八九混沌であることは間違いがなかった。 光の女神として格落ちした彼女はこのままでは混沌にいいようにかき乱されると考え、全ての力をいなみに注いでその役目を終えた

 いなみの中には大神の力が眠っている。 それを引き出すことができれば混沌への大打撃を与えることができるようになるのだ


「ともかくジンダイを探さなければならぬ。 じゃがクカミが目覚めぬことにはあやつの居場所が分からぬ」


「もしかして…」


 いなみは眠っているクカミの額に手を当てて光の力を使ってみた

 するとクカミはゆっくりと目を開けた


「これは、クカミが、目覚めた?」


 長い濡れまつげ、黄金の瞳、ぼんやりとした視界からクカミは久しぶりに世界を見た


「ジンダイ?」


 彼女はその身を起こすとゆったりと歩き始めた


「クカミ…」


「ジンダイお姉ちゃんを、探さなきゃ。 あいつが、全部めちゃくちゃにしちゃう」


 コシコデンの末妹クカミはすぐにジンダイを探知し始めた

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