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5-4

 目を覚ますルディオン、虚ろながらも段々とはっきりしていく意識に混乱し始める


「ここは? 僕はいったい今まで何をしていたんだ? そうだ、姉さん、姉さんに会わなきゃ。 会って危機を伝えなきゃ」


 フラフラと立ちあがり、どこかへ向かおうとしているようだ


「ルディオン、大丈夫ですか?」


 原初の優しい問いかけに驚くルディオン。 彼女の恐ろしさを彼はよく知っていた。 だが今目の前にいる女性は慈愛に満ち、優しくルディオンの手を握っている


「原初、なぜあなたが、ここに」


「何も覚えてないのね。 姉様たちをこんな目に合わせておきながら!」


「やめなさいエイシャちゃん。 この子も被害者だと言ったでしょう? ともかく話を聞きなさいな」


 エイシャはおとなしく引き下がり、ルディオンに事情を話した


「なんてことだ。 僕は既に乗っ取られていたというわけなのか…。 すまない! 本来なら僕が止めるはずだったのに、君たちに申し訳が立たない」


 これが彼の本来の性格であった。 ルワイルと同じく平和主義者で、闇の仲間たちのために動く責任感ある男だった。 それが旅の途中で混沌に襲われ、危機を知らせようとした矢先に心を邪悪に染められてしまったのだ

 ルディオンはショックを受けているようで、エイシャや神々に深く謝罪をし続けている


「エイシャ、許してあげましょう。 彼だってやりたくてやったわけではないのですから」


 ようやく回復しきったアズリアはエイシャを優しく諭す


「姉様が、そういうなら」


「とにかくこのことを姉さんに伝えなきゃいけないんだ。 お願いできる立場じゃないことは重々承知している。 でも頼む、混沌を一緒に倒してほしい。 あいつは、野放しにしちゃいけない」


 再び深々と頭を下げるルディオンを安心させるように原初は語った


「大丈夫ですよ。 あなたのお姉さん、ルワイルには既に大神クロノゼルフが接触しています。 彼らもどうやら混沌の存在に気づいたようです」


 原初はいつでも任意の相手を視る目を持っている。 そのためどこの誰の行動だろうと知ることができた


「原初、それは本当なのかい?」


「ええ、間違いありません。 ルワイルは闇達と、クロノゼルフはコシコデン達と共に行動に移っているようです」


「それなら僕は姉さんの元へ戻るよ。 闇たちにも今までのことを謝らなくては」


 それからルディオンは力の回復を待って狭間の世界へと消えた。 それについて行く形でエイシャ達が続く。 アズリアやマキナといった神々はここで待機となった


「気を付けてねエイシャ、私達はあなたが無事ならそれでいいの」


「ラシュア兄さんにはこっちで話をつけておくよん」


「私もラシュア様とお話したいことがあります。 その会話に加えていただいても大丈夫ですか?」


 ルーナは母であるマナリシアの願い、神々の和解をここで実現させようとしていた。 マナリシアを許せない気持ちよりも、神々の仲を取り持ち、自分たちの気持ちを閉じ込めて、世界をより良い方向へ向かわせることを優先させた


「わかったよん。 ルーナちゃんは私達と来て。 いなみちゃんはエイシャちゃんに着いて行ってあげて。 あなたの力は混沌とも戦えるはずだから」


 光の権能は元大神の権能でもある。 それ故にかなり強力な力を秘めていた。 まだ完全には力を引き出せてはいないが、いなみは相当な戦力になるとふんだのだろう


 ここからルーナはラシュア率いる神々と対話し、わだかまりを捨てさせなければならない。 エイシャの心の準備は既についている。 ラシュアが許せばこの争いは幕引きを迎える。 そのためにもルーナの交渉は重要となっていた


「では私はルーナと共に行こう。 もしもの時は、この体を張って守ると誓おう」


「俺様は少しアカシックレコードの記録を洗い出してみるぜな。 ルディオン殿、狭間の世界に誰にも邪魔されないような場所はあるかぜな?」


「あ、あぁ、それならいいところがある。 ルワイル姉さんに会う前に君をそこに送ろう」


「助かるぜな」


 護衛に何人かの神をつけようかとアズリアに聞かれたが、パリケルは断った。 アカシックレコードには知られてはいけない未来の決定事項までもある。 変えることのできない未来を見せるわけにはいかなかった


「ダイジョブだぜな。 四号ちゃんならどんな敵が来ようともいちころぜな」


 四号の機能は既に神をも脅かせるほどの力を持っている。 だがそれでも危険だった。 パリケルの持つアカシックレコードを混沌が狙う可能性もないとは言い切れない。 現に神々の全ての力を使えるエイシャが狙われたのだ。 四号だけでは戦えないことは明白である


「まぁ大丈夫だぜな。 俺様には心強い味方がいるんだぜな。 彼女らに守ってもらうぜな」


 パリケルにそのような相手がいることは誰も知らなかった。 パリケル自身も先ほどアカシックレコードで知ったことである。 だがこの世界にはアカシックレコードがパリケル以外に産みだした二つの存在がいる。 彼女らは守護者と呼ばれ、集合と散在を司っている姉妹にして恋人だった


「ま、こっちは心配いらないから任せるぜな」


 パリケルは既に知っていた。 今から自分がアカシックレコードを読み解いているときに訪れる危険のことを。 確定された未来は変えることができない。 アカシックレコードの読み解きはうまくいく。 が、同時にパリケル自身が命の危機に瀕することも確定されていた

はい、まもなく彼女たちが久々に登場します

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