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5-2

 エイシャは反射の力で原初の攻撃を何とか防ぐと原初とサニーの間に割って入り、戦いを止めた


「待って! 原初! 今は私たちが争ってる場合じゃないの!」


「あなた、は…」


 原初はその少女をよく知っていた。 自分の娘を視ていたときに楽し気に娘と話していた少女だった

 封印されたマルカには三柱の神の友人がいた

 一柱目はエイシャ、見た目の年が近しいこともあってか一番仲が良かった

 二柱目はエイシャに付き添ってきていた愛の女神アズリア

 三柱目は単純に原初の娘に興味を持ち、話し相手となっていた太陽の女神アマテラスだ


「エイシャちゃん、ね?」


 なぜ自分の名を知っているのかに驚いたが、エイシャは話を続ける


「原初! あなたをここから連れ出す! あんたたちも手伝いなさい!」


「何で私があんたに協力しなきゃいけないのよ」


「文句なら後でたっぷり聞く。 だからお願い、力を貸して。 このままじゃアズリア姉さんが!」


 鬼気迫る勢いに押され、サニーも仕方なく従った


「エイシャ、大きくなったな」


 その声にエイシャは振り返る。 目の前にいたのは、神々の戦争で亡くなったはずのレライアだった


「レライア、姉様!?」


 驚き、同時に涙があふれる。 レライアはアズリアと同じくエイシャの大好きだった姉の一人だ。 力を持ちながらも優しく、面倒見のいい姉。 それがレライアだった


「よかった…。 生きていたんですね」


「半分死んでるようなもんだったけどな。 だがどうしたんだ? アズリアに何かあったのか? それにラシュア兄さんとの関係はどうなってんだ? あたいが力を取り戻している間に何があった?」


 エイシャは途切れ途切れながらもこれまでの経緯を話す。 そして、神々の戦争での黒幕のことも。 ラシュアを強行に走らせた者のことも


「そうか、そんなことが…。 だがそいつは一体何者なんだ? 闇を操ってどうしようってんだ」


「それは、私もわかりません。 ただ、奴は何かを成そうとしてる。 それも全ての世界が歪むような大変なことを」


 ひとまず争いも収まり、原初はおとなしく話を聞いていた。 それはエイシャがマルカの親友だったということもあってだろう


「しかしです。 私をどうやってここから出すというのですか? 長い年月を経てこの世界は私に癒着しています。 ここから私がいなくなれば世界は崩壊を始めますよ?」


「そこは私に考えがあるわ。 実は最近私の力に新しい力が加わってるの。 恐らく私達上位の神の域に達した何者かがいる。 私の力は上位の神の力全てを使えるようになるものだから」


 ルーナとサニーによって奪われた力は既に二人に定着し、この双子の力となっていた。 しかしエイシャ自身の本質が変わったわけではない。 その本質は力の女神

 すでに双子に定着した力は別の力へと変化しようとしていた。 破壊と能力。 この二つが彼女たちの権能だ。 破壊はその名の通りあらゆるものを破壊する力。 能力は神々の力の一部を使え、それを誰かに分け与えることができる

 すでに双子は神と言っても差し支えないほどの力を得ていた


「この力は模倣の力。 どんなものでも模倣できる。 つまりコピーできるの。 原初、貴方のことでもね。 でも限界は当然ある。 原初ほどの存在を模倣するとなると相応の力がいるし、もって一週間が限度」


「一週間、それで黒幕が討てるの?」


「まず無理、でしょうね。 あれの力は原初と同格だもの」


「それじゃぁ…」


「ええ、見つけることすらできないわ。 普通ならね」


 エイシャは模倣の力と、ある力を発動させた


「これは吸収の力。 エネルギーを吸収して自分の力に変えるの。 つまり、この力でこの世界そのものを吸収する。 当然すべては吸収しつくせないけど」


「そうか! 原初自体を模倣してこの世界に代わりにおいておくということだな?」


「そうです姉様。 ただ、それでももって1年がいいところです。 それ以上経てば模倣が解けて世界の崩壊が始まります」


「十分よ。 それなら黒幕を探せるわ」


 原初は立ち上がり、エイシャに近づく


「原初、信じてくれるの? 私の話を」


「ええ、あなたは私の娘の親友でしょう? 娘のお友達を信じない訳ないじゃない」


 エイシャは原初に感謝し、力を解き放った

 まず周囲の力を吸収し、己が力へと結びつける。 その後に模倣の力にその力を結び付けて原初のコピーを作り出した。 意思はない人形だが、この世界を押さえつけるのには十分だった

 その人形を原初のいた場所に縛り付け、原初の自由を取り戻した


「んん、何万年ぶりかしら? なんてすがすがしいのでしょう」


 背伸びをする原初。 彼女は本当は娘に会いたかった。 しかしこの危機的現状に私情を持ち込むわけにはいかないと思いとどまった。 彼女は永遠を生きる者。 娘もまた同じ。 いつか会えると信じてエイシャと共にアズリアの元へと向かう

 サニーからシフトしたルーナ。 エイシャとは敵どうしではあったが、事情も理解し、エイシャに協力することにした。 それが母である大神のためにもなると思ったからだ

 大神マナリシアのことは許せないと思っていたが、本当の母親である彼女と繋がっていることもわかっている。 役に立ちたいとも思っていた

エイシャがここまで来た過程は次回に

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