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想像で創造する女神4

 やってしまった。 ミーラちゃんを観察していたドローンとのつながりが突如途絶えて、あの子の居場所や状況が全くつかめなくなってしまった

 再びドローンを創り出してギルド周辺を探すと、逃げるように走るミーラちゃんの姿を見つけた。 その後ろから追ってくる男たち。 多分あの奴隷商の仲間だと思う


「助けなきゃ」


 すぐに走ったけど、映像にはミーラちゃんが捕まった様子が映し出されていた。 やはり大人と子供じゃ差がある。 急がなきゃ。 そう思って焦るけど、私はドローンの映した情景に悲鳴を上げてしまった

 ザシュッと言う音と共にミーラちゃんは右腕を切り落とされ、痛みで転がるミーラちゃんのその足をさらに鉈のような刃物で切り落とした


「これでもう逃げられねょな。 全く、手間かけさせやがって」


 男は血まみれになったミーラちゃんの髪を掴んで持ち上げると顔面を殴った

 私は憤りを感じて風のように駆ける。 急がなきゃあの子が殺されてしまう

 男はそのままミーラちゃんの手足を止血して袋に入れ、何事もなかったかのように、荷物を運ぶように、ミーラちゃんを連れて行く

 そこは人の誰もいない裏路地で、後にはミーラちゃんから切り落とされた手足だけが転がった

 ようやく現場に着くとすぐに手足を拾い上げた


「クリエイト、保存容器」


 手足が腐らないように丁寧に保存容器に入れると男たちの後を追って走り、数分後に追いついた

 追いついた先は裏路地をさらに奥へと進んだこの街の危険地帯と呼ばれる場所。 男たちは私を見て笑った


「何だこのガキ。 もしかして商品を盗んだって言うガキか? わざわざうちの商品になりに来てくれるとは可愛いもんじゃねぇか」


 私は怒りを隠せず歯をギリギリと噛みしめた


「クリエイト、光の輪」


 高速で回転する光の輪を創り出してチャクラムのように男たちに撃ちだす。 光の輪は男たちの手足をバラバラに切り裂いた


「クリエイト、火」


 次に火を創り出して男たちの傷口を焼いて止血する。 苦しめて、殺すために。 止まらない私の怒りが女神にあるまじき行為に走らせていることに、この時の私は気づかなかった


「ひ、ひぃいい! 俺の腕がぁああ!!」


 男たちは口々に思い思いの悲鳴を上げているけど、私は構わずミーラちゃんの入れられた袋を開けて痛みで泣くミーラちゃんを抱きしめた。 そしてすぐに保存していた手足を取り出しミーラちゃんの傷口にあてがった


「うううっ! ああああああ!!」


 痛がるけど我慢してもらわないと


「クリエイト、再生核」


 これは私が創った中でもかなり苦労したもので、人間族を含める様々な人族の再生を促す作用のある細胞。 たとえ腕がちぎれても傷口に引っ付けるだけで簡単に繋がる私達神と違い、人族は一度手足がなくなると元に戻すことは難しい。 とある世界では魔法を、とある世界ではポーションを、とある世界では機械を使って戻したりもしていたけど、この世界にその技術はないことはドローンを通して確認できたから、この再生核を使った。 どうやらうまくいったみたいで、少し傷が残ったけどもう問題なく動かせるはず

 ゆっくりと目を開いたミーラは、私を見つめている


「女神、様?」


 一言だけ言うとミーラは気絶してしまった。 まだ幼いのにこれだけの傷を負ってしまったんだから無理もない。 私はまだ収まらない怒りの中、苦しむ男たちに目を向けた


「クリエイト、拷問機」


 生かさず殺さず拷問し続ける機械。 それで男たちを拘束した


「あなたたちのボスはどこかしら? この世界にとって害悪でしかないあなたたちを一掃してあげる」


 震える男たちに拷問を加えながらボスの居場所や奴隷を買う貴族、人さらいの場所などを聞き出していった。 ドローンでも探せるけど、この男たちに罪の意識を刻みつけながら死んでもらわなければ魂が浄化されない。 悪に染まり切った魂はもう二度と元に戻ることがない。 未来永劫苦しみ続けることになる。 だからこれは救いでもあった


 ミーラを連れてギルドへ戻る。 問題はこれからね。 再生核はまだ完成されたものじゃなくて、これを植え付けた人族は神の眷属となってしまう。 つまり絶大な力を持ってしまうってこと。 ミーラはまだ小さな女の子だけど、ここで成長は止まってしまう。 そのことに私は不安を覚えた。 なんて説明すればいいのか分からない。 でも、ミーラの将来のために言わなきゃ


「ん、うう」


 目を覚ましたミーラに私はありのままの事実をすべて話した


「そんな…。 私、私」


 不安なんだろう。 無理もないな。 私はこの子の人間としての生を終わらせてしまったのだから


「嬉しいです! お姉ちゃんと、家族みたいで…。」


 私は罵倒されることも覚悟していた。 てっきりののしられて泣かれると思った。 でも、ミーラの反応はその逆だった。 ああ、この子は、何ていい子なのだろう。 きっと私を心配させまいと、自分が不安なことも隠して喜んだふりをしているのね

 私はミーラをもう一度抱きしめて聞いた


「私と、一緒に来る? 眷属のあなたはそう簡単に死ぬことはなくなったけど、それでも危険な旅になる」


「いいんですか? 私なんかが、一緒に行っても、いいんですか…?」


 ミーラは私に縋り付いて喜んでいる。 この子を守りながら戦うのは大変かもしれないけど、それがこの子を眷属にしてしまった私の責任でもある。 この子を家族として、守らなきゃ


 私は眷属ミーラを連れてルーナちゃんを探す旅を再開した

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