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想像で創造する女神3

 女の子の名前はミーラと言って、凄くおとなしい子

 わがままを言うでもなく後ろからしずしずとついて来る


「ねぇミーラちゃん、何か食べたいものはある? 何でも買ってあげるよ?」


 この世界のお金なら何とでもなる

 私は完全な金属である金すら作り出せるから


「ない、です」


「じゃぁじゃぁぬいぐるみとかは? ほら、あそこの露店に売ってるよ」


「いい、です。 ご迷惑はかけれません。 ですからどうか、おそばにおいてください」


 相当奴隷生活が長かったのか、性格に染みついてしまってる

 どうにか、この子に笑顔を取り戻す方法はないかな?

 それに、この世界で不自由なく生きて行けるようにしてあげたいし

 そういえばさっき通りでギルドを見たっけ

 あそこならこの子を保護してもらえるかも!

 

 道を戻ってギルドへ入ってみると、人がごった返していて熱気がある

 私とミーラちゃんは奥へ進んで受付を目指した


「ようこそ、冒険者ギルドキルロット支部へ。 ご依頼でしょうか?」


 そう思うのも無理はないか

 どう見ても小さい女の子二人だもん


「いえ、この子のことなんですが、奴隷商に掴まっていたところを救出しまして」


「え、ええ!? その奴隷商ってもしかしてグーレッド商会ですか!? あの組織はあまりに大きすぎてギルドでも手が出せなかったんです」


「さぁ、名前は知らないですけど…」


「と、とにかく、貴方とその子は保護します! 奥へ来てください」


 私とミーラちゃんは奥の部屋に通されて事情を説明させられた

 目の前に座っているのはこのギルドの長であるパイリーさんという女性

 口が裂けているのを靴ひものような太い紐で結んでいる


「じゃぁ事情を聞かせてくれ。 まず、君は誰だ? 冒険者ではなさそうだが」


「私はただの人間です。 人を探してたら奴隷商の男に掴まりそうになったので滅ぼしました。 その時この子含め奴隷になってた人たちを解放したんです」


「ふむ、君は冒険者登録もないみたいだが、グーレッド商会ともなれ強者の護衛もいたはず。 まさか一人で倒したということはないだろう? 仲間はどこへいるんだ?」


「いえ、一人です…。 あの、その子を頼みに来ただけなので、特に用がないなら私は先を急ぎたいのですが。 探している人もいますし」


「む、そうか、それはすまない。 しかしこちらも事実確認や手続きやらで君に書いてもらうこともあってね。 まぁ悪いようにはしないからもう少し待ってくれ」


 仕方なく私は書類にいろいろとかき込んでいった

 それと、ミーラはギルド側の手続きができるまで私が預かることになっちゃった

 とにかくギルドの人達はこの子を必ず幸せになれるようギルドが経営している施設で預かり、里親を探してくれると約束してくれたから安心ね


「あ、あの」


 ミーラちゃんから私に初めて話しかけてくれた


「どうしたの?」


「私、どこかに連れていかれるんですか? 私は…。 私は…。 お姉ちゃんのところにいたいです!」


 彼女が勇気を振り絞っていったであろう言葉

 そういわれると連れて行ってあげたい。 もっといろいろな幸せを教えてあげたい

 でも、私の旅には大きな危険が伴う

 だから、連れて行けない


「ダメです。 あなたはギルドの施設で暮らしなさい」


「必ず役に立ちます! もしお姉ちゃんを狙う人がいたら盾になります! だからお願い、連れてってください!」


 私はミーラを平手打ちした


「そんなのただの迷惑なんですよ。 あなたは私にとって足手まといなんです。 だからここに置いて行くのです」


 許せなかった

 ミーラは私の盾になると言った

 許さない。 命を粗末にするのだけは絶対に許さない


 頬を叩かれたミーラちゃんはショックを受けた顔でこちらを見ている

 これでいい。 あの子を危険な目に合わせるわけにはいかない

 ミーラちゃんはギルドの中へ走っていってしまった


「はぁ、嫌われちゃったかな」


 一応監視をつけて、私はルーナちゃんを探さなきゃ


「クリエイト、ドローン」


 小さなドローンちゃんたちをミーラちゃんの監視に付けてこの街を隅々まで作り出した機械たちで探した

 数時間でいないことが分かり、さらに範囲を広げる

 

 数日後、世界中を探しきったけどいなかった

 どうやらこの世界にはいないみたいね

 ミーラちゃんの様子を見て、ギルドに任せたら次の世界に飛ぼうっと


 その時の私はミーラちゃんがおとなしくギルドにいると思ってた

 私が、目を放していなければ、あの子はあんなことにならなかったのに

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