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僕はまず初めに自己紹介をした
仲間内ではレン君やレンと呼ばれていたけど、僕の名前は神保蓮十郎
古風な名前だって元の世界では言われたっけ
突然のことだった
学校の帰り道を歩いていたら、突然、本当に突然視界が変わって、気づいたらあの世界にいたわけだ
そういった事情を全て話す
「ではなぜその力があんたに備わったのか分からないってわけね」
「はい」
今会話しているのは核だけとなった雷の女神様であるレライア様だ
様付けはしなくていいと言われたけど、女神様にそんな不敬働けないじゃないか
「ふむ、ディジョンの力は強力だが、あいつは一体どうなったんだ? 少年、体に何か違和感はないか? 誰かが、いるような感覚は」
「そうですね、今のところないです」
うん、体にはまったく以上はない
力? の感覚はあるかも
今まで全く感じなかった力
あの世界にも異世界人? いたらしいんだけど、その人たちは決まって何かしらの力を持っていた
僕だけ、自分自身の力がなかったんだ
「それは恐らく次元の力を内包していたからだろう。 強すぎる力ゆえに少年自身の力が定着しなかったってことだ」
ん? 僕の力、無いんじゃなくて、次元の力って言うのに吸収されちゃった。 みたいな感じなのかな
「おおむねそれであってるはずぜな」
何この子、当然のように心を読んでない?
「心なんて読めないぜな。 これはお前の考えをアカシックレコードで予測しているだけぜな」
ますますこの子が分からない
神様でもないのになぜか万能な力を感じるこの少女、アカシックレコードの管理者ってのがいまいちわからないな
「今はそんなことどうでもいいぜな。 大事なのはこれからどうするかってことぜな。 レライア様もシンガ様も核だけの状態じゃ役に立たないし」
「「おい!」」
二柱そろっての突っ込み…
「いやまぁ確かにそうだな。 レライアは幸い体はしばらくすれば元に戻りそうだが、俺はミナキが戻ってくれなければ元に戻る保証もないからな」
レライア様の体は砕けただけで、力が戻れば元に戻るみたいなんだけど、シンガ様は砕かれた上にいろんな世界に散らされたらしい
それはまた壮大な…
「で、あの金色の女の人、一体何なの?」
ものすごい美少女、いなみさんって言うらしいけど、彼女は光の女神らしい
第一印象の女神みたいだって思ってたのはどうやら間違いじゃなかったのか
「あれは古の支配者と呼ばれるコシコデンという種族ぜな。 大神が生まれるよりも前にいた、世界がまだできる以前にあった空間全てを支配していた存在だぜな」
僕は話についていけないからだまってようっと
いや、僕の力って神様の力らしいから関係はあるのか
「あれは正直俺が力を取り戻しても勝てるかわからん。 兄であるラシュアでも無理だろうな」
「じゃぁ、あいつらが闇についてるってことは、打つ手なしってことなのですか?」
「いや、大神様なら奴らを倒せるだろう」
「その大神様はどうやって連絡を取ればいいのですか?」
シンガ様は黙った。 考えてるのかな?
「現状、手段がない。 あの方たちのいる世界は完全に、文字通り次元が違うんだ。 ディジョンがいれば連絡が取れたのだが…。 そうか、ここでお前に会えたのは運がよかった!」
「へ? ぼ、僕ですか!?」
ああ、そりゃそうか、僕の力がそのディジョン様の力なわけなんだから
「でも、僕この力の使い方なんて分からないんですけど」
「そういうだろうと思って、僕とルーナちゃんでみっちり教えるから心配しないで」
いなみさんとルーナちゃんが任せてというようにうなずいた
こんなかわいい子たちに教えてもらえるならいいかも
それに、あの闇の二人、あの二人だけは絶対に許せない
僕から大切な仲間を奪ったあの二人は…
どす黒い感情が、僕にまとわりつく
「その感情はだめだよ。 それに支配されちゃうと、闇と一緒になる。 まずはその感情を抑えることか始めよう」
いなみさんは僕にそう言って優しく諭してくれた
うん、なんだかできそうな気がする
単純かもしれないけど、復讐心を振るうんじゃなくこの力を正しく使う
頑張ろう。 それが仲間への弔いになるかもしれないから
それから僕はいなみさんには感情の制御を。 ルーナちゃんには力の使い方を教わった
ルーナちゃんは力の女神の力を体に宿しているらしくて、ほぼすべての神々の力を使えるらしいけど、次元の力は使えなかった
そこからパリケルさんが推測したのは、死んだ神の力は使えないということらしい
つまり、ディジョン様は本当に死んでしまった、ってことになるんだろう
二人とも厳しい。 死ぬんじゃないかってこともあったけど、僕は何とかやり遂げた
ルーナちゃんもいなみさんも教え方がすごくうまい
何とか扱えるようになったと思う
これで僕も戦える!