想像で創造する女神2
街は活気で満ち溢れてて、あまりこういう場所を見たことがない私にとっては新鮮だった
そういえば私には神様や闇を探知できるようなものは作り出せない
それは恐らく私自身が探知できないから
つまりその気配を探るという感覚が分からないから作れないってことかな?
想像できないものは創造できない。 それが私の弱点でもある
そして、もう一つの弱点が、想像したものを作り出してしまうこと
以前一度だけその失敗が救世界の神様たちを困らせたことがあった
私は慌てたり、心が乱れたりすると力が暴走して何かを作り出してしまうことがある
その時考えたのは、私を殺しうる魔物
私を殺せるということは、上位の神様が苦戦するということ
自慢じゃないけど私は上位の神々の中でも上位に分類されるくらいには強いと思う
結局その魔物はメシア様が倒してしまったけど、母様に迷惑をかけてしまったのがかなり心残り
かつての失敗を思いながら歩いていると人にぶつかってしまった
「す、すみません!」
「いや、こっちもよそ見してたから、ごめんよお嬢ちゃん」
ぶつかったのは人のよさそうなおじさん
種族は、人間ね
「何か考え事をしていたようだけどどうしたんだい?」
おじさんは優しく私に問いかけた
「あの実は、女の子を探しているんです。 この子なんですけど」
写真だとこういう世界では驚かれるからクリエイトで作り出した絵を見せる
「ふむなるほど、女の子をね…。 あそこならいるかもしれないな」
「ほんとですか! 教えてください!」
「いいよ。 ついてきなさい」
おじさんは私をルーナちゃんがいそうな場所に案内してくれるみたい
良い人ね
人込みを抜け、住居が密集する路地裏へ
なんだかどんどん人気がなくなって、いかにも怪しげな人がこちらを見て来る
「あ、あの、おじさん、自分で歩けるから放してください」
おじさんは私の手を痛いほど掴んでいる
責任感が強いのかも
「大丈夫、もうすぐ着くからね」
おじさんは安心させようとしてくれているのか、優しく語り掛けてくれた
やがて目的地に着いたのか、おじさんは手を放してくれた
「ほら、ここだよ」
扉を開けて中に入ると、数人の男の人がいた
「ようベラック。 どうしたんだ?」
「あぁ、いい商品が入ったから見てもらおうと思ってね」
商品? そっか、おじさんは商人で丁度この商店に来ようとしてたってことね
でも、こんなところにルーナちゃん、いるのかな?
「ほー、かなりの上玉じゃないか。 見たところどこかのお嬢様って感じだが、どうしたんだ?」
「一人で歩いてたから連れてきた。 どうやら親もいないようだし、一人旅でもしてたんだろう。 お友達を探していたみたいだしな」
「へへ、どれどれ、こっちで見てやろう」
あれ? なんだかおかしいかも。 おじさんの顔、怖い
それに奥にいる男の人達の目も、ギラギラと光って、まるで値踏みでもされてるみたい
「さぁこっちへ来るんだ!」
急におじさんの口調が荒ぐ
「は、離してください!」
私は女神だけど、力を使ってないときは人間の女の子と変わらない力しかない
「オラこっちへ来い! お前はもうここに売られたんだよ! これからはどっかの貴族か、変態が可愛がってくれるぜ!」
そっか、これが話に聞く奴隷商ね!
許せない。 私をだました事じゃなくて、人を人とも思わないこんな奴らが!
「クリエイト、剣」
私は剣を作り出して手を掴むその腕を斬った
「あがぁ!! お、俺の腕が!!」
「このガキ! どこから剣を出した!?」
「ゆ、許さねぇ! 俺の腕を!」
みっともない。 大の大人が腕一つでギャーギャーわめく
私なんて一度下半身を失ったこともあるのに
そんなことはどうでもいい。 許せないのは私の方だから
「クリエイト、命尽きるまで消えぬ炎」
これは無慈悲な炎
死ぬまで消えることのない炎
炎は男たちを飲み込んで、焼き尽くした
建物は燃えていない。 ここには恐らく今の男たちに騙されたりつかまったりして奴隷にされようとしている人たちがたくさんいるから
奴隷商店の地下へ行くと、案の定10人の今から売られようとしていた人たちがいた
助けなきゃ
鍵を開けて人々を逃がそうとしたんだけど
「逃げられないんです!」
最初に出た痩せた男の人がそういった
どうやら奴隷紋という呪詛で縛られているみたい
でも、私にかかればこのくらい、簡単に解除できる
「クリエイト、ディスペル」
呪詛を解除する魔術を今作ってみたけど、うまくいったみたい
つかまってた人達は私に感謝して逃げて行った
ここにいた人たちはやっぱり騙されたり捕まった人達で、中には親に売られた子もいた
でも、売られた子は親を恨んでいないみたい
貧しくて泣く泣く、やむなくだったみたいね
でも、それでも、こんなところに売るなんて…
そう思っていたけどその子が言うには、何不自由なく暮らせるところに売られる予定だったみたい
ただここの奴隷商は言葉巧みにこの子を買ったらしい
「私、うちに帰っても居場所がないから、このまま死ぬしかないんです」
そっか、そんなこと考えもしなかった
どうすれば…
仕方なくその子を連れて、私はこの場を去った
実は主人公くらい気に入ってるキャラです