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実力は分かった
かなり戦えるどころか、ルーナに至っては最高ランクの冒険者と比べても何ら遜色がないだろう
この世界での冒険者ランクはルーナが元いた世界(ミシュハのいた世界)と同じような感じらしく、最低がFで最高がSランクらしい
現在Sランクは世界に1000名くらいで、これは多いと思われるかもしれないが、冒険者の数は1億人を越している
つまり0.1%ほどしかいないのだ
そんな0.1%の中でも突出して化け物じみた強さを誇る10人がいる
ワールドガーディアンズ(世界の守護者)と呼ばれる10人はどの国にも属さず、有事の際には真っ先に人々を救うために動く存在だ
勇者と同等に扱われることもある
ただ、勇者は神の加護もあるためこのまま順調に強くなれば彼らをはるかに超える力を持つだろう
ちなみに獣魔王はかつて世界を滅ぼしかけただけはあってガーディアンズたちよりも強い
まずは王都コスタベルカに帰り、冒険者として登録することにした
もちろん倒した魔物や魔獣の素材を手土産にしている
これにより実力もわかり、最初からFランク以上に推薦されることだろう
王都のギルドはさすが世界で一番大きな国だけあって立派だった
様々な種族が入り乱れ、殺気だっている者もいれば、美少女の多い勇者のパーティを羨まし気に見つめる者もいる
早速受付にて登録を済ませると、素材を出した
買取などもここで行えるので依頼を達成するのに便利だ
依頼は受けてはいなかったが、ちょうど依頼が出せれていた魔物が何頭かいたのでそれの報告もしておくと、勇者一行は一気にランクがDにまで上がった
特にメレオリザードを倒したことが査定に影響したらしい
さらにレノスもいたことでとんとん拍子にランクアップした
Dランクとなれば多少危険な仕事も回ってくる
そうなれば獣魔王やそれに準ずる情報も入りやすくなるだろう
獣魔王には当然配下もいる
それらはかつて滅ぼされ、討ち果たされたのだが、どうやら新たな配下が生まれるかスカウトされたらしい
各地でそれらしき魔人や魔獣が暴れている
まぁ、虎の威を借るキツネのような輩もいるだろうが、損害はあるので関係なく討伐対象になっている
とりあえずはギルドに寄せられた情報で、ここからそう遠くない街カルベルで目撃された魔獣を討伐することにした
どうやら街の外で旅人を狙っては喰らっているらしく、並みの冒険者では歯が立たないため、Dランク以上の実力者を募っているようだ
すでに討伐に行った実力者が何人も食われており、まもなくCランクの依頼にランクアップしそうだとのことで、急ぎカルベルへと向かった
そこでは不安そうに過ごす人々がいた
すぐ近くで魔獣が暴れているのだ、当然の反応だろう
ふと、仲間の一人、パリケルがつぶやいた
「Dランク、いきなりDランク依頼ぜな?」
「俺様見てるだけでいい?」
パリケルは可愛らしく首をかしげながらそう言った
彼女は本来非戦闘員である
みな当然のごとく首を縦に振った
カルベルのギルドへ行くと、そこには何組かの冒険者のパーティがいた
どうやらこれからその魔獣討伐に向かうらしい
どの冒険者もなかなかの実力者だと雰囲気が語っている
剣を持ち、無数の傷を持った男、槍を背負うスレンダーなイケメン、双剣を腰にさした竜人や、巨大な槌を床に降ろし、杖代わりにしているドワーフ、弓を持った美しいエルフの女性などなど
皆一様にこれから戦いに行く相手のことを考えているのか、ピリピリとした空気が伝わってくる
そんな彼らの横をすり抜けてギルドの受付嬢に魔獣討伐依頼を受ける旨を伝えた
一瞬怒るざわめき
こんな少女ばかりのパーティが危険な依頼を受けるとは思わなかったのだろう
笑う男たちもいる
そこに何人かのガラの悪い男たちが絡んできた
「やめときな、嬢ちゃんたちに務まるあいてじゃねぇって」
「あんたらはお花でも積んでるのがお似合いだよ」
馬鹿にしたように笑う男に向かって桃がむすっとした
「それはあなたたちの方が似合っているんじゃない?」
桃は相手を挑発するように笑った
「なんだとゴラァ!」
どうやら怒らせたらしい
怒りに任せて拳を振り上げる男を、桃は足だけで軽くあしらった(足だけに)
それを見てチンピラの仲間たちも襲ってくる、が
あっという間にチンピラ冒険者たちは気絶させられた
周りからは拍手が起こる
ガラは悪いが彼らはDランク冒険者でも実力者だったらしく、それをあっさり倒した桃の実力は周りも認めるところとなった
依頼を無事受けると、早速討伐に向かう
目指すは近くの森の奥、その魔獣が巣を作っている洞窟だ
チンピラごぼう




