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レライアを同行者に加えた一同は真っ白な空間だけの世界へと来ていた
そこには八人の女性が浮いており、こちらを見ていた
「ねぇ、どこから来たのかな?」
「分からないが、敵ではなさそうだ」
「あなたたち、この方たちに絶対に手を出してはいけません。 この方たちは」
八人は口々に意見を言い合い、話し合っていたのだが、一番力のありそうな女性がそういったことで一斉に黙った
「私たちよりもはるか上位の、神様です」
八人は下位の女神達だった
それぞれが違った服装、姿、話し方、神器を持ち、上位の神々ほどではないが神聖な力を感じた
「あの、突然お邪魔してすいません。 私達は…」
ルーナは自分たちの自己紹介を簡単に済ませ、女神達の反応を待った
「そう、ですか、やはり上位の神々が…。 私達は自分の世界しか知りません。 そのため上位の方たちが何をなさっているのかを知らないのです」
そういったのは女神達のリーダーで、長女、零番目のノルという女神だった
「そういうことなら、私達も協力させていただきますが、どうすればいいのやら…。 私たちには上位の神々ほどの力はありません。 戦いに巻き込まれれば一瞬にして消されるでしょう」
次女である一番目のアンリという女神がそう答えた。 彼女の見た目は肌の色以外がノルにそっくりである
「いや、協力はいらないぜな。 どうせ神々が再び戦争を起こせばいやおうなしに全てが巻き込まれるぜな。 ただ、あんたたちの世界を見張ってほしい。 どうやら世界に混乱を巻き起こそうとする不穏分子がいるみたいなんだぜな」
「不穏分子? どういうことだ?」
四番目のフィーアという女神が聞き返す
「闇って言えば分かりやすいぜな?」
「ええ、その者達ならば私たちもよく知っています。 ただ私たちが戦ったのは遥かに次元の低い闇化した者達でしたが…。 今思えば、彼らもまたその闇に操られていたのかもしれません」
この八柱の女神にはそれぞれ守っている下位世界がある
少し前、その世界で闇化した者達が荒らしまわった結果、いくつかの世界が滅びてしまった
残っているのは七番目のシエティの世界、二番目のデュオリムの世界、三番目のトレーシャの世界のみだ
「そうか、なるほどな。 神々ですら闇に翻弄されているということか。 それも下位上位のべつ幕無く…。 しかしそんなことどうしてわかったんだパリケル?」
「俺様のアカシックレコードが、教えてくれてるんだぜな。 アカシックレコードは全てを知っている全知全能だからぜな!」
「あたしにはさっぱり分かんないんだけどさ。 でもさ、兄さんたちや妹たちが仲違いした理由、なんとなくわかっちったよ。 あんだけ仲のよかった二人なのに…。 そうだ…。 あの時の兄さん、何かがおかしかった」
レライアも過去のことに心当たりがあったようだ
顔をゆがめて怒っている
「取りあえず、私たちには下位の神々とのコミュニケーション手段があります。 全ての下位神に伝えましょう。 全力を挙げて必ずやその暗躍する者を見出して見せます!」
八柱の女神達はすぐにどこかへと連絡を取り始める
それは下位神の中でもえりすぐりが集まる救世界という場所
世界を裏から支えるための組織だ
「これで救世界に所属する全ての神、創造主、救世主や勇者たちに伝わるはずです」
「下位世界の守護は我らに任せてくれ」
「ああ、腕がなるってもんよ!」
「大丈夫ですよ~、きっと~、平和な世界が~、戻ってきます~よ」
八柱それぞれに激励される
「あの、光の女神様、よろしければこちらをお持ち下さい」
ノルがいなみに何かを手渡す
それは彼女らと連絡の取れる通信機の機能を果たす宝玉だった
「いつでもご連絡ください。 私達下位神たちはみなあなたたちの味方です」
全ての下位神と協力しあえるようになったことで戦力は少し増えたが、それでも上位の神々や闇相手となるとその差は大きい
しかし心強い仲間ができたことにルーナ達は喜んだ
「ありがとう。 あんたらの協力、きっと無駄にはしない。 あたしらで絶対にこんなバカげた喧嘩、終わらせて見せるよ」
レライアも彼女たちに感謝し、頭を下げた
そして、再びゲートが開き、五人を飲み込んで転移させた
この女神達は割と気に入ってるので使ってます