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突如として起こる地震
まるで星全体が揺れているかのような大きな揺れにより、そこかしこの建物が倒壊し始める
「結界を張ります! この中に入ってください!」
ともかく住人を守るためにルーナ達は動いた
増殖の神の力を使って自分の分身体を複数体作り出し、走らせ飛ばす
分身体のルーナは自分たちで考え、人々を助ける
あまりの地震の規模と大きさによって星自体が崩壊を始めたのか、巨大な地割れが起こり始める
助けきれずにがれきに埋もれる住人も当然出てき始めた
「こんなの、どうやって助ければ…。」
四人が途方に暮れる
自分達だけならば転移でいくらでも逃げられるが、この世界の平和に暮らしている住人達を助けたい
そのためにはルーナ達だけでは人手が圧倒的に足りていなかった
「待って! 何かわからないけど巨大なエネルギー反応? ものすごい力の塊がこの星全体を覆ってる」
いなみに言われて気配を探ると、星全体を覆っていた雷からの気配がさらに大きくなっているのが分かった
「まさか、あの雷が何かしたんじゃないのか?」
「いえ、それが、この雷からはまったく嫌な気配を感じないんです。 むしろ、神聖な」
雷の嵐は空から地下へと入り込み、火花を散らせながらルーナの前に塊となって迫って来た
「お、おい、逃げないのか? このままだと衝突するぞ!」
「大丈夫だよリゼラスさん、これは、この人は…」
塊はルーナの前まで来ると人の形へと変わった
形を得たそれはどうやら女性のようだった
ボサボサの金髪に赤褐色の肌、金色の目、割れた腹筋に黄金の髪飾りと動きやすそうなビキニのようなパンツと水着のような胸当て、それに胸元が大きく空いた上着を羽織っている
「やっと戻れた。 ちょっと待ってて、今修復するから」
彼女は右手の人差し指を空に掲げてくるくるとまわす
すると地割れはまるで磁石のように引っ付き、倒壊していくビルを宙にとどめた
「よしっと、今のうちに人間、助けてくんない?」
それから約数日をかけて住民たちと協力し、怪我人を運んでいく
これほどの災害にもかかわらず、奇跡的に死者は出なかった
それも迅速にあの女性が崩壊を止めたからだ
「さてっと、あたいのことを話しておく前に、お前ら何なんだ? 二人からは神の気配、もう一人はエルフか? で、一番お前がわけわかんないんだけど」
それぞれを指さして疑問を投げかける
「わ、私はルーナです。 神様の気配がするのは多分、力の女神さまの力が私に宿っているからだと思います」
「僕はいなみ、えっと、光の女神の娘、らしいです」
「私はリゼラス。 ただのエルフだ」
「俺様はパリケル、こう見えてアカシックレコードの関係者だぜな」
四人を見て信じられないといった表情をしている
そのために、今までの経緯を説明した
「なるほどな、それでお前からエイシャの力を感じたのか。 それに、そうか、お前は…」
愛おしそうな、悲しそうな何とも言えない表情になりいなみを見つめる
「お前は説明されても訳が分からないな。 あかしくれこおど? もっとわかりやすく説明してくれないかな?」
しかしそれからいくら説明しても彼女は全く理解してくれなかった
「ま、いいや、あたいはレライア、こう見えて雷の女神だ!」
どや顔をして胸を張るレライア
「あの、レライア様はなぜここに?」
良い質問だとばかりに彼女はそれに答えた
「いやね、神々の間で戦争が起きたのは知ってるよな?」
それはエイシャたちから聞いて知っているので当然うなずいた
「その時さ、あたいは止めに入ったんだよね。 なんかさ、兄弟姉妹で争うなんて嫌じゃない? あたいはすっごい嫌だったわけ。 でもさ、あたいを含めて止めに入った神々はそのほとんどが巻き添えくらって死んじゃったの。 あたいもさ、死ななかったけど動けなくなるくらいの傷を負っちゃってさ、で、ここでずっと回復するのを待ってたってわけ。 まぁあたいが復活したときのエネルギーでこの星崩壊しちゃうとこだったけど…。 それについては、ホントにごめん」
色々荒々しい女神だったが、それでも争いは好まない気質のようだった
「でだね、あたいはあんたらについて行こうと思う」
急にそう言いだした彼女に一行はあっけにとられた
「え、でも」
「いいからいいから、迷惑はかけないって。 むしろあたい強いから戦力になるよ? 損はさせないからさ」
どうにも強引だったが、彼女のサバサバとした明るい性格に押されて、四人は仕方なく同行を許した
パリケルによって復興を終えた後、四人はこの世界から転移した
以降この世界に雷の嵐は吹き荒れることはなく、人々は地上に戻った
より良い世界作りのため、この世界は奮起することとなった