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神々の捜索10

 俺は…。 そうか、死んだんだったな

 でも何でこんなに意識がはっきりとしてるんだ? 体は、全く動かない、何も見えない、音も聞こえない

 怖い、怖い、何が起こってるのか分からない。 兄貴…。 兄ちゃん助けて!


 ミナキははっきりとした意識の中で必死に慕っている兄を呼ぶ。 だがそれにこたえる者はいない

 その代わりに何かが見えてきた

 真っ暗だった視界に光が届いた


「にい、ちゃん?」


 呼んでみるが答えない

 その光から見たことのない女性が姿を現す

 圧倒的と言っていいほどの力の差を感じ、また、どこか安心できる雰囲気を感じた


「ミナキ」


 名前を呼んで微笑む女性はそっとミナキの頬に手を添える

 愛おしそうに見つめる女性


「あ、あんたは?」


 女性に尋ねるが、微笑むだけで何も語らない

 女性の手が光り、温かいものが流れ込んでくる


「ミナキ、これは本当のあなたの力、その剛腕で事象すらも曲げてしまいなさい。 死んだという事柄すらも」


 女性は力強く言い切ってゆっくりと遠くへと飛んでいく


「死んだことを? 一体どういうことだ! 待ってくれ! あんたは誰なんだ!」


「私は…。 お願いミナキ、エイシャとラシュアを…」


 女性の名前は聞き取れなかったが、エイシャとラシュアの名前ははっきりと聞こえた

 そして、彼女は神々の仲違いを悲しんでいるようだった


「俺に、どうしろって言うんだよ」


 それから長い時間、意識の中だけで考え続けた

 体は相変わらず動かず、ただ思考できるのみ


「俺の本当の力? 事象を曲げるってどういうことだよ。 俺の力はただ力任せに振るうだけのもの、それ以外に何ができるっつうんだよ」


 考え続け、力を行使しようと体に力を入れた


「っち、相変わらず力が入らねぇ。 この体、もう死んじまってるんだよな。 だから動けない。 死ねばその体から魂が離れて操るためのエネルギーを補給できない。 俺は死んだ。 これは確定しているのになぜ体から魂が離れないんだ?」


 ミナキの体は死んではいるが、その魂はずっと体にとどまり続けている

 それはエイシャの結界によるもので、それが彼女の魂をつなぎとめていた


「そうか、エイシャ、お前が…。 あの人…。 誰だか知らないけど、あんたの願い、きっと俺が叶える! 絶対に、エイシャと兄貴を」


 その時ミナキの腕に力が籠められるのが分かった


「そうか、ようやく理解した。 俺の力は剛腕、有無を言わせぬ暴虐。 その力で事象すら捻じ曲げるのが本当の力なんだ」


 体を動かすために死という事象を消し飛ばした

 結界を解くためにそのものを破壊した

 エイシャの城から抜け出すために空間に亀裂を入れた


「何の音なのん?!」


 気づいたマキナがミナキの死体が安置されている部屋の監視カメラを覗く


「な! ミナキ、ちゃん?」


 起き上がり、動き、空間を殴るミナキの姿を見て驚く

 彼女は確実に死んでいた。 エイシャが蘇らせるはずだった

 そのミナキが自ら復活し、更なる力を得て動き出していた


「エイシャちゃん! ミナキちゃんが、生き返って、動いて…」


 どう伝えたらいいのか分からなかったが、それだけでもエイシャには十分に伝わっている


「姉様、が…? 一体どうして」


 急いでミナキのいた部屋へ向かうが、すでにそこは空間が破壊されてもぬけの殻だった


「姉様、どこへ…。 私の姉様」


 一番好きだった姉、エイシャはその彼女を殺した。 それでも彼女を生き返らせるために魂と死体を保存していた

 ミナキはもうエイシャの手の届く場所から遠く離れた世界へと行ってしまった

 エイシャは涙を流しながら地面に座り込む、それでも自分の目的のために涙をぬぐって立ちあがった



「エイシャ、いつかまた会おう。 まずはシンガの兄貴を甦らさねぇと。 兄貴ならきっと、わかってくれる」


 ミナキは再びシンガの欠片を探し、空間を裂いて世界を渡った

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