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終焉と始まりをもたらす者 その1

 キキリリは食べるの。 なんでも食べるの

 だってそれが役目だからなの

 でも、いい子は食べちゃダメなの。 食べていいのは悪い子だけ

 悪い子が多かったら世界を食べるの

 だってそれがお仕事だからなの


「だからあなたも食べるの。 私が食べると消えちゃうの。 全部全部なくなるの」


 キキリリの前にいるのは世喰いなの。 キキリリと違って無差別な化け物なの

 だからキキリリはこいつを食べるの

 だってそれがキキリリ達が生まれた理由なの


 口を大きく大きく。 広く広く。 全部を吸い込むブラックホールよりももっともっと強く

 飲み込むの!


 キキリリによって世喰いはその体全てを喰いつくされて消えた

 彼女達は世界を滅ぼす役目を負っている

 だれの指示で動いているのか? そんなことは遠い昔に忘れた

 それでも愚直に誠実に、自分たちの役目を果たしていた

 彼女たちは決して群れることはない。 たった一人の孤独な闘いを、遥かな昔から、人も神も闇も光も何もかもが生まれる前より繰り返していた

 それが今はもういない最初の管理者による命令だったから


「ケプッ。 まだまだお腹すいてるの」


 そう言いながらキキリリの頭の中には四人の少女の姿が思い浮かんでいた


「あの子たちは何であそこにいたの? あそこは滅ぶべき世界なの。 なのに、あんなに純粋な子たちが…」


 しばらく考えたキキリリだが、自分の頭でわからないことは一切考えないことにしている。 そのため記憶の片隅に置きながらも考えることをやめた


「また会った時に聞けばいいの。 きっといつか会えるの。 そんな気がするの。 キキリリの感はよく当たるの」


 その感がまだ一度目だということに本人は気づかない

 それほどまでに記憶に残るような者はいなかったからだ


「クンクン、臭いがするの。 悪い子の臭い。 他の世界に悪影響を及ぼす気配なの」


 キキリリが目を付けたのは、どす黒い姿を持った邪悪なモノしかいない世界

 空間に蹴りで割れ目を作ると、その割れ目にスッと入り込んで割れ目を閉じた


「すっごい瘴気なの。 食べがいあるの。 でも食べきれるかちょっと心配なの」


 もし食べきれなければ自分がその瘴気に取り込まれ、他の姉妹に喰われるだろう

 それでも彼女は役目を果たす

 それが彼女の生きる意味だから


「さぁ、悪い子たちのお掃除なの」


 吸い込みを開始し、一気に瘴気を吸い込みきる


「丸裸なの」


 瘴気を喰いつくした後に残ったのは闇よりも危険なモノ

 それらはキキリリを飲み込もうと逆に襲い掛かったが、それを吸い込み、喰らいつき、平らげていく


「ぐ、ゲプッ。 多い、の」


 容量を超えるほどに吸い込んだが、それでも彼女は喰らうことをやめない

 内部へ取り込んだ邪悪なモノが逃げ出そうと暴れる

 はちきれそうになる体を必死で抑え、キキリリは自分のやるべきことを必死でこなす


「ぐ、う、まだ、まだなの」


 最後の最後までを喰らいつくし、キキリリは倒れた


「痛い、の。 今までで一番、痛いの」


 苦しみながら耐え、それから数週間、邪悪なモノを体内で浄化し続けた

 

「ふぅ、ようやく綺麗になったの」


 キキリリが口からフッと銀色の粉を吐き出す

 それは世界へと広がり、やがて生まれる新たな世界の元となる

 それを想像の大神がまとめ、新たな世界が造られる

 

 キキリリは健気に、ただ最初の命令をこなす

 もはやいない主のために

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