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 全てが鉱物で出来た世界、何もかもがまばゆく輝き、生命すら鉱物生命体だった


「綺麗な世界ですね。 動物?たちも鉱物で構成されてるみたいですね」


「これは興味深いぜな。 なぜ鉱物が動いてるんぜな? ちょっとサンプルを取りたいんだけどいいかな?」


「動物を傷つけないようにしろ。 それならば多少なりともよかろう」


 許可したのはシンガだった。 今まで沈黙していたのがウソのように四人と話していた

 彼は元々かなりの話し好きで、まるで娘を溺愛する父親のように四人を扱っていた


「シンガ様の許可も出たし、ちょっと調べて来るぜな。 ルーナ達はどうするぜな?」


「私たちはとりあえず周囲を探索してみようと思います。 もしかしたら知識生命体がいるかもしれませんし」


「それならこの姿じゃ警戒されちゃうかも」


 ルーナはどうすべきか考え込んだ


「変化の神の力を使え。 力を最小限にすればいつでも戻れるはずだ」


 シンガの助言を聞いて変化の力を使ってみた

 すると四人はキラキラと輝くクリスタルの体となった


「ふわ、すごくきれい…。 宝石みたい」


「ふむ、少し体がきしむ感じがするが、悪くないな」


「気を付けて歩くぜな。 割れたらどうなるか分からないぜな」


「ちょっと待て、お前何してるんだ!」


 気が付くとパリケルがリゼラスの脚の一部を削り取っていた


「サンプル採るぜな」


「私からとるな!」


 クリスタルの硬い拳を頭に受けて、光り輝くたんこぶができた


「痛いぜな。 血管なんてないはずなのになんで腫れるんだぜな? 興味深いぜな」


 痛みもそこそこに自分にできたたんこぶを興味深げにさすっている


「こいつはまったく…。 どれだけ研究馬鹿なんだ」


 あきれつつ、パリケルといなみ、ルーナとリゼラスで分かれて行動することになった


「さて、まずは植物のような鉱物について調べるぜな」


「これ植物なの?」


 咲いているダイアモンドのような花をつんつんとつついてみる

 やはり感触は硬く、とても植物には見えない


「むむ、これは面白いぜな」


 四号の機能で花を検査してみると、驚くべきことが分かった


「この花は鉱物であるにもかかわらず、呼吸して、光合成をしているぜな。 でも葉緑体がないのになぜだぜな?」


 しばらく花に触れ、葉の一部を採取して検査を繰り返す


「分かったぜな!」


「なになに?」


「この花は独特の器官を持ってるみたいぜな。 ほら、顕微鏡で見てみるぜな」


 いなみが覗くと、そこに黒っぽい丸いものがあるのが見えた


「これは恐らく葉緑素の代わりだぜな。 これで光を吸収して養分を作り出してるんだぜな。 それにこの地面、クリスタルのようだけど、これ土のように柔らかいぜな。 しかも養分がちゃんとあるんだぜな!」


 興奮して早口でまくし立てるパリケルに対し、冷静にその話を聞いて理解するいなみ


「てことは、あの動物たちも独自の生体器官を持ってるってことかな?」


「そうだぜな! さすが理解が速いぜな!」


 そこに動物たちがいなみを取り囲むように集まってきた


「な、なに? どうしたの?」


 動物たちはいなみを見て喜んでいるようだ。 猫のような動物などはいなみの脚に顔を擦り付けている


「なんか懐かれちゃった」


「ふむ、光の女神だから惹かれるのだろう。 この世界の生物は光が好きなようだしな」


 懐いてくる動物たちは可愛く、そのメタリックな見た目から想像もつかないほどに柔らかくて暖かかった


「ふふ、可愛い」


 パリケルはそんないなみと動物の戯れを四号の写真に収めていた


 一方のルーナ達は、目の前にいる巨大な岩石の魔物と対峙していた


「これ、魔物ですよね?」


「だな、さっきの動物たちと違って魔力を感じる。 しかも好戦的なようだな」


 岩石魔物は手を振り上げてルーナをつぶそうと振り下ろした

 その腕を簡単に止める


「なに? あたしとやろうっての?」


 サニーに変わり、掴んでいた魔物の腕を引きちぎった

 痛みがあるのか、魔物は苦しんでいる


「あら、取れちゃった。 もろいのね」


 痛がる魔物を蹴り飛ばすと、空の彼方へと飛んで爆散した


「相変わらず激しいな」


「何よ? 文句ある?」


 睨むサニーにため息をついて頭を優しく撫でた


「な! 子ども扱いしないでくれる!?」


「年はお前とそう変わらないんだが?」


「あ、そうか、そう言えばそうだったわね」


 過去の地球に魂だけ飛ばされ、転生によって数千年の時を生きたルーナは別として、サニーとリゼラスの年齢は実を言うと3年ほどしか離れておらず、リゼラスの方が少し上だった


「ま、いいわ。 お姉ちゃん、変わるね」


 スーッと表情が柔らかくなり、ルーナに戻った


「ともかく魔物もいることが分かりましたね。 もしかしたら知識を持った人のようなものもいるかもしれませんね」


「うむ、もう少し歩いてみるか」


 二人は連れ立ってさらに先へと歩いて行った

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