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4-28

 タブの家で一夜を明かした翌朝、四人は彼に今までの旅、いきさつを話して聞かせた


「なるほどね、大変だったんだね。 僕でよければ力になってあげたいけど、あまりにも大きい話だからなぁ」


「いえ、お気持ちだけで大丈夫です」


 タブはまたコーヒーを入れてくれ、それと共にバターを乗せた焼き立てのパンをふるまってくれる


「こんなものしかないけど、まぁ食べてよ。 それと、僕はこれから仕事だから、街に出る時はこの鍵で施錠してから出てね」


 そういって渡したのはタブレット端末。 これはチップとまた違った役割を持つ

 支払いはもちろん、鍵、車のオートパイロットなどなどだ


「僕は二台持ってるからね。 それじゃ、行ってくるね」


 タブは靴を履いて玄関を開け、ため息を吐きながら出て行った


「行っちゃったね。 何の仕事してるのかな?」


「あんまり他人を詮索するものではないが、彼についてまだ何も分からない。 ついて行く…。 尾行するという手もあるな」


「さすがリゼラス。 こそいことにはよく考えが回るガッ! 何するんだぜな!」


 リゼラスに拳骨をもらって舌を噛むパリケル


「でもまぁ、ちょっと見てみたいぜな。 でも尾行はばれることもあるぜな。 ここから俺様の発明品を使ってみるってのはどうぜな?」


「あ、結局覗くつもりなんだね」


 パリケルが床に置いていた四号を起動させる

 いくつかの世界を回ったことでかなりのバージョンアップが施され、アカシックレコードとも動機されていた


「この真四号ちゃんを使えばどんなことでもちょちょいのちょいぜな」


 空間に浮かぶモニターとキーボードを交互にタッチし、誰にも見つかることのないドローンを飛ばしてタブの行方を追った

 しばらくするとドローンの映像がタブを捕らえる

 そこは人気のない路地裏だった


「こんなところで仕事ですか?」


「そうみたいだぜな。 ほら」


 そこにはタブが恰幅の良い男性を、殺している映像が映っていた

 首を掴み、一気にひねり上げると血を噴射しながら首がねじ切れる

 倒れた男の体の上に首を乗せると、その上に何かが書かれた紙を置く

 タブはゆっくりとドローンの方を向き、非常に優し気な表情で笑った


「嘘、だろ…。 何だあの男は」


「ネジが飛んでるぜな…。 とにかくここにいたら危ないぜな。 逃げるぜな!」


 慌てて部屋を出ようと立ち上がったが一足遅かった


「どこへ行くんだい?」


 玄関には血まみれのタブが立っていた

 相変わらずその表情は優しく、危険性を全く感じない


「今の、見てたんだよね? しょうがないんだよ。 間違った世の中を正すには、誰かが間違った行動を犯してでも正さなきゃならないんだ。 わかってくれるよね?」


 血にまみれたタブはどこか美しく、それでいて狂気に満ちていた


「だからと言って、人が人を殺していい理由にはなりません!」


「君だって殺してる。 たくさん殺したんでしょ? その手で」


 真眼によってルーナを見たタブはルーナの心をえぐる


「それは、だって、私は…」


「話を聞いちゃだめだぜな」


「さて、僕は次を殺さなきゃいけない。平和までの道のりは長いからね。 この部屋、まだ使ってくれてていいよ。 僕はしばらく海外に行くからね」


 タブはそう言ってゆっくりと歩いて出て行った


「あれは何なの? 人なのに、人じゃない感じ」


「たまにいるんだぜな。 まともに見えるのに、頭がバグってる輩が」


「とにかく彼を止めるぞ! これ以上犠牲者を出させてはいけない!」


 リゼラスに言われ、ショックを受けていたルーナもなんとか立ち直った


「もう一度、彼と話をします。 きっとわかってくれると思うんです」


「それは無駄だと思うぜな。 俺様でも見抜けなかったくらいあいつは巧妙に()()()()になり切ってたぜな。 いや、普通の人なのにああいう思想を持っている? そういうやつが一番厄介なんだぜな」


「見つけて倒すしかない、あるいは、中身を丸々変えるか? でもどうやって」


「そうです! それです!」


 ルーナは何かを思いたようだ

 

 すぐにパリケルのドローンが追っていったタブを追いかける四人

 彼はすでに遠く離れた地に向かって走っている

 ルーナならば転移で簡単に追いつける距離だった


「飛びます! つかまってください!」


 ルーナは三人の手を掴むとそのままタブの元へと転移した

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