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暗い世界に一人の少女が佇む
まわりを見るが誰もいない。 あるのは深い悲しみと憎しみ
少女はその手で仲間を傷つけた。 殺した。 もはや取り返しがつかない
妹がいたが、彼女もすでにいない
妹が、一番の支えだった
暗い世界の中、少女は心を閉ざした
暴れまわる破壊神
少女の成れの果てである最悪の塊。 力は暴走を続け、様々な世界を破壊しつくした
まるでそれが目的と言わんばかりに嬉々としてただただ破壊を繰り返し、襲い来る神々を返り討ちにしながら
それでも邪神の目からは涙があふれる
それは最後に残った少女の心がずっと泣いているから
「くそ、一体どうすればいい! あいつなら分かるんだろうが、あいつは、もう」
騎士風の恰好をした女性が悔しそうに地面をたたく
その後ろに少年が倒れ、その前には大楯を構えた少女が立っている
少女のその手には聖剣が握られており、聖剣は既に折れていた
ほんの一太刀、一太刀だけだが対峙する破壊神と化したかつての仲間に攻撃を浴びせることができた
それのおかげで邪神は少し自我を取り戻した
目の前の光景を見て震えだす破壊神。 自分がやったことだと気づいた
仲間を、たくさんの人々を踏みにじり、殺した
自我の戻った破壊神は頭を抱えて苦しみ始め、その周囲に電磁場の嵐が置き始めた
「ごめんね」
確かにそう聞こえた
折れた聖剣を杖に、少女は少年の前まで歩く
彼の鼓動は止まっており、二度と目を覚ますことはない
「こんなの、おかしい。 なんで? どうしてこんなことになったの?」
「私がもっと強ければ、くそ!」
騎士風の女性も相当な重傷を負っているが、それもお構いなしに地面を殴り続けた
「二人とも、立つんだ。 今はあの子の消息を探さなければ。 女神の力を借りてな」
「それについては、私が連絡をとるのです」
傷ついた二人を蛇のような少女が癒し、狐耳を持った少女が神と交信を始めた
二人はどうやら神獣のようだ
「こっちの二人は…。 だめみたいでしゅ。 魂はすでに体を離れていましゅ」
二人の亡骸を丁寧に布で包む
狐耳の少女が仲間を呼び、七人の神獣が二人の御霊を神の元へ送る
「どういうことなのですか? 一人分の魂しかないですわよ?」
鳥の羽に三本足の少女が遺体の一つにかかった布を外すと、遺体が輝き始めた
「これは、一体何が起こっているであるか」
猿の尾を持つ少女が光っている遺体をのぞき込むと、遺体は目を見開いた
「まさか…。 蘇ったということですかわん?」
目を見開いたまま立ち上がる少女の遺体、いや、すでにその肉体には魂が戻っていた
「なるほど、これが蘇る感覚ぜな。 アカシックレコードよ、導いてくれ」
少女はもう一つの遺体に手を向け、力を流し込む
「これは、まさか、蘇生?」
遺体に魂が帰る
蘇った少年は自分の体を見て目を丸くする
「破壊神に殺された者は俺様に任せるぜな。 それと、あの子の行き先も調べるぜな」
少女の周りに情報がくるくると回り始める
それを中心に、世界も回り始めた